第12回公判 被告人最終意見陳述(1)

投稿日時 2016-02-12 | カテゴリ: 白坂裁判

第12回公判 被告人最終意見陳述(1)


平成25年(わ)第149号 大麻取締法違反被告事件

最終意見陳述要旨

平成28年2月12日

長野地方裁判所松本支部 刑事部 御中

被告人 白坂 和彦

審理の終結に際し、申し述べます。

1.はじめに
私が逮捕されたのは、平成25年 9月29日のことでした。もう2年4ヶ月が過ぎたことになります。きっかけは、大麻報道センターとして私が企画した「あとの祭り~だから今こそ医療大麻を!」という、CBDオイルのお披露目イベントでした。これは福島の原発事故を意識したタイトルで、キャンプ場を借り切ってのイベントでした。が、「俺は誘われた身だが違法な大麻パーティーなので通報した」、とチクられてしまったのでした。不徳の致す限りであります。

会場の天平の森は、川端康成、井上靖、東山魁夷が連れ立って訪れ、眺望を絶賛したという景勝地・長峰山に所在し、このイベントが事件になることがなければ、鳴り響くベースの音や、焚き火を囲んでのギターの弾き語りや、謡や、ウクレレの音色や、参加者どうしの語らいや、おいしかった料理や、手作りピザや、天ぷらや、生ビールや、日本酒や、満天の星空や、北アルプスを背に沈む安曇野の夜景などは、参加者たちの楽しい思い出になるはずでした。私たちは、いくらでも音を出してよいという管理人の許可を得て、誰に迷惑をかけることもなく、ただ楽しんでいただけなのです。

事件については、会場の管理者の方たち、イベントに参加してくれた人たちに、多大なご迷惑をおかけしたことを、改めてお詫び申し上げたい思いです。

2.本件は不当な弾圧的逮捕です
事件当日、会場に警察官たちが乗り込んで来た時、本来であれば、主催者である私が対応しなければならないところ、車で会場を離れていた私はすでに検問にひっかかり、自由を奪われていたので何もできませんでした。が、冷静に、適切な対応をしてくれたナイスな仲間たち、関係者たちには、深く深く深く感謝しています。

捜査のきっかけは、おそらく、拙宅を出入り禁止になり、私から大麻をもらえなくなった者によるタレこみで、その内容は、天平の森のイベントは大麻パーティーだというものでした。

証人として出廷した警察官たちの証言でも明らかなように、捜査当局はそのタレこみを受けて偵察を出すと同時に、イベントの主催者が大麻報道センターを主宰する私であることや、前科のある桂川直文氏も参加していることをインターネットで知り、私と桂川さんの車が会場の駐車場にあることを確認したうえで狙い撃ちにしているのです。

私の場合は、当日の朝、所用で会場を車で離れたところ、山の中腹で待ち構えていたパトカーに追尾され、停止を求められました。私は指示に従って停車し、近寄って来た警察官に「なんですか?」と尋ねました。
警察官は「スピード出し過ぎですよ」と免許証の提示を求めました。
私は、「こんな山道でスピードを出し過ぎるわけがないでしょう。何キロ出てたんですか?」と訊きました。
警察官は、「いや、計っていたわけではないけど」と答えました。
そのようないい加減な話で、しかも任意だというなら、免許証の提示には応じない、急いでいるから行かせてほしい、と私は警察官に告げました。
しかし、警察官は「いやそれは困る」などと言って時間を稼ぎ、まるで私の車を障害物のように取り囲んで、応援の警察官たちを呼び、私の車が発進できないように交通整理を始めたのです。いったいこれのどこが任意でしょうか。私はこの間、急いでいるので行かせろと、何度も何度も警察官たちに告げました。しかし、私の車を障害物として扱う交通整理が解除されることはなく、そのうち、会場で大麻が発見されたという話を警察官から聞かされ、また、会場を掃除し、撤収し、会計しなければならないこともあり、私は会場に戻ることにやむを得ず同意したのです。

会場に着くと、私は所持品検査や車の中の検索も受けましたが、何も出ませんでした。しかし、このイベントの責任者として警察署で事情聴取に応じてもらわないと困るという執拗な警察官の言葉に、他に選択肢がないと考え、次の客が入るからと片付けを迫る会場の管理人に、明るいうちに戻って片付けると約束し、警察官にもそれを条件として告げ、私は安曇野署に行きました。

そしてこの間、イベントに参加していた若者を任意同行で安曇野署の取調室に連れ込んだ警察官たちは、私がその若者から聞いたところによると、帰れないぞ、などと脅迫的な言辞を繰り返し弄し、逮捕拘留をちらつかせて、白坂宅で大麻を吸わせてもらったことがある、という言質を若者から取り、それを根拠に拙宅への家宅捜索令状を裁判所に請求したのです。

検問で止められた午前10時30分くらいから午後8時過ぎまで、私は自由を奪われ、食事もとれず、警察官たちの騙し討ちにあって、10時間に及び自由を剥奪されました。

桂川さんの場合は、会場に踏み込んで来た警察官たちが、最初から「桂川はどこだ」と言って捜し回っていたと、その場にいた人たちから聞きました。桂川さんがいたコテージから袋に入った大麻が発見され、それは桂川さんのものではなかったそうで、桂川さんの起訴内容にも含まれていませんが、警察官にその袋を突き付けられた桂川さんは、慌ててしまったのか、警察官からその袋を奪い取り、コテージの中に駆け込んで窓からそれを放り投げて捨てるといった行動に出てしまい、公務執行妨害で逮捕されました。桂川さんの大麻の起訴は、その後の家宅捜索で押収されたものによってです。

この一連の経過は、大麻合法化運動に取り組む私の立場からは、大麻パーティーに対する警戒を超えて、私と桂川さんを狙った明らかな弾圧です。

また、今回の事件とは直接関係ありませんが、昨年4月、私が主宰する大麻報道センターの京都在住のスタッフが大麻所持で逮捕された際、このスタッフの事件には私も桂川さんも一切関わっておらず、特に桂川さんはこのスタッフの顔と名前さえよく知らなかったはずですが、関係先として私と桂川さんは5月12日に京都府警の家宅捜索を受け、判決公判を目前に控えて桂川さんはまた逮捕されてしまいました。

その日、私は早朝から不在で、自宅からは何も出ませんでした。後日、拙宅に家宅捜索に入った京都府警本部組織犯罪対策課の警部と電話で話しましたが、何を根拠にうちに家宅捜索に入ったのか聞いたところ、逮捕されたスタッフと私は「大麻という大きな意味で関係がある」との説明でした。これなども、私の立場から言えば、警察による大麻合法化運動への弾圧以外のなにものでもありません。





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