2014年10月22日
記事全文は Washington Post Wonkblog に掲載
2012年にデューク大学が発表したある研究では、10 代の未成年者における大麻の乱用と IQ の減少には関連性があるとされ、そのことは世界に大きく報道された。しかし、他の研究者らは間もなく、その結果に疑問を呈した。コロンビア大学のカール・ハート博士は、大麻乱用者 38 名のサンプルに注目。デューク大学の研究結果がどの程度一般化できるものか疑問であると取り上げた。
その半年後同じ誌上で公表された追跡研究により、デューク大学の報告には多くの交絡因子について説明が欠けていることが判明。「デューク大学の研究結果は、疑わしいと言えば強すぎるが、その研究方法には不備があり、その結果から引き出される因果推論は未熟である」と結論された。
そして、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(University College of London)が公表した最近の研究は、デューク大学の研究の不備について、より有力な証拠を示した。同研究では、デューク大学のサンプル(英国ブリストル地域で 1991 ?1992 年に生まれた 2,612 名)よりはるかに多い未成年者のサンプルを利用。8 歳から15 歳までの未成年者の IQ スコアを調査し、(アルコールの使用、喫煙、母性教育などの)交絡因子を考慮した上で、「大麻の使用と 15 歳における低い IQ には関連性がない」ことが判明した。大麻の乱用も、IQ とは関連性がなかった。
研究者らは、「とりわけアルコールの使用は、IQ の低下に密接に関連していることが判明した。... 他の因子は IQ の変化に関与しない」と報告している。
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Oct. 22, 2014
翻訳:bongyo
コメント
先日問い合わせのあった、現代ビジネスの記事の一部、最もインパクトのあった「知能指数が8ポイント落ちる」に反論する内容。 現代ビジネスのその他の件は、高濃度THCの危険性や脳の変化ですが、高濃度THCには、効果を得るのに少量の大麻で事足りるという利点があります。あと、灰白質の密度が増加するのは、部位によっては瞑想でも起こる現象だそうで、むしろ良い変化として分類されるべきではないのでしょうか?側坐核の灰白質は別?どなたかご教授ください。
また、Washinton Post の記事全文でも、大麻のヘヴィーユーザーは他の生徒より、16歳時に、学校での試験の点数が3%低いことが触れられていますが、例えば、他のドラッグだったり、生活習慣だったり、最近ではスマホの常用だったり、他の要因がもっと重大であることも考えられ、適度な大麻の使用の弊害は取るに足らないものでしょう。
結局、大麻の喫煙で一番危惧しなければいけないのは、脳の発達段階にある若年層が使用すると依存症に陥りやすいということ。(記事に掲載の2名が出演しているCNN のドキュメンタリー『Weed』にもありましたが、脳が十分に発達しないうちに大麻を経験すると、大麻を知らずに発達した脳であれば生産される脳内カンナビノイドが生産されなくなり、大麻に依存するようになるという構図だそうです。)そのことは正しい情報として流布されるべき。
何事も、正しい使用でほどほどに、ということですね。
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