第6回公判 証人訊問-取調官・関浩太郎警部補に対する補足訊問(検事・弁護人・裁判長)

投稿日時 2015-10-22 | カテゴリ: 白坂裁判

第6回公判記録

証人訊問:関浩太郎警部補(41歳)



検察官
何点か確認しますけれども,まず安曇野警察署での取り調べの場面ですけれども,先ほど弁護人からどのような状況になったら説得は諦めましたかと,こういうふうに聞かれましたね。

はい。

証人自身は,取り調べをしているときに被告人がどのような状態になったら説得を諦める,これ以上は説得は難しいと考えていましたか。

最後に出ていったときのような状況があれば諦めていたと思います。

本人が立ち上がって部屋から出ていくというようなことがあれば諦めていたということですか。

はい。

先ほど弁護人の質問に対しては,調書を巻き終わったら説得は諦めるという趣旨のことを言っていましたが,調書が巻き終わる前であったとしても被告人が立ち上がって外に出ていくということがあれば,もうそれ以上の取り調べは諦めていたということですか。

はい,そのとおりです。

弁護人が質問の中で,何が何でも説得をするというつもりでしたかと,何が何でもという表現を使っていましたが,そういうつもりではなかったということですか。

はい。

それから,被告人が8時12分ころに取調室から出ていったときの状況ですけれども,主尋問,最初の検察官からの質問に対しては,被告人が外に出ていくときに正面に立ったり,体に手をかけるなどしてとめたことはなかったというふうに答えていましたが,先ほど弁護人の質問に対しては被告人と出入り口の聞に1度は立ったというような趣旨のことを言っていましたが,これはどういう,もう一度正確に説明してもらえますか。

被告人が立ち上がったときに私も立ち上がって,そうは言っても待ってくださいとお願いをしたわけで,調べ室の机の横を通ったときに,多分私がそのまま立っていたものですから,とり方によっては正面に立たれたと言われでも仕方がない場面はあったかもしれません。

正確に言いますと,取調室の入り口がまずありますね。

はい。

その奥に机が置いてあって,ドアと机の聞に証人が座っていて,机の向こう側に被告人が座っていたということですね。

はい,そうです。

被告人が立ち上がったときに杭を挟んだ状態で証人も立ち上がったということですか。

そうです。

その後,被告人はその机の横を通ってドアから外に出ていったということですね。

はい。

その間証人はどこに立っていたということですか。

自分が座っていたところから立ち上がって,証人が横を通るところに私も横に立ったことはあります。

証人は,取調室の自分が座っていた椅子の位置で一度立ち上がっていますね。

はい。

その位置から被告人が机の横を通っていくときには移動はしていますか,同じ場所に立っていましたか。

移動はしています。

どのように移動しましたか。

被告人に近づいて,それでも説得しました。

そのときに被告人がドアから出ていく進路上に立ったということはあったんですか。

はっきり記憶にはないんですけれども,立っているかもしれません。

証人は,被告人の体に触れたということはありましたか。

ありません。

被告人は,証人の対応や言動によってその場から出ていくことができなかったということはあったんですか。

ありません。

裁判長,供述明確化のために,今は証言した位置関係について図に書いてもらってもよろしいでしょうか。

裁判官
はい,どうぞ。

検察官
取調室の状況をドアと机と窓もあるんですけれども,座った位置を簡単に書いてもらえますか。
(証人は記入した。)

ドアと証人と被告人,それぞれを文字で書き込んでもらっていいですか。
(証人は記入した。)

被告人が立ち上がって出ていった経路を赤色で矢印の線を書いてもらえますか。
(証人は記入した。)

証人が立ち上がって移動したあたり,大体で結構ですけれども,丸を書いてもらえますか。
(証人は記入した。)

ドア,本職,被告人とありますが,ドアはドアの位置で,本職は証人の位置,被告人は白坂被告人が座っていた位置ですね。

はい。

赤い矢印の線で引かれているのが被告人が立ち上がってドアから出ていった経路ということですね。

はい。

本職と書かれた丸印から黒い矢印が伸びて,また丸印が書かれていますが,これが証人が立ち上がって移動した位置ということになりますか。

そうです。

この図でいくと被告人の経路上,真正面に立って立ち塞がった経路上には書かれていませんけれども,真正面に立ち塞がったということではないんですか。

真正面というほどではないんですけども,近づいてはいます。

被告人に近づいてはいったけれども,正面に立ち塞がったことはないということでよろしいですか。

はい。

被告人が取調室から出ていった後に,証人は刑事課にいた職員,捜査員に対して被告人が帰るということを伝えたということでしたね。

はい。

証人としては,ほかの捜査員に対して被告人が帰らないように説得をしてほしいという気持ちがあったということでしたね。

はい。

実際に証人,先ほど証言に出てきた矢島部長,それから中川|補佐以外に被告人のもとに集まってきた捜査員はいなかったということでよろしいですか。

いなかったと記憶しております。

取り調べの場面についてもう一点聞きますけれども,先ほど証人は弁護人から2通目の供述調書を巻いているときなどには被告人について大麻取締法違反の嫌疑は持っていたかという質問に対して,嫌疑は常に持っていましたと証言をしましたね。

はい。

ここで言う嫌疑というのは,例えば逮捕状が出るレベルの嫌疑,あるいは捜索差押許可状が出るレベルの嫌疑,どのような嫌疑と考えていましたか。

捜索差押許可状が出るぐらいの嫌疑です。

それは,2通目の供述調書を作成,あるいは作成終わったときということですか。

はい。

2通目の供述調書を作成しているときに,そのような捜索差押許可状が出るレベルの嫌疑があるというふうに考えていたのは,どのような理由からでしたか。

●村自身の請求をしているということからでもあります。

2通目の供述調書をつくり始める前に,中川補佐あるいは山田課長から被告人の自宅に対する捜索差押許可状を請求している,それは●村兄弟,●村から被告人の自宅で大麻を吸ったという供述が出たからだということを聞いていたからということですか。

はい。

それよりさかのぼりますけれども,先ほど常に嫌疑は思っていましたと言っていましたが,天平の森で職務質問をしているとき,あるいは任意同行中,I通目の供述調書を巻いているときまで,つまり●村が被告人の自宅で大麻を吸ったという供述をしているということを聞くまでですけれども,そのときについて聞きます。よろしいですか。場面についてはわかりますか。

・・・・・。

もう一度質問します。天平の森で被告人に対する職務質問を開始してから安曇野警察署で取り調べを開始して,上司から●村が被告人の自宅で大麻を吸ったという供述をしているということを聞く前ですけれども,場面はわかりますか。

わかります。

そのときですけれども,そのときは被告人に対して,例えば捜索差押許可状が出るような嫌疑逮捕状が出るような嫌疑というのは持っていましたか。

捜索差押許可状は出るという嫌疑はありました。

●村がそういう供述をしているというのを聞く前のことですよ。

前であれば,それは違います。

先ほど常に嫌疑は持っていたと言っていましたが,これはその捜索差押許可状が出たり,逮捕状が出たりする嫌疑のことを指しているのか,そこまでいかないけれども,大麻取締法違反,大麻を所持しているなどの疑いがあるというふうに考えたレベルなのか,どのような程度で考えていましたか。

済みません。疑いがある程度のレベルであります。

続いて,場面は変わりますけれども,取り調べが終わった後の駐車場での場面ですが,証人と矢島部長と中川補佐とで被告人に対して捜索差押に立ち会うように説得をしていたということでしたね。

はい。

被告人車両の脇で説得をしていたということでしたが,脇というのはどこのことを指していますか。

運転席側です。運転席は右側でしたか。

はい,右側です。

その運転席脇に3名とも並んでいたということですか。

それから,確認ですけれども,ちょっと前後して申しわけありませんが,安曇野警察署での取り調べ,1通自の供述調書が巻き終わるまでと2通目の供述調書が巻き終わるまで,前半と後半がありますけれども,そのいずれについてもですが,取り調べの目的としては何がありましたか。

1通目については,その大麻パーティーの趣旨,主催者としての責任の明確化なので,2通目についてはそのパーティーで行われた経緯,あと被告人が活動している大麻報道センターについて,あとお祭りがCBDオイルのお披露目式だということだったので,そのCBDオイルに関して,それぞれ調書にしております。

それらの事項について聴取をして供述調書にまとめるという目的だったということですか。

そうです。

被告人を自宅に帰さないようにする,その目的だったということはありませんか。

それはありません。

証人自身の中には被告人が自宅に大麻を持っているかもしれないという思いはありましたか。

捜査員なので,そういう思いはありました。

その自宅に置いてある大麻を被告人に投棄されたら困ると,隠されたら困るという思いはありましたか。

そういった思いもありました。

被告人が自宅に戻って,自宅にあるかもしれない大麻を投棄,隠匿することを防ぐために取り調べを継続した,それを目的としていたということではありませんか。

それはありません。

 

弁護人
取調室から白坂さんが出たときのお話なんですが,先ほど図示していただいたんですけれども,あなたが立ち上がった後に少し右方向に動いた図を先ほど書いていただいたんですが,あなたが右側に動いた,ちょうどその時点での白坂さんの位置というのはどこにいたんですか。先ほど赤い線で,直線で書いていただいたんですけれども,あなたが立ち上がって右側に出たときの白坂さんの位置関係というのは。

右側だったですか。

供述を明確にするため,先ほど図示していただいたものにもう一度今の位置関係を図示していただきたいんですが,白坂さんの丸の中にAと書いていただいていいですか。
(証人は記入した。前記記入した書面を本調書末尾65丁に添付した。)

あなたがドアの外に向かつて白坂さんが帰ってしまうというふうに声をかけたのは,その場面でですよね。あなたが横に出て,ちょっと白坂さんが前にいる時点で,あなたは外にいる人に白坂さんが今帰ってしまうと声かけたんじゃないんですか。

いいえ,刑事課へ入ってからです。

出た後に声をかけたんですね。

取調室出た後に刑事課から出て,一部刑事課を通っていくんですけれども,そのときに本人帰りますということは上司に報告も含め伝えてあります。

あと,当然白坂さんのその前にあなたが出たときには白坂さんからどいてくれというようなことは言われましたよね。

言われて・・・

検察官
異議があります。先ほどの図でもありますように前に出たという状況には証言していませんので,誤導です。

弁護人
じゃ,質問を変えます。あなたが立ち上がった時点から右方向に動いたとき,白坂さんからどいてくれと言われましたよね。

言われたかどうかは,ちょっと記憶にはありません。

何か,でも黙って行ったんではなくて,何か言われたんじゃないですか,どいてくれというような趣旨のことは。

ちょっと待ってくれとは私のほうからは言っていますが。

それに対して白坂さんは何か言いませんでしたか。

そのまま部屋出ていこうとしているので,もうこれは帰るんだなということで,一緒についてはいきましたけれども,もう取調室からは出ていきました。

白坂さんから何か言われませんでしたか。黙ってそのまま白坂さんは退席したということですか。

これで帰るって言っていました。

裁判官
イベントの会場で、被告人の車にキャンプ道具や音楽機材などを詰め込む作業は警察官も手伝ったんですか。

私は手伝っていないですが,手伝った者,いたかもしれません。

それで,結果として残ったものが出たということなんですが,そのときに被告人のほうからそのことについて何か話はありませんでしたか。例えばしょうがないから後でとりに来るとか何か。

私の記憶では,取調室での記憶しかないんです。

それから,話変わります。取調室のときに2通目の調書に被告人が署名,指印をして退室した際や,その後階段付近で説得をされたということなんですが,その説得の中身は何だ、ったんですか。

捜索差押を居宅でこれからやりたいので,立ち会ってほしいということだと思います。

それで,建物の外に出て駐車場にいるときに被告人のほうから令状があるなら本物を見せてくれという趣旨の話がありましたね。

ありました。

その話が出たときには,あるいは証人のほうから捜索差押のときに立ち会ってほしいという話をしたときには,既に警察署の駐車場には令状を持っていた警察官の車は駐車されていたんですか。

いいえ,駐車はされていませんでした。

例えば話少し戻しますが,2通目の調書の作成が終わったのが8時過ぎでしたね。

はい。

そのころには捜索差押令状の発付を受けた警察官というのは安曇野署に来ているんじゃないんですか。そこについての証人の認識はどうだったんでしょう。

いいえ,ちょっと取調室にいたので,はっきりどこに捜索差押許可状があったのかというのは,はっきりとは明確にはわかっていませんでした。

それで,もう一度念のため確認しますが,駐車場に出ましたね。

はい。

出て,ガサの立ち会いを被告人に告げた際,あるいは被告人のほうから本物の令状を見せてほしいというふうに言われたときには駐車場にはまだその令状を持っている警察の車は来ていなかったんですか。

来ていませんでした。

そうすると,被告人から本物の令状を見せてほしいと言われて,その後それでは本物の令状を見せるから少し待っていてくれということを被告人に伝えたりしたんですか。

私ではないで、すけれども,多分上司か誰かは伝えているはずです。

そうすると,その令状を被告人が見るまでの間は,少なくとも被告人は警察署の駐車場に待機しているという形になるはずですね。

そのときに例えば令状を持ってくる警察がこの警察署に戻ってくるからとか,そこまで具体的な話を被告人に伝えていたのかどうか,このあたりはどうですか。

私は,伝えていたかどうかはわからないんですけれども,既にもう出ているという話を駐車場で聞きまして,捜査差押許可状を持って居宅へ向かっているという話があったのは確かでありまして,上司か誰かが呼び戻しているはずです。

そうすると,証人の頭の認識としては,そういう話まで、入っていたけれども,そこのあたりを被告人にじかに伝えていたかどうかは。

私が伝えていないので,上司のほうから伝えていたかもしれません。

それから,話を変えて,また取り調べ時のことを聞きますが,証人のほかに取調室にはもう一人,常時2人体制ではいたんですか,当時は。

当時はいません。

証人1人だけ。

はい。

取り調べの間ずっと。

はい。

証人は,その取調室から例えばトイレのために席を立つなんていうことはあったんですか。

立った記憶は,たばこを吸いに一緒に行ったときぐらいです。

そうすると,取調室から出るときには常に被告人と一緒にということになるんですか。

はい。

それから,これは一般的な話として,例えば参考人のほうから食事をしたいと,おなかが減ったから食事をしたいという要請があった場合には,例えば外で買い出しをしたいんだなんていうふうに言われた場合には一緒に外に出て,その買い出しにつき合ったりということがあるのか,あるいは出前でもいいからって言われたら出前をとってあげるのか,実情としてはそのあたりはどうなんですか。

参考人でも後に被疑者になり得る者もあれば,そのままずっと参考人として聞く場合によっては多少異なると思います。

弁護人
今の裁判長の最後の質問の関係なんですけども,今回白坂さんの場合はどちらかというと被疑者になり得る人だったんですか,参考人であるとしても。

そちらのほうが強いかもしれません。

(関浩太郎証人への訊問了)





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