CBDに関する誤解

投稿日時 2015-07-27 | カテゴリ: プロジェクトCBD

CBDに関する誤解
2015年 2月18日
記事:マーチン・リー

 

それは人を「ハイ」にすることはないが、医師や患者を熱狂させる。昨年は、著しい治療特性があり精神作用のない大麻成分、カンナビジオール(CBD)に関心が高まった。多くの新興企業やオンラインショップが CBD の流行に飛び乗り、産業用大麻(ヘンプ)由来の CBD を、次なる目玉、つまり、腫瘍を収縮させ、てんかんを抑え、慢性痛を和らげる奇跡のオイルとして、大々的に宣伝してきた。しかし、CBD が健康補助成分になりうるという認識が増すにつれて、CBD に関する誤解も増している。


1. 「CBDは薬用だが、THCは嗜好用である」という誤解
プロジェクト CBD は、世界中から多くの問い合わせを受けており、その多くが、「ハイ」になる、嗜好用としての大麻成分THCではなく、「薬用成分のCBD」を探している、というものだ。しかし実際、「ハイ」になる成分 THCには素晴らしい治療特性がある。サンディエゴにあるスクリップス研究センター(Scripps Research Center)の研究者らは、THC が、アルツハイマー病に関連する認知症の特質である、ベータアミロイド斑の形成に関わる酵素を抑制することを報告した。米連邦政府は、単離された THC が嘔吐を抑制し、食欲を増進する成分であることを認め、乱用の可能性がほとんどない薬物の分類、スケジュール III と見なしている。しかし、THCの唯一の天然源である大麻草は、医療的価値がないスケジュール I の薬物として分類されたままだ。

2. 「THCは悪いカンナビノイドでCBDは良いカンナビノイドである」という誤解
麻薬取締局等の戦略的退却は、「CBDに関しては譲歩しつつ、THCは引き続き悪者扱いすること」である。筋金入りの大麻禁制支持者は、CBDに関する良いニュースを利用し、高THCの大麻にさらに烙印を押し、THCを悪いカンナビノイドと位置付け、CBDは良いカンナビノイドだと定義している。なぜか。それは、CBDにはTHCのような精神作用がないからである。プロジェクトCBDは、非道徳的で、大麻に対する偏見に満ちたそのような二分法に断固反対し、ハーブとしての大麻の療法を支持している。

3. 「CBDはTHCなしで最も効力がある」という誤解
THCとCBDは、大麻成分のパワーカップルで、共存している時に最も良く作用する。これまで、複数の科学的な研究で、CBDとTHCが相乗的に相互作用し、互いの効果を増進させることが立証されている。また英国の研究者らにより、大腸炎の動物モデルにおいて、CBDが THCの抗炎症特性を高めることがわかっている。サンフランシスコはカリフォルニア太平洋医療センター(California Pacific Medical Center)の研究者らにより、脳腫瘍や乳がんの細胞株に対する検査において、CBDとTHCは、単体よりも、組み合わせる方が、抗がん作用がより強力になると断定されている。また、ある広範囲な臨床研究では、CBDは、THCと組み合わせられると、単体の場合に比べて、神経疼痛に対する効果がより高いことが立証されている。

4. 「単一分子の医薬品が『無加工』の薬用ハーブよりも優れている」という誤解 米連邦政府よると、大麻草の特定成分、THCおよびCBDには医療価値があるが、大麻草そのものにはないという。そのような米国政府の単一分子以外に目を向けない姿勢は、大手製薬会社の製品を特別扱いする偏見を反映するものだ。単一分子の薬剤は、支配的な企業の、また、食品医薬品局(FDA)が認める方向性であるが、唯一の方向性ではなく、それは必ずしも、大麻による治療法から恩恵を受ける最適な方法ではない。大麻には、さまざまなフラボノイド類や芳香族テルペン類、またTHCやCBDの他にも少数派カンナビノイドなど、数百の化合物が含まれている。そして、その化合物がそれぞれ特定の治療属性を持っているが、混成した状態で、科学者が言うところの『アントラージュ効果』(entourage effect)をもたらすため、大麻草全体の治療効果は、単一分子の化合物の総計よりも大きな効果がある。しかし、FDAは今のところ、一植物を医薬として認めていない。

5. 「精神作用は本来有害な副作用である」という誤解
政治的に正しいとされる、薬物戦争についての問答によると、大麻のハイ(精神作用)は望ましくない副作用であるという。マイルドな陶酔感が病人や健康な人間にとってマイナス効果になる理由は明らかではないのだが、大手製薬会社は、医療効果のある大麻由来分子の合成に躍起になっている。古代ギリシャでは、『陶酔』(euphoria)は『健康であること』、『健康で安心な状態』(well-being)を意味した。大麻の陶酔の質は、体に良くない副作用ではなく、大麻の治療価値に深く関わっている。トッド・ミクリヤ博士は、次のように言っている。「私たちは、大麻を、偶然にも治療属性のある陶酔作用物質というよりむしろ、多くの薬剤がそうであるように、まず、偶然にも何かしらの精神作用特性がある薬剤と見なすべきである」。

6. 「CBDは全米50州で合法である」という誤解
輸入品のCBD抽出ヘンプオイル業者は、含有THCが3%未満であれば、米国内のどこででも商品の取り扱いが合法であると主張している。しかし、実際はそれほど単純ではない。連邦法では、農家による商業目的のヘンプの栽培は禁止されているが、含有THCが低い輸入の産業用ヘンプ製品については、葉や花穂以外、つまり種や茎に由来する限り、その販売が許可されている。ここに問題点がある。CBDは、ヘンプの種からは圧搾、抽出されないことだ。CBDは、ヘンプ草の葉や花穂から、そしてわずかな量が茎から抽出される。ヘンプオイルの新規事業は、含有するCBDが種や茎から抽出したものであると言うと、信ぴょう性を欠く。連邦議会では近く、規制薬物法の大麻の定義から産業用ヘンプとCBDを免除する議決がなされる可能性がある。海外で栽培されたヘンプに由来するCBDが米国内で合法であれば、そのような法律は必要ない。

7. 「『CBDのみ(許可する)』法律により十分な数の患者の役に立つ」という誤解
国内11州の立法機関が「CBDのみ(許可する)」(正確には低 THC を許可する)法律を承認し、他の州も後に続く構えだ。州の中には、CBD製品の原材料を制限し、CBDを入手できる患者の疾病を特定する州があるが、そうでない州もある。表面的には、そのような法律では、THCが3%未満のヘンプや大麻に由来するCBDオイルの使用が許可されている。しかし、THCが少ないCBDオイルが患者全てに有効だとは限らない。てんかん持ちの子供の親は、多くの場合、いくらかのTHC(または、熱を加えない生のTHCであるTHCA)を加えた方がてんかんの抑制に有効なことを発見している。てんかんの中には、THCが多い品種の方が、CBD製品よりも効果があるものがある。CBDのみの法律により、大多数の患者が十分に助かりはしないのだ。多くの患者には、THCが少ない薬剤だけでなく、幅広い成分構成(broad spectrum)の薬用大麻が必要なのだ。大麻療法には、万能種というものはない。化合物にも、製品にも、品種にも、万能な一種というのは存在しないのだ。

8.「CBDはCBDでその原料は問題ではない」という誤解
否、問題である。(法律的な問題には関係なく)産業用のヘンプは、品種によっては、その花穂や葉がCBDの原料として有用である場合があるが、決して最適な原料ではない。産業用ヘンプに含有するCBDの量は、CBDが豊富な大麻に比べてはるかに少ない。少量のCBDを抽出するのに大量の産業用大麻が必要である。したがって、大量のヘンプを使用すればそれだけ、ヘンプは土壌から重金属類を吸収する「生物蓄積装置(bio-accumulator)」であるため、有害な汚染物質の危険性が高まる。研究所で合成された単離CBDや、産業用ヘンプから抽出・精製された単離CBDには、天然の大麻品種に含まれる、重要な薬用テルペンや副次的なカンナビノイド類がない。これらの化合物はCBDやTHCと相互に作用し、その治療効果を高める働きがある。

Source: Project CBD
Project CBD > Recent News > CBD Misconceptions
翻訳:(株)あさやけ





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