第6回公判記録。
証人訊問:関浩太郎警部補(41歳)
検察官
まず,証人の経歴ですけれども,証人は長野県警察の警察官ですね。
はい。
現在の所属と階級を答えてください。
長野県警察本部刑事部組織犯罪対策課司法警察員警部補。
警察官としての経歴を簡単に話してください。
平成11年4月,長野県警察官に拝命し,その後松本警察署で地域警察官として交番勤務を3年半,そのうち2年間は警察庁の国際研修センタで語学研修を2年,その後長野県警察本部刑事部国際捜査課で2年間,平成17年に組織改編がありまして,現在の組織犯罪対策課に1年間,その後上田警察署に2年,そして組織犯罪対策課で2年,その後伊那警察署刑事課第2係2年,そして現在の組織犯罪対策課,4年目になります。
平成25年9月29日当時ですけれども,証人は現在と同じ所属であったということですね。
はい,そのとおりです。
その経歴の中での職務質問等の経歴は何年くらいありますか。
語学研修の2年間を除く15年間になります。
その15年間を通して職務質問や所持品検査,任意向行等の手続に関して違法性を争われたことはありますか。
ありません。
証人は,平成25年9月29日の被告人に対する職務質問以降の手続に関与していますね。
はい,そのとおりです。
職務質問から順に聞いていきますが,職務質問,任意向行の場面に関しては簡潔にお答えください。まず,職務質問に関してですけれども,証人が職務質問に関与するようになったいきさつについて簡単に説明してください。
当日,私は週休でありまして,上司の中川警部から電話連絡がありました。連絡をいただきまして,安曇野署管内で、大麻パーティーが行われ,そこに参加者が多数いると,応援を願うということで呼び出しがありました。
それで,証人は安曇野警察署へ行ったということですか。
はい,そのとおりです。
安曇野警察署では,どのような情報,どのような指示がありましたか。
大麻パーティーが天平の森で行われており,その主催者である被告人,白坂被告人が現在職務質問を受けているが,それに応じず,また任問にも応じていないということで,まずは天平の森で関係者から話を聞いてもらいたいということ,指示を受けました。
それで,証人は天平の森へ行きましたね。
はい。
同行した者はいましたか。
部下の矢島巡査部長です。
天平の森に着いたとき,その場では何が行われていましたか。
私が到着したとき,バンガローで桂川直文が大麻の予試験をしているところでありました。
その予試験の結果はどうでしたか。
陽性反応を示していました。
桂川さんは,その後どうなりましたか。
現行犯逮捕され,安曇野警察署へ連行されました。
そのほかに天平の森で行われていたことはありましたか。
ほかには,ほかの参加者もいましたので,周りの警察官が職務質問を行っていました。
その中で,記憶に残っている人はいますか。
おりません。
●村兄弟という人たちは,●村●希,●村●司の兄弟はいましたか。
おりました。
●村兄弟に対する職務質問について記憶に残っていることはありますか。
はい。●村兄弟がいたバンガローの中にごみ箱がありまして,そのごみ箱に大麻のかすがあったことを記憶しております。
今そのほかの参加者にもという証言がありましたけれども,そのほかの参加者に対しても職務質問のための声かけは行っていたということですか。
私自身ではありませんでしたが,他の警察官が職務質問をしておりました。
そのほかに天平の森で大麻が発見されたことはありましたか。
はい。研修棟の中にプラスチック製袋に入った大麻がありました。
この時点で,その袋入りの大麻については誰が所有者あるいは所持者であるかはわかっていましたか。
わかりませんでした。
この大麻の所有者や所持者を明らかにするためにどのようにするべきか,何か指示はありましたか。
恐らく現場で写真撮影をして差押えを考えたはずです。
この発見された袋入りの大麻について,主催者である被告人から話を聞く必要性ということは考えましたか。
それも考えました。
それで,証人たちはどうしましたか。
職務質問を受けている被告人のもとへ向かいました。
被告人とは,どのようにして落ち合いましたか。
実際私どもが,私と矢島巡査部長で車に乗って職務質問をしている場所へ向かったのですが,その途中ですれ違いになりまして,私たちは峠でUターンをして天平の森へ戻りました。
では,天平の森に着いてからのことについて聞きます。証人と矢島部長が駐車場に着いたときには既に白坂被告人に対する職務質問は始まっていましたか。
はい,始まっていました。
何名くらいの警察官が立っていましたか。
2人くらいだ、ったと思います。
証人は,その白坂被告人に対する職務質問に加勢したということですか。
はい,私と矢島部長が加わりました。
その際,被告人は職務質問には応じていましたか。
はい,応じておりました。
証人と矢島部長を含めて4名くらいの警察官が白坂被告人の職務質問に当たっていたことに少なくともなりますけれども,その位置関係はどうでしたか。
被告人の前面に4名がいたと思います。
質問は誰がしていましたか。
私が主だったと思います。
その4名で被告人を取り囲んだり矢継ぎ早に質問をしたりしたということはありませんでしたか。
なかったと思います。
被告人に対して所持品検査を求めましたか。
求めています。
それは,誰がどのようにして求めましたか。
私が所持品を見せてほしいとお願いしました。
具体的には所持品検査の対象としては,何をするというふうに告げましたか。
持っているものを出して見せてほしいとお願いしました。
被告人車両については依頼しましたか。依頼しました。
その携行品と車両それぞれについてですが,白坂被告人の反応はどうでしたか。
承諾してくれました。
携行品に対する所持品検査は,どのようにしてやりましたか。
被告人みずからポケットや持っているものを出してもらいました。
その携行品から大麻を含む禁制品は発見されましたか。
発見されていません。
車に対する所持品検査は,どのようにして行いましたか。
被告人にドアをあけてもらい,中のあるものを取り出して見せてもらしました。
被告人自身もその車両の検索に立ち会っていたということですか。
そのとおりです。
車の中の荷物などについては,どのようにして見せてもらっていましたか。
荷物については,持っているものを開閉して見せてもらったと思います。
それは,被告人自身がやったということですか。
はい。
その車両内からは,大麻を含む禁制品は発見されていませんね。
はい。
それから,先ほど証言で出た研修棟にあった大麻ですけれども,これの確認も被告人にしてもらっていますか。
してもらっています。
携行品と車両に対する所持品検査を終えた後に研修棟に向かっていますね。
はい,そのとおりです。
研修棟に向かうときには誰がどのようにして被告人に依頼をしましたか。
私が研修棟に,その場では大麻があるとは言ったかどうかは記憶にないんですが,研修棟にも確認してもらいたいものがあると言って,一緒に来てもらえませんかと依頼しております。
被告人の反応はどうでしたか。
被告人は承諾してくれまして,一緒についてきてくれました。
その間警察官が取り囲んだり,被告人の体に手を触れたりということはありませんでしたか。
ありませんでした。
研修棟に移動してからですが,研修棟内で被告人にその大麻を確認してもらうのはどのようにしてやりましたか。
被告人に大麻が置いてあった場所を確認してもらいました。
被告人は,その大麻について何か言っていましたか。
これは俺のものじゃない,誰が持ってきたんだ,これは医療大麻だというようなことを言っていました。
そのような確認をしているときですが,研修棟に警察官は何名ぐらいいましたか。
四,玉名いたと思います。
その研修棟の中でのことですけれども,警察官が被告人の周りを取り囲んだり,出入口に立ち塞がったりして被告人が外に出られないようにしたということはありませんでしたか。
ありませんでした。
研修棟で被告人にその大麻を確認してもらった後ですが,被告人は何をしましたか。
被告人は,その後外へ出てトイレへ行ったと思います。
被告人は,研修棟から外に出るとき,何か,これから何をするかということについて何か言っていましたか。
外に置いである荷物を片づけたいということを言っていました。
被告人は,そのようなことを言ってみずからその研修棟を出ていったということですか。
そのとおりです。
先ほどトイレという話がありましたが,この研修棟を出ていった後に被告人がトイレに行きたいということを言い出したということですか。
そのとおりです。
被告人は,トイレには行きましたか。
行っています。
トイレは,どこにありましたか。
研修棟の隣の建物だったと思います。
そのトイレに行った前後ですけれども,研修棟から出た後,被告人に対して任意同行を依頼していますか。
依頼したと思います。
今思いますと言いましたが,記憶にありますか。
はっきりではないですけれども,依頼していると思います。
被告人は,任意同行するかどうかについて何か言っていましたか。
片づけをしてからだったら行きますというようなことを言ったはずです。
片づけをするのが先だという趣旨のことを言ったということですか。
はい。
そのとおりです。
その片づけというのは,どこのことを指しているかわかりましたか。
はい。キャンプ場になるかと思うんですけれども,そこに置いてあったキャンフ道具だったり音楽機材,あとはライト,照明具等,そういったものが置いてあったと思います。
それを片づけたいということだったということですか。
そのとおりです。
実際に被告人は片づけをしましたか。
しました。
その際に警察官がその片づけをしている被告人のそばにいたということはありましたか。
はい。
それは,警察官は何をしていたんですか。
大麻がそこにもあってはいけないということで,確認をしたと思います。
その確認をする際ですけれども,その確認をする対象が被告人のものであるかどうか,またそれを見てもいいかどうかということについて被告人から承諾は得ていましたか。
承諾受けていました。
その片づけの際に警察官が確認した被告人のものの中から大麻を含む禁制品は発見されましたか。
発見されませんでした。
先ほど被告人は,片づけをした後に警察署に行くという趣旨のことを言ったということでしたね。
はい。
その後,被告人は安曇野警察署に行きましたね。
はい。
被告人が天平の森から安曇野警察署に移動する際にはその天平の森で使ったキャンプ場などの片づけは全て終わっていましたか。
終わっていませんでした。
片づけが最後まで終わらないうちに安曇野警察署に行くことになったのはどのような理由だったんですか。
それは,全ての荷物を車に乗せたんですけれども,車に乗り切らなかったものが何点かあったかと思います。
ちょっと整理しますと,被告人が片づけたいと言っていたキャンプ場やその敷地の中の被告人の荷物を被告人の車に積み込んだんだけれども,全部積み込み切れずに現場に残ったものがあったということですか。
はい,そのとおりです。
被告人から,片づけがまだ途中までしかできていないから,警察署に行くのはいいけれども,明るいうちに天平の森に帰してくれないかということは言われましたか。
その時点で言われたかどうかは記憶にありません。
この時点で言われたという記憶はありますか。
その後の取り調べで言われた記憶があります。
その時点で言われたのではないということですか。
はい。
天平の森から安曇野警察署へはどのようにして行きましたか。
被告人から安曇野警察署の場所がわからないので,先導してほしいと。先導してもらえたらありがたいと言われたので,安曇野の署の車を先頭に被告人の車両,そして被告人の車両の後ろに私と矢島部長が乗る車両で向かっています。
先頭の安曇野署の車両ですけれども,こちらには宮坂さんは乗っていましたか。
はい,乗っていました。
安曇野警察署の車両,被告人車両,証人の乗った捜査車両の3台で,天平の森からこの順番で出発したということですね。
はい,そのとおりです。
そのパーティーに参加していた男性1名を被告人の車両に乗せて明科駅まで送っていったということはありましたか。
ありました。
この参加者の男性を被告人車両に乗せた,そのいきさつ,その状況について少し説明をしてください。
先頭を行く安曇野の車両,その次に被告人の車両が天平の森の敷地内から出たところで,1名の若い男性がリュックサックをしよって峠をおりていこうとしたところ,被告人が声をかけたところ,その者はここから歩いて明科駅へ行くと言っているので,彼を乗せて明科駅へ行きたいということで彼を乗せた。それで,その状況に気づかなかった安曇野の車両が少し聞をあけて先に出てしまっていました。被告人からそのような話は後方にいた私がたしか確認しております。そして,少し距離,距離何メートルだかはちょっと記憶にはないんですけれども,それで、被告人が乗る車に男性を乗せて明科駅へ向かっています。
被告人がその参加者の男性に声をかけるために車をとめたということですね。
そのとおりです。
そのことに宮坂さんが乗っていた安曇野の署の車両は最初気づかずに少し先に行ってしまったということですか。
はい。
その状況を証人は一番後ろの捜査車両内から見ていたということですか。
はい。
その明科駅で男性をおろした後ですけれども,コンビニエンスストアに寄っていますね。
はい。
このコンビニエンスストアの店内に被告人は入りましたね。
はい。
被告人は,この店内で何をしていたか,証人は見ていましたか。
見ておりましたが,私は駐車場にとめた車の中で見ていて,コンヒマニエンスストアの,ガラス張りになっていたんですが,太陽の光とかのかげんで,トイレのほうへ行くのが見えた程度で,その後何をしているのかというのははっきりわかりませんでした。
証人や同乗していた矢島さんは,コンビニの店内には入っていますか。
入っていません。
このコンビニを出てからは,安曇野警察署に直接行ったということですね。
はい,そのとおりです。
安曇野警察署に着いて,まず駐車場に車をとめましたね。
はい。
その後,被告人を2階の刑事課にある参考人用取調室に案内をしたということですね。
はい,そのとおりです。
まず,取調室に入ったときの状況ですけれども,どのような位置関係で座りましたか。
南側奥になりますが,そこに被告人が座り,机を挟んで北側に私が座りました。
取り調べの最中も含めてですけれども,入り口の扉はどうしましたか。
あけたままになっていました。
施錠もしていないということですね。
しておりません。
立会人はつけましたか。
ついていません。
取り調べを開始するときですけれども,開始する直前に証人は山田課長,あるいは中川補佐にそれまでの状況を報告したり,取り調べを開始するということを報告したということはありましたか。
はい,ありました。
その中で,山田課長や中川補佐からは取り調べの内容について何か指示を受けたことはありましたか。
特にはそのときにはなかったような気がしますので,私の判断で調書を作成しました。
この取り調べ開始時ですけれども,被告人のことを参考人として取り調べるのか,被疑者として取り調べるのかについて,山田課長や中川補佐と相談したことはありましたか。
ありました。
それについては,どのようになりましたか。
一応参考人ということで取り調べをすることになりました。
証人としては,なぜ被疑者ではなく参考人として取り調べるべきだと考えたんですか。
天平の森にあった大麻については,まだ被告人のものであるかということについてははっきり供述もありませんでしたし,わからなかったということです。
被告人の大麻の所持等に関する容疑が明らかでなかったからということですね。
そのとおりです。
証人は,このとき取り調べの中でどのような内容のことを聴取しようと考えていましたか。
既に2名の逮捕者が出ていたので,大麻パーティー主催者としての責任などについて確言忍しました。
質問をよく聞いてくださいね。今確認しましたと言いましたけれども,何をしたかということの前に取り調べを開始するとき,証人としてはどのような内容のことを被告人から聴取しようと考えていましたか。
パーティーの内容です。
この日,この前日から開催されていた大麻パーティーの内容について聴取をしようと考えていたということですね。
はい。
証人がそのように考えた理由は何でしたか。
現に2名の大麻所持の逮捕者が出ていたことから,そのように聴取すべきだと思ったので,そうしたわけであります。
それは,被告人がその大麻パーティーの主催者だからということは関係ありましたか。
そのとおりです。
確認ですけれども,証人が被告人を参考人として取り調べようと,そして大麻パーティーのことについて聞こうと考えたのは,既に逮捕者2名が出ていて,被告人が主催者であるため,そのパーティのことについて聞く必要があると考えたからであるということでよろしいですか。
そのとおりです。
確認ですけれども,その逮捕者2名というのは誰のことを指していますか。岩●という者と桂川です。
取り調べを開始した時刻はわかりますか。
いや,はっきり記憶には残っておりません。
大体で結構ですけれども。
3時半ごろか4時ごろだったと思います。
この日,天平の森に職務質問に行きましたね。
はい。
その後,被告人と行き会って職務質問をしたり所持品検査をしたりして,その後任意向行を経て安曇野警察署に到着したということでしたね。
はい。
その間に,これからどうする,今どうなっているということは逐一山田課長や中川補佐に無線などで連絡はしていましたか。
はい。そのときは,携帯電話で連絡していました。時間も含めてしていましたか。
はい。
証人は,この証人尋問に出廷するに当たって,平成25年11月6日付けの司法警察員山田佳照が作成した,この一連の手続を記載した捜査報告書を読みましたか。
はい。
その中にそれぞれの出来事や時間などが記載されていましたね。
はい。
証人がかかわった部分で,証人の記憶と違うというものはありましたか。
ありませんでした。
時間についても大体記憶のとおりということでよろしいですか。
はい,そのとおりです。
記憶喚起のために誘導しますけれども,証人が被告人とともに安曇野警察署に到着した時間は午後3時38分と記載されていますが,取り調べを開始したのはそれからその後ということでよろしいですか。
はい,そのとおりです。
開始したのは,大体どれくらい後でしたか。
5分ぐらい後ぐらいですか。
そうすると,大体午後3時45分前後ということでよろしいですか。
はい。
続いて取り調べの内容ですけれども,どのような内容のことを被告人から聴取しましたか。
今回の天平の森で行われたパティーの流れや趣旨や,本人が主催者であるということで,本人の活動内容であります。趣旨にあっては,CBDオイルのお披露目式だということを話していたので,私も捜査に携わっていながらそのCBDという成分についてわからなかったので,そういったCBDのことについて,その製品の入手について,どこで製造されて,どこで販売されているかなどを事細かに聴取しております。
具体的な内容としては,被告人はその活動内容についてはどのような内容のことを話していましたか。
大麻取締法が違憲であるということで,それを合法化する活動をしていると。済みません,前後して申しわけないんですけども,もともと戦前日本では大麻を利用したり,大麻は捨てる部分がないということで,繊維もとれたり,燃料もつくれるといった内容を話した上で,大麻は必要なものだという主張でありました。
それから,パティーの趣旨,先ほどCBDオイルのお披露目という話がありましたが,これについてはどのような内容のことを被告人は話していましたか。
CBDオイルによって,てんかんを持っている子供などに与えると発作がおさまるというような話をしていました。
そのほかにも体に効果があるというような話はしていましたか。
はい。大麻にはがん患者など食欲が減退している人に大麻を吸わせると食欲が増進したり,欝病の者が大麻を吸うと効果があって,穆病を改善できるということなどです。
証人は,今証言したCBDオイルの効用であるとか,戦前から大麻が日本では利用されてきたと,こういうような内容であるとか,それらのことについてこのときまで知っていましたか。
知りませんでした。
被告人から説明を受けて初めて知ったということですか。
はい,そのとおりです。
先ほどCBDオイルの入手方法,その製品のことなどについて聞いたというふうに言っていましたが,それは証人自身が知らなかったので,被告人から説明をしてもらっていたということですか。
はい,そのとおりです。
そのような説明を聴取をしている際,被告人からもう帰りたいんだという申し立てはありませんでしたか。
はい,ありました。
どのようなことを言われましたか。
明るいうちに片づけをしたいという話をしました。
被告人は,そのような帰りたいと,明るいうちに片づけをしたいというようなことをいつごろから言い始めましたか。
調べ室には窓はありまして,ちょうど外が薄暗くなってきたころだったので,5時か6時ごろだったと記憶しております。
証人自身は,天平の森で、被告人が片づけをしているのを実際に見ていましたね。
はい。
そこに荷物が残っているということも知っていましたね。
はい。
それで,被告人から荷物を片づけたしいからと,帰りたいということを言われたわけですね。
はい。
それに対して証人としては被告人に対してどのようなことをしましたか。
逮捕者も2名いて,まだ事案の概要もはっきりわからない状況でもあったので,さらに具体的に話をまだ聞く必要があったため,説得をしました。
それに対して被告人はどのような反応でしたか。応じてくれていました。
具体的にはどのようなやりとりがありましたか。
・・・・・
証人が説得で言った内容は今証言されましたけれども,被告人がその説得に対してすぐにはいと,わかりました,それではいますと答えたのか,いろいろ申し立てをした上で話し合いをしたのか。
たしか7時までにしてくれと申し立てたんですけれども,私はそのときにはまだ調書を作成中であって,細かい部分も聞きながら作成していたものですから,7時ではまだ終わらないということで,もう少し延ばしてほしいということをお願いしています。そして,被告人のほうから,それじゃ8時までと言われました。
かなり時系列が進んでしまったので,順番に聞きますけれども,まず3時45分ころに取り調べを開始して,天平の森でやっていたパーティーのことや被告人がやってきた大麻の合法化運動の内容などを聞いた左いうことでしたね。
はい,そのとおりです。
証人は,その時点で、被告人の供述調書,2枚組のものをまず作成していませんか。
はい,作成しております。
内容としては,どのようなものでしたか。
それについては,パーティーを行った趣旨,責任者である立場などを記載しております。
この2枚組の1通目の供述調書の中では,そのパティーに誰が参加をしていて,どこに泊まっていたのか,そのパーティーの中ではどのようなプログラムで行われていたのかなど,細かいことについては記載できていましたか。
まだその段階では記載できていませんでした。
証人は,この1通目の供述調書を録取し終わった後,この供述調書を山田課長や中川補佐に対して持っていって状況を報告しましたか。
はい,しております。
それに対して山田課長や中川補佐から,さらに細かく聴取するようにという指示はありましたか。
ありました。
さらに細かく聴取するようにと言われた内容は,どのような点についてでしたか。
それは,大麻パーティーの主催の趣旨であったり,そのパーティーの流れだったり,そのパーティーの状況などだったと思います。
それで,証人はさらに取り調べを継続して,その後さらに調書を1通巻いたということですか。
はい,そのとおりです。
その1通目の供述調書を作成して山田課長や中川補佐に報告したときのことですけれども,そのときのそのほかの捜査員の捜査状況というのは何か聞きましたか。
はい。先ほど言いました●村が,被告人の居宅で9月ごろだったか,大麻を吸ったことがあると供述し,そこで捜索差押許可状を請求するという話を開いております。
その捜索差押許可状の捜索差押するべき場所は,被告人の自宅のものですか。
はい,そのとおりです。
その後も取り調べを継続したということですけれども,報告をした後の取り調べの中では具体的にどのようなことを聞きましたか。
具体的には先ほど言いましたとおり,大麻パーティーの趣旨だったり,被告人が活動する大麻報道センターについてだったり,パーティーにかかった費用などを聞いております。
そして,その内容を供述調書にまとめたということですか。
はい,そのとおりです。
9月29日付けで先ほどのものとは別に被告人の署名,指印部分までで5ページの供述調書を作成していますね。
はい。
その中に大麻報道センタは平成16年ころから活動を始めたことであるとか,CBDオイルはアメリカ合衆国コロラド州に本社を置く会社から輸入をするものであるとか,今回のものは友人を通じて4個入手したものであるとか,病気に効くものであるとか,何時から何時までどのようなことを,野外ライブを行ったとか,そのような内容のことを記載したということですね。
はい,そのとおりです。
先ほど来被告人から開いたCBDオイルの効用であるとか,大麻報道センターの活動内容であるとかについて証言されていますが,これは1通自の供述調書を作成する前と後,両方にわたって聞いた内容ということですか。
ある程度大まかなことは聞いてあったと思うんですが,細かい部分についてはまだ未聴取でありました。
ちょっと質問をもう一回します。よく聞いてください。今の証言踏まえますと,取り調べを開始してから1本目の供述調書を巻くまでの聞にCBDオイルのことや大麻報道センタの活動内容について大まかなことを聞いていたということですね。
はい。
取り調べを再開した後に,さらにその内容について詳しく聞いていったということですか。
はい,そうです。
その詳しく聞いた内容について,2通目の供述調書を作成したということですか。
そのとおりです。
その取り調べの中で,被告人のほうから7時までに必ず終わってくれという申し立てがあったということですか。
はい,そのとおりです。
実際には7時までに終わりませんでしたね。
はい。
このときには7時の時点ではどのようなことをしていましたか。
依然調書を作成しておりました。
2通目の供述調書ですね。
はい。
1通目,2通目とも供述調書は手書きですね。
はい。
手書きの供述調書を作成するには時間がかかるものなんですか。
相手が供述した内容によります。
被告人の2通目の供述調書についてですけれども,5ページ作成されていますが,これについてはどれくらいの時間がかかりましたか。
はっきりとは余り記憶にはないんですけれども,2時間ぐらいですか。2時間ぐらいたったと思います。
7時の時点では,まだ供述調書を作成していたということですか。
はい。
7時になった時点で被告人のほうから,もう7時になったから帰りたいという申し立てはありましたか。
あったと思います。
それに対しては,被告人と証人との間でどのようなやりとりがありましたか。
調書がまだ終わらないので,もう少し延ばしてほしいとお願いしました。
それに対して被告人はどのように言いましたか。
じゃ,8時までというふうに言ってきました。
8時になったら,もう絶対に帰ると,そういうことだったんですか。
はい。
8時までということになって供述調書の作成を継続したということですか。
はい,そのとおりです。
8時になるまでの聞に被告人のほうから時間に関して,さらに何か言ってきたということはありましたか。
7時50分になったらあと10分だとか,7時55分になったらあと5分で帰るというような申し立てがありました。
被告人は,そのような時間は何で確認していましたか。
持っていた携帯電話です。
携帯電話は,被告人の手元にあったということですか。
はい,そのとおりです。
午後8時になった時点で供述調書の作成は終わっていましたか。
ちょうど終わらせたと言っていいと思います。
私の質問がちょっと中途半端だったので,もう一回聞きますけれども,8時になった時点で,その2通目の供述調書については読み聞け,署名,指印まで終わっていましたか。
終わっていませんでした。
どの段階でしたか。
読み聞かせを行うところだ、ったと思います。
証人が本文を作成するところまでは終了していて,被告人の読み聞け,読み聞かせをする前の段階だったということですね。
はい。
午後8時になった段階で,被告人から8時になったんだから帰りますという申し立てはありませんでしたか。
ありました。
それに対して証人はどのように対応しましたか。
また読み聞かせた上で署名,指印のためだけに来てもらうのは申しわけないので,これで終わりますので,読み聞かせを聞いて確認してくださいと頼んでいます。
証人としては,この日のうちに供述調書を読み聞かせして確認をするというところまでしなかった場合,後日どうしなければならないと思っていましたか。
既に調書には日付が入っていたので,また新たに作成しなければならないと患っていました。
それで,この日のうちに読み聞かせをして,署名,指印をするところまでやってほしいということを説得したということですか。
はい,そのとおりです。
それに対して被告人はどのように応じましたか。
嫌々ながらでしたが,応じてはくれました。
供述調書の内容を確認して署名,指印までしたということですか。
はい,そのとおりです。
その署名,指印まで終わった段階で被告人はどうしましたか。
立ち上がって取調室を出ようとしました。
被告人は,そのまま取調室から出ていきましたか。
はい。
証人は,被告人が立ち上がったのに気づいて取調室の出入口に立ちはだかったり,被告人の体に手をかけたりして被告人を出ていけないようにはしませんでしたか。
それは,ありませんでした。
証人は,被告人が立ち上がったのを見てどのように思いましたか。
本当に帰るんだなと思いました。
これ以上説得をしようという気持ちはありましたか。
説得はしましたけれども,説得を聞くどころか,もう歩き出していたので,出ていきました。
これ以上の説得は難しいと考えたということですか。
はい,そのとおりです。
被告人が帰るために席から立ち上がったのは,このとき以外にありましたか。
ありませんでした。
このときまでに被告人は明るいうちに片づけをしたいとか,7時までには帰るとか,帰りたいという意思を何度か証人に伝えていましたね。
はい。
その際には被告人は席を立ち上がるということはしなかったんですか。
何度かたばこを吸いに行くときには立ち上がってたばこを吸いには行きましたが,実際に取り調べを受けずに帰るというのはこのときだけでした。
ちょっと質問と答えがずれたので,もう一度聞きますけれども,被告人はこの取り調べの中で,証人に対して何度か帰りたいということを告げましたね。
はい。
その帰りたいということを告げたときですけれども,被告人が実際に立ち上がって出て行こうとしたということは。
ありませんでした。
2通目の供述調書が作成し終わった後が初めてだったということですか。
はい。
被告人が立ち上がって取調室を出ていった時間,実質的に取り調べが終わった時間ですけれども,これは何時でしたか。
8時少し過ぎていたと思います。
先ほどの報告書には午後8時12分という記載がありますが,その時間で間違いありませんか。
間違いありません。
被告人は,取調室から出てどちらに行きましたか。
取調室を出て,刑事課を通って,出て廊下がありまして,その廊下から階段へ,1階へおりて,それで、駐車場に出ていきました。
証人は,その被告人をずっと追し1かけていきましたか。
途中まで,階段手前ぐらいだったと思うんですけれども,そこまでは説得しながら行きました。
その説得をしているときは,被告人の前に立ちはだかったり,体に手を触れたりして行かせないようにはしませんでしたか。
しておりません。
階段のあたりまで来て,証人はその後どうしたんですか。
刑事課へ戻って,被告人が帰ってしまうことを報告しました。
報告した後ですけれども,証人はどうしましたか。
また被告人の後を追いかけました。
どこで追いつきましたか。
駐車場だったと思います。
駐車場では,被告人とはどのようなやりとりがありましたか。
あなたの居宅の捜索差押許可状が出ているので,捜索に立ち会ってほしいということを依頼しました。
それに対して被告人はどのように言いましたか。
たしか朝から何も食べていないので,どこかで何かを食べていきたいと言っていました。
それから証人や被告人との間ではどのようなやりとりがありましたか。
それならば,どこかで食べ物を買って,居宅で立ち会いをしながら食べてもらっても結構だということを伝えております。
それで、被告人は応じましたか。応じませんでした。
さらに,被告人は何か要求をしてきたということはありましたか。
捜索差押許可状があるならば本物を見せてくれと言ったと思います。
それに対して証人らはどのように対応しましたか。
既に被告人の居宅へ向かっている車両,これが捜索差押許可状を持っていたので,本物を被告人に見せるために戻らせました。
その車両が戻ってきて実際に被告人に捜索差押許可状は見せたのですか。
フロントの窓越しですけれども,見せています。
その捜索差押許可状を見せた後も被告人に対する説得は続けていましたか。
はい、
その捜索差押許可状を見せるために戻ってきた捜査車両について聞きますけれども,この捜査車両は被告人車両との関係ではどのような位置に駐車しましたか。
後部にとまりました。
その被告人車両と後部にとめた捜査車両との位置関係については,捜査車両を使ってその位置関係を再現したことはありましたか。
はい,しております。
位置関係を再現した状況を写真に撮影しましたか。
写真に撮影してあります。
それは,大体いつごろやったことでしたか。
被告人の逮捕後,間もなくだったと思います。
本件の職務質問が平成25年9月29日でしたけれども,それを基準とすると大体いつごろのことでしたか。
撮影した日については・・・正直記憶にはありません。逮捕後間もなく,日付は覚えていないということでよろしいですか。
はい。
その間もなくの大体を聞いているんですけれども,大体何日後とか何週間後とかどのようなものでしたか。
10日後ぐらいですか。
裁判長,供述を明確化するために,平成27年10月21日付け検察官高橋朋作成の捜査報告書に添付された写真3から6を示したいのですが,宜しいでしょうか。
裁判官
はい,どうぞ。
検察官
(平成27年10月21日付け検察官高橋朋作成の捜査報告書添付の写真3ないし6の各写しを示す)
写真3,4を示しますけれども,写真3と4にはグレーのズボンをはいた男性が写っていますが,これは誰ですか。
私です。
写真3の左側,写真4の右側には白い日産の車両が写っていますが,これは何の車両ですか。
これは,事件当日戻ってきた車両と同じ捜査車両になります。
これは,何の位置をあらわしたものですか。
これは,捜索差押許可状を提示する前にとまった場所を説明している場面です。
捜索差押許可状を持っていって,安曇野警察署の駐車場に戻ってきた車両がとまった位置ということでよろしいですか。
はい,そのとおりです。
写真4で言うと被告人車両はどの位置にありましたか。
このシルバーのスバルレガシイB4が被告人の車両を示しています。
では,赤色で被告人車両を見立てた位置にとまってる車に丸をつけてください。
(証人は写真4の写しに記入したので,併せて示した写真3,5,6の各写しとともに本調書末尾63丁及び64了に添付した。)
続いて,写真5,6を示します。写真5,6ですけれども,まず写真5についてですけれども,写真5の手前には右側には白い車両が写っていますが,これは先ほど証言した捜査車両の位置ということですか。
はい,そのとおりです。
その奥にナンバーが7294の車両が写っていますが,これが被告人車両の位置を見立てた車ということですか。
そうです。そのとおり7294が被告人の車両に見立てた車両になります。
写真6の右の下半分にシルバ色の車が写っていますが,これは被告人車両がとめていた位置を示した車ということですか。
はい,そのとおりです。
その奥に白色の車がとまっていますが,これが捜査車両の位置を示したものということですか。
はい。
この捜索差押許可状を見せに戻ってきた捜査車両ですけれども,この位置にはどのくらいの時間とまっていましたか。
記憶では5分くらいだったと思います。
この捜査車両は,5分くらい停車していた後どこへ行きましたか。
被告人の居宅へ向かっています。
証人は,この後も被告人に捜索差押の立ち会いをするように説得を継続しましたか。
はい,しております。
被告人は,結局それには応じましたか。
応じませんでした。
被告人は,その後安曇野警察署の駐車場を出てファミリーレストランに行きましたね。
はい,そのとおりです。
証人は,その後を車で追いかけていっていますか。
はい。
安曇野警察署を出る前に,証人は被告人に対して後をついていくということは告げましたか。
伝えてあります。
被告人が安曇野警察署の駐車場を出た時間ですけれども,大体何時ぐらいだったか覚えていますか。
・・・・・
記憶になければ記憶にないで結構ですけれども。
記憶では,8時半ぐらいだと思います。
先ほどの報告書には午後8時55分ころと記載がありますが,そのころではありませんか。
報告書でそうなっていれば,その時間に間違いありません。
その後,ファミリーレストランの駐車場で被告人がレストランから出てくるのを待っていたということですか。
そのとおりです。
その後ファミリーレストランから出てきた被告人は,どこへ行きましたか。
車に乗ってコンビニエンストアへ向かったと思います。
その後は,どこへ行きましたか。
その次もコンビニエンスストアです。
その後は,どこへ行きましたか。
その後自宅へ帰っていったと思います。
証人は,その後をずっと車で、ついていたということですか。
はい。
被告人は,自宅に帰った後,途中から自宅の捜索差押の立ち会いをしていますか。
はい,立ち会いをしております。
証人も,その後捜索差押に加わったということですか。
はい,そのとおりです。
ちょっと1点確認ですけれども,安曇野警察署での取り調べをしているときに戻りますが,このときに先ほど被告人がたばこを吸ったという証言がありましたが,喫煙場所というのはどこにあるんですか。
取調室を出て,刑事課を少し通るんですけれども,刑事課を出ると廊下になっていまして,そのまま真っすぐ行くと先ほどお話ししました階段に至りますoそれを階段をおりずに右に曲がっていくと,テラスというか,道場に行く通路がL字にありまして,そのL字の角に喫煙所があります。
証人は,被告人がたばこを吸いに行ったときついていっていましたか。
はい。
たばこを吸っている間ですが,証人と被告人との間で話はしていましたか。
話はしました。
被告人のほうからついてこないでくれとか,近くにいないでくれという話はありましたか。
ありませんでした。
この取り調べの間に被告人の方から食事をしたいという申し出はありましたか。
このときはありませんでした。
(検察官訊問了)
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