大麻を巡る問題を考えるとき、オランダのハームリダクション政策がとても示唆的であることを、「ある薬物研究者の論稿」としてお伝えしましたが、ノル・ファン・シャイク氏の「ダッチ・エクスペリエンス -オランダ・コーヒーショップの30年-」は、論文ではなく、物語のように経緯が書かれていて、先の研究者氏の論稿の理解を深めるうえでも、歴史物語としても、とても読み応えがあり、この問題に関心を持つ人にはお勧めの一冊です。
ありがたいことに、カナビス・スタディハウスさんのサイトで読むことができます。
▲オランダ・コーヒーショップの30年 ダッチ・エクスペリエンス ノル・ファン・シャイク著
「オランダ」というとパブロフの犬のごとく反射的に「アムステルダム」と答えてしまう私ですが、ハーレムという街の先進的な、現実的な、合理的な、寛容な取り組みに唸ってしまいました。
アムステルダムから西へ16キロ、北海のブルメンダール海岸近くにホランド州の州都ハーレムがある。2002年現在、ハーレムには16軒のコーヒーショップと3軒のグローショップが営業している。
その点ではオランダの他の市や町と何ら変わらない。しかし、ハーレムでは、市当局とコーヒーショップの双方が協議しながら、すべての関係者にとって満足できるようなカナビス政策を作上げてきたというところが異なっている。
「第8章 ハーレム・モデル、その誕生と働き」より
どうです?まだ読んだことのない方、読みたくなるでしょう?私は移住したくなりました。
杉田玄白がオランダ医学から学んだように、大麻のことに関しても蘭学が大いに参考になるのではないかと、ある先達が言っていました。なるほど、納得です。
ダッチ・エクスペリエンスは「大麻解体新書」、カナビス・スタディハウスは「大麻蘭学事始」。そんな感想を持ちました。
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