第9回公判 被告人質問(弁護人)
弁護人
今回白坂さんは,違法収集証拠の主張と大麻取締法が憲法違反だという主張をされていると思いますが,まず違法収集証拠の関係で、捜査の過程についてお話を伺います。平成25年9月28日から翌29日にかけて,白坂さんは天平の森で「あとの祭り~だから今こそ医療大麻を!」というイベントを主催していましたね。
はい。
これは,どういうイベントだったんですか。
これは,2013年の初めごろから,私の主催している大麻報道センターという大麻合法化を求めて活動する運動体ですけれども,それのインターネットサイトの英語版というのがありまして,その編集長をしてもらっている,仮名ですけど,アソウシゲル,この人はカリフォルニア在住で,本人も医療大麻のライセンスを持って使用もしていますし,あと栽培のライセンスを持って大麻の栽培と販売もしている人なんですけれども,この人が今アメリカではCBDオイルという大麻の成分のオイルがすごく注目されていると。これは,何で注目されているかというと,CBDという精神作用のない,大麻で精神作用があるのはTHC,テトラヒドロカナビノールですけれども,その成分のないCBDだけのオイルがてんかんを劇的に改善するということで注目されているんだと,そのアソウシゲルさんのいとこの方も実際にてんかんで,そのCBDオイルを摂取したところ劇的に改善したというようなレポートを大麻報道センターに報告をしてくれました。私は,大麻報道センターの主宰者としてこれは日本でも使えないものかと思いまして,厚生労働省なんかに働きかけをして,いろいろありましたけど,最終的には合法的に食品として輸入できるということになりましたので,それを初めて輸入したCBDオイルのお披露目のパーティーとして開いたイベントでした。
このイベントに際して,大麻などの禁制品について参加者に何らかの注意喚起をしていたんでしょうか。
このイベントに関しては,松本駅周辺だとか,私の地元の穂高の周辺,駅の周辺でもビラまきなんかをしましたけれども,禁制品などは持ち込まないでくださいって,大麻などの持ち込みはお断りしますというふうに書いてありました。
ほかに何か白坂さんからアナウンスしていたことはありますか。
それは,インターネットの私の主宰する大麻報道センターのサイトですけれども,合法ハーブというのが当時,今でもそうですけど,今危険ドラッグと呼ばれていますが,合法ハーブにはまってしまって抜けられないっていう相談が多数寄せられるようになっていまして,私の大麻報道センターのサイトには合法ハーブをやめようという掲示板があります。そこで,このイベントに関して,CBDオイルは危険ドラッグ,合法ハーブをやめるにも本当は向いているんじゃないかと思いましたので,危険ドラッグを使うんじゃなくて,たき火,キャンプファイヤーをやる予定でしたので,そこで全部燃しちまってもう二度とやらないというふうな誓いで持ってくるんだったら持ってきてくださいと,そのかわりCBDをお試しで使ってみてもいいですよというようなアナウンスをして,実際に危険ドラッグを持ってきて燃している方なんかもいました。そのような呼びかけをしました。
それでは,その後白坂さんが職務質問のために路上で呼びとめられるまでの経緯についてお尋ねをします。白坂さんは,平成25年9月29日の午前10時過ぎごろですか,天平の森から車でおりてきたところを警察車両の車載マイクで停車を呼びかけられて,職務質問を受けましたね。
はい。
その呼びとめられたときは,どんなふうに思いましたか。
まず,私が山から,本当はもっと朝早く起きて片づけを始めなければいけなかったんですけれども,みんな寝坊しまして,散らかっているものをまとめて片づけないといけないので,私は明科の友達のところに一輪車を借りにいこうと思って車で山をおりました。そうすると,途中でこっちを向くように,対向するようにパトカーがとまっていまして,助手席の警察官が手元の資料を見て私のナンバーと照合するのがわかりました。私は,やられたと思いました。そのパトカーの前を通り過ぎて,山道を抜けてからですけれども,1度サイレンをウーと鳴らして,フォレスターの運転手さん,とまってくださいということでとめられて,私は一体何だと思ってびっくりしました。
今少し触れたかなと思いますが,確認ですが,白坂さんはどこに何をしに行くところだったんですか。
明科の友達のところに一輪車を借りにいくところでした。
一輪車を借りにいく目的は,どのような目的だったんですか。
とにかく早く片づけなくちゃいけなかったんですけれども,会場,キャンプ場が取っ散らかっていたもんですから,一つ一つ手で、拾って回るには広い会場なので,まとめてどんどんぶち込んで運搬用のトラックに積むような手はずにしようと思って,近くの明科の友達のところに行こうと思いました。
それで,白坂さんの車を停車した場所はどのような場所でしたか。
キャンプ場のある山を下り切って,少し広目の道に出たカーブのある道でした。カーブのところでした。
住所とかはわかりますか。
住所はわかりません。
甲第15号証の捜査報告書によると,職務質問された付近の住所についてですが,安曇野市明科中川手4590番地12南方の路上とありますけれども,捜査報告書にこのように記載があるということは,そのとおりだと思いますか。
そうだろうと思います。
弁護士 証拠番号55のゼンリン住宅地図の写しを示す
この地図は,安曇野市明科中川手4590番地12付近のゼンリン地図なんですが,あなたが職務質問を受けた場所は,この付近で間違いないですか。
はい。
それではまず,ちょっと地図上で白坂さんの車両をとめた位置と,あと警察車両がとまった位置を言葉で説明してもらえますか。
これは,県道矢室明科線というんでしょうか,それを下ってきて,地図で中央あたりに住宅街みたいなのがありますが,そのカーブの下ってきて分岐のある少し先で私の車はとまりました。そのすぐ後ろにパトカがとまりました。
では,白坂さんの車両の停車した位置と捜査車両の停車した位置を車両の向きがわかるように地図に記入していただけますか。
(被告人は記入した。)
このAというのは白坂さんですか。
はい,私です。
Bというのが警察車両ということですか。
はい。
車をとめた後なんですが,警察官がおりてきて,白坂さんの車の窓越しにスピード出し過ぎですよなどと話しかけて,運転免許証の提示を要求してきましたね。
はい。
白坂さんは,どのように答えましたか。
山道で明らかにスピードを出せる道ではありませんし,全くスピードを出してはいませんでしたので,「スピード出していませんけど,何キロ出ていたんですか。」と聞きました。
それに対して警察官は何と答えましたか。
スピードははかっていないので,わからないというふうに答えましたが,明らかに出ていましたと言いました。なので,私は繰り返し,じゃ何キロ出ていたのか証明してくださいというふうに言いました。
それに対して警察官がどんなふうに対応してきたんですか。
いや,それはスピードは何キロだかわからないけど,明らかに出ていたので,免許見せてくださいというふうな話になりましたので,私はそんな唆昧なことでは見せられないと,任意ですか,強制ですかというふうに聞きました。
その任意ですか,強制かについては,警察官は何と答えてきたんですか。
もちろん任意ですというふうにおっしゃいました。
警察官からどこに行こうとしていたのかは聞かれませんでしたか。
聞かれました。最初は,私は答える必要ありませんというふうにお答えしました。
最初はと今おっしゃいましたが,その後結局答えたんですか。
はい。窓越しに余りにしつこいもんですから,これは行く先ぐらいは伝えないとここから抜けられないかなと思って,友達のところに行くところだというふうに答えました。
そのほかにはどんなことを警察官から言われましたか。
とめられてすぐのときは,とにかく見せろと。見せないと,任意か強制かっていうやりとりをずっとして,私は急いでいるので,行かせろというふうにずっと言っていましたけれども,しばらくしてからイベントの主宰者ですよねという話になりまして,そうですと。逮捕者が出ていますというふうな話になりました。
所持品検査には結局応じていませんよね。
そのとめられた場所では応じていません。
何と言って所持品検査などを断ったんですか。
任意だったらお見せしませんというふうに言いました。
白坂さんがそのような態度をとっている状況で,さらに警察官はどんなふうに働きかけをしてきましたか。
押し問答して,私は早く行かせてくださいというふうに言っていたんですが,いや,ちょっと待ってくれって,本部に確認するみたいなことを言っていまして,何かあっという間に警察官が増員されてしまいました。
職務質問についてほかに白坂さんから警察官に言ったことというのはありませんか。
まず,そのときに言ったのは,覚醒剤の事件だったと思いますけれども,職務質問で2時間以上身柄をとめ置かれて,それに任意性はないと,任意とは言えないということで,尿検査で覚醒剤反応が出た,その後に出たらしいんですけども,無罪になったという判例を知っていましたので,2時間以上超えて無理矢理とめ置きすると任意性なくなるよ,2時間過ぎたら任意じゃないからねというふうな話はしました。
あと,ほかに言ったことはありませんか。誰かに連絡するとか,そういった話ありませんでしたか。
それは,私はすぐ立ち去りたかったので,10年前に2003年の事件で逮捕されたときにお世話になった大阪の岸上弁護士に電話をして,警察官が身柄を解放してくれないので,行かせるように説得してくれというふうなお願いの電話を岸上弁護士にしまして,岸上先生と警察官と直接話をしてもらいました。
その岸上弁護士からは,どのような話をしてもらったんですか。
まず,任意か強制かということで,任意だということなので,立ち去るなら立ち去っちゃいなさいというふうに,警察官と弁護士が話した後私もう一度弁護士と話していますけれども,任意だということなので,行けるんなら行っちゃって構いませんよというふうなアドバイスと,あと余りひどかったら国賠もんですよというふうな話は警察官に伝えたというふうにおっしゃっていました。
その電話が終わってから警察官は白坂さんに何と言ってきたんですか。
逮捕者も出ていることだし,説明してもらわないと困るので,ここから行かせるわけにはいかないというふうに言いました。宮坂警察官です。
結局弁護士と話した後も警察官はその場から行かせてくれなかったわけですね。
ええ。行かせてくれるどころか増員されて,交通整理みたいなことが始まってしまいましたので,私はそこにまさに閉じ込められるようにして動けないようになりました。これで交通整理まで始まるって,任意なのに,何だよというふうに思いました。
では,白坂さんが職務質問を受けている間の警察官の方の位置関係を教えてください。まずは,言葉で教えてください。
私は,ずっと運転席に座っていましたけれども,まずとめられた当初はすぐ私の横に太田,名前はそのときは知りませんでしたけれども,太田警察官が主に対応しました。もう一人の方は,周りをちょっと最初うろちよろしていましたけど,すぐに私のパックミラーに,後ろにパトカーがとまったのは見えましたので,そのパトカーの中でどこかに連絡をとったりしているのはわかりました。その後すぐ増員されまして,私は車を動かしてくれとかも言われましたけど,動かすも何も私は行くんだというふうに言いましたので,移動してくれというのは断りました。
それでは,先ほどの弁第55号証と同じ地図に今お話しした警察官の位置関係を描いていただけますか。最初にいた警察官を丸で,その後増員した警察官の位置を三角で図示してください。
交通整理を含めて。
そうですね。その現場の付近にいた警察官。
(被告人は記入した。)
今丸で描いていただいたのが最初からいた警察官の位置と。
はい。
三角で描いていただいた場所が増員されて来た警察官の位置ということでよろしいですか。
はい。
このような状況で,白坂さんの車を発進させることはできましたか。
いえ,とてもできません。
発進させることができなかったのはなぜですか。
私の車があたかも障害物であるかのような陣形で交通整理が始まってしまいましたので,しかも私のすぐ横にお巡りさんがずっといて,いや,まだ行っちゃだめだとかって言っているわけですから,出発のしょうがありませんでした。
もし無理やり出発したら,どんなことになると思いましたか。
前で交通整理しているお巡りさんをはね飛ばして行くしかないでしょう。
白坂さんの脇に立っていた警察官は,白坂さんの車にどれくらい近づいていたんですか。
すぐ横です。もう顔をのぞき込むようにしてしゃべっていましたから。
もし白坂さんが車両を発進させることができれば,立ち去っていましたか。
もちろんです。
ところで,白坂さんをその場から立ち去らせるかどうかについて,警察官は何と言っていましたか。
私はもう行く,行くというふうに,行かせろと言っていましたので,太田警察官がまあ,もういいんじゃないのというふうに言い始めたんですけれども,宮坂警察官がいや,だめだ,県外に出られたら困る,何とかさんもそういうふうに言っているみたいなことで,出発させてもらえませんでした。
そうした状況の中でも,その後も警察官に対してその場から立ち去ることを要求していたんでしょうか。
そのことしか要求していません。
午後1時を過ぎてから白坂さんは天平の森に戻っていると思いますけれども,どうしてこのとき天平の森に戻ることになったんですか。
まだ精算も済んでいませんでしたし,片づけも全く済んでいませんでしたので,キャンプ場の方に本当に迷惑をかけている状態でした。そのキャンプ場の方から連絡だということで,警察官が私に戻ってきて片づけと精算をしてくれんと困るというふうに言っているということでしたので,それも全くそのとおりで,私も一番気になっていることでしたので,戻ることにしました。
そのほかに何か警察官から会場に来てほしい説得というのはされましたか。
私の車に同乗させろというふうにしつこく言ってきました。お断りしましたけれども。
もう一度質問しますけれども,天平の森に戻る理由としてほかに警察官からイベントの会場で大麻のようなものが発見されたから,それを確認してほしいというようなことは言われませんでしたか。
はい,言われました。
白坂さんとして天平の森に戻った一番大きな理由というのは何ですか。
片づけと精算です。
白坂さんが天平の森に向かうときには,警察車両も一緒に来ましたよね。
はい。
そのときの警察車両の位置関係を教えてください。
とめられたところには結局2台警察車両が来ましたけど,天平の森に戻るときには1台は先に行って,1台は私のすぐ後ろからついてきました。
白坂さんの車と後ろにいた警察車両の距離は,どれくらい離れていましたか。
5メートルかそこら,普通の後続車という距離です。
それから,ちょっと先ほどの弁第55号証の地図に戻りたいんですが,白坂さんが立ち去るまで、警察車両の位置はずっと変わっていなかったんですか。
いえ。気がついたら,バックミラーに映っていた車両は少し後ろの脇道に入っているようでした。
その脇道に入った位置をちょっとわかるように図示してください。
(被告人は記入した。)
矢印なんですけど,これがこうやって下がって。
では,その移動した後の位置の車にPの2と印をつけてください。
(被告人は記入した。前記記入した書面は本調書末尾62丁に添付した。)
その警察車両が移動した後も白坂さんの車は発進させられなかったんですか。
ええ,発進させられませんでした。
それはどうしてですか。
パトカーは後ろにいませんでした。気がついたらいませんでしたけど,警察官はいましたし,まだ、行っちゃ困るというふうにずっと言われ続けましたので,そこから立ち去ることはできませんでした。
では,白坂さんが天平の森の駐車場に到着してからの話をお聞きします。白坂さんが天平の森の駐車場に到着して駐車したときに,その場に警察官はいましたか。
七,八名いたと思います。
そして,白坂さんが駐車場に到着してから警察官はどのような行動をとりましたか。
私はすぐ車両をおりました。駐車場に着いてすぐ車両をおりたところ,大麻が出ているのでという話は移動前に聞いていましたので,そこで駐車場で改めてもう一度身体検査,所持品検査させてくれというふうに言われましたので,ここまで来たらしょうがないだろうと思って,じやどうぞということで所持品検査に応じたところ,関警察官が私のポケットとか,エプロンをつけていましたけど,そういうのは外して,ポケットからボディ チェックからされました。ほかの二,三名の警察官が私の車をダッシュボードから,シートを引っ剥がしてから,くまなく探していました。
一応警察官に対しては了解はした上で応じたんですか。
そうです
もう一度確認でお尋ねしますが,この駐車場に来て所持品検査や車両内の確認に応じたのはどうしてなんですか。
そのことでこだわっていてもそこから先進まないと思いましたので,どっちにしても私何も持っていませんでしたから,さっさと全部片づけて,早くキャンプ場の片づけとか精算とか全部終わらせなきゃいけないという頭がいっぱいで,とにかくじゃもういいや,検査受けちゃおうというふうな判断をしました。
当然大麻その他の禁制品は発見されなかったんですね。
はい。持っていきませんでしたから,出ませんでした。
その所持品検査などが終わってからは,集会場に向かいましたね。
はい。
集会場に向かうときは,警察官は何人ぐらいがどのような位置にいたんですか。
私のすぐ横,私を先導するというか,誘導したのが関警察官で,あと三,四名の警察官が私を取り囲むような形で,逃げられないような形でついてきていました。
集会場では大麻のようなものを確認しましたね。
はい。
それは,誰のものかわかりましたか。
わかりませんでした。
それから,集会場では警察官から白坂さんにどのような働きかけがされたんでしょうか。
これが誰のかということと,わからないというふうに答えましたところ,こうやって大麻が出ているし,逮捕者も出ているので,署に来て事情を説明してほしいというふうに盛んに働きかけを受けましたけれども,私は片づけがまず全然済んでいませんでしたので,それが先だということで,事情聴取は後日にしてくれというふうに言いました。
今おっしゃった署というのは,安曇野警察署のことですね。
そうです。
そのように白坂さんが答えた後,警察官は何をしたんですか。
まだキャンプ場のスペ スには私のテントなんかもほったらかしになったままでしたので,そのテントも,私のテントはあれだというふうな話をしたところ,テントも全部ひっくり返して何か探していました。まだそういったテントが散らかっていたもんですから,私はまずそれを片づけるんだということで片づけを,警察官も最初はじゃさっさと片づけて行きましょうみたいな話だったので,ちょっと手伝ってくれた警察官もいたりしましたけど,片づけを始めることになりました。
少し戻ったところの質問になりますけれども,集会場で全て片づけてから行くと,事情聴取は後日にしてくれという話をしていたんですが,そういうふうに話した後にキャンプ場のほうに片づけに出ていったのはどうしてですか。
次のお客さんが来るというふうにキャンプ場の方から言われていましたので,とにかく次の方が入れるような状況だけはつくらないとまずいと思って,それを警察官に話したところ,警察官もそれはそうだろうなって話になって,キャンプ場のスペースに移動することになりました。
その時点で警察署への任意向行に応じるか応じないかという点についてはどう言ったんですか。
応じませんというふうにずっと言い続けていました。後日にしてくれと言いました。
集会場の建物についてなんですが,警察官とそういうやりとりがあったということなんですが,ここで警察官を無視して建物から出ていくということはできなかったんですか。
全く考えられないことです。例えばもしそんなことをしたら,何か逃げたようなことになりますので,もっと大変なことになるでしょうし,公務執行妨害ということで捕まる可能性もあると思いました。現にこの事件では,桂川|さんは現行犯逮捕ということになっていますけど,桂川さんは今回最初に捕まっているのは,暴れて公務執行妨害で身柄を押さえられて,その場にあった大麻が桂川さんのものでしょうということでしょっぴかれましたけど,結局そこにあった大麻は桂川さんのものではなかったので,起訴もされていませんし,ただそうやって公妨だという逮捕の口実に使われるということが現実にあり得るので,私も公妨で引っ張られるのを恐れて,乱暴な出方はできないと思いました。
建物の中は,具体的にどのような状況だったんですか。特に警察官の位置関係を知りたいんですけれども。
私のすぐそばには絶えず関警察官がいて,あと囲むように出入り口のほうに1人,2人,あと1人,2人ちょっとちょろちょろ動いているっていう,そんな状況でした。
白坂さんとしては,そのような状況で警察官の意向に反して出ていくことはできなかったということですか。
ええ。これは,もう日本の社会に住んでいる人なら誰でも共感してくれると思うんですけど,お巡りさんたちに固まれている状況で,そこから駆け出して出ていって逃げるとかということは問題をより大きくするだけにしかなりませんので,あり得ない判断だと思います。
先ほど触れていただきましたが,建物を出ることになってキャンプ場の荷物を片づけましたね。
はい。片づけてくれっていうふうに,その間にもキャンプ場の人が来て言いに来ましたので。
そのときは,警察官何人ぐらいついてきたんですか。
おりてきたのは四,五名だと思います。
キャンプ場の片づけが終わってから,まだ片づけは続けたんですか。
いや,片づけは全然終わっていません。終わりませんでした。終わらないうちに署までとにかく来てもらわないとということで,ほとんど無理やり,私に言わせれば無理やりですけれども,署に行くことになりました。
そのときは,どんなふうに警察官は言ってきたんですか。
とにかくもう逮捕者が出ていると。逮捕者が出ていて,きょうのイベントで,後日じゃなくてきょうじゅうに,記憶のちゃんとしているうちに説明してもらわないと困るということで,明るいうちに私は帰ってきて,そのとき荷物積んだトラックが一遍出ましたので,またそのトラックが荷物,いろいろ置いて戻ってくるのに時間がありましたから,その間を使って私は安曇野暑に行って,明るいうちに戻ってきて引き続き全部片づけるというふうなつもりで,やむを得ず応じることにしました。
荷物を積んだトラックというのは,誰のどういった目的のトラックなんですか。
テントだとか,いろいろ音楽機材だとか,ばかでかいスピーカだとかも使いましたので,そういったものを搬出する人たち,業者にも頼みましたけど,片づけグループです。
では,天平の森から警察署へ向かったときのお話を伺いたいと思うんですけれども,警察署へ向かうときは警察車両も一緒でしたね。
はい。
警察車両と白坂さんの車とはどのような位置関係にありましたか。
私は天平の森,あの辺の地理に余り詳しくないので,先導してもらうことになりまして,1台が前へ,もう一台が私のすぐ後ろという配置でした。
途中でコンビニエンスストアに寄りましたよね。
はい。
何のために寄ったんですか。
携帯のバッテリーがほとんどありませんでしたので,携帯のバッテリーを買おうと思って入りました。あと,ずっとトイレも行きたかったので,携帯のバッテリーとトイレが目的でコンビニに寄りました。
コンビニエンスストアでは,警察官はどのような行動をとりましたか。
宮坂警察官がすぐ後ろからついてきまして,ちょっと離れて,少しタイミングずらして入ってきまして,私は1回店内をぐるっと回ってからトイレ入ったんですけれども,すぐ私の後ろについてきてトイレのドアの外で待っていました。
なぜ待っていたと言えるんですか。
さっさと済ませてぱっと出たら,すぐそばに立っていたからです。ぱっと出たというのは,トイレから出てきたということですか。
そうです。トイレのドアをあけてぱっと出たところ,ほれ,いたと思いました。
警察車両は,駐車場にはどのような位置にとめていましたか。
1台は私のすぐ近くで,結構混んでいましたので,もう一台は出入り口のスペースに,駐車スペース区画外でしたけれども,出入り口の付近にとめているという状態でした。
では,警察署に到着してからのことをお尋ねします。警察署で駐車すると,そのまま取調室に行って取り調べが始まったんですか。
はい。
取り調べをしたのは関さん1人ですよね。
そうです。
取調室内での位置関係を教えてください。
取調室のドアをあけて入ると,突き当たり正面に窓がありますけれども,机を挟んで窓側に私が座って,手前側,ドア側に関さんが座りました。
部屋の大きさというのはどのくらいでしたか。
奥行きが恐らく4メートルぐらいで,部屋のドアのある幅が3メートルとか,そのぐらいの長方形の部屋です。机の幅が1メートルぐらい,奥行きが70センチぐらいでしょうか。それが真ん中に,部屋の中央ちょっと窓寄りのほうにどんと置いてありますので,その脇,通り抜けるスペースは40センチかそこら,両側ですけれども,そんなような部屋でした。
では,こちらに取調室の大きさと,あと白坂さんと関さんの位置,いた場所を図示してください。
(被告人は記入した。)
白坂と書いた丸が白坂さんの位置で,関と書いたのが警察官の関さんの位置ですね。
はい。
関さんの後ろ側の壁の・・・。
出入り口のドアです。
付近が入り口のドアですね。
はい。
取り調べを始めるに当たって,白坂さんからいつまでに帰るとか,そういった要望は話しましたか。
はい。調書を書くということでしたので,さっさと書いてもらって,明るいうちには必ずキャンプ場に戻るというふうに伝えました。
調書は2通作成しましたよね。
はい。
1通はどのような内容でしたか。
今回のイベントの趣旨です。どういうイベントだったのかという説明と,あと大麻報道センターについて説明してほしいということで話しました。
1通目の調書が終わってから関さんは一度取調室から出ていますか。
出ています。
そのときにはどのようなやりとりがあったんですか。
もう私はその調書をとっているときから早く書いてくれというふうに,遅かったので,早くしてくれというふうにずっと言い続けていましたし,だらだらしているんならもう帰りますというふうにずっと言い続けていましたので,そのときもそういう話をしたんだろうと思います。
1通目の調書が終わってから誰か取調室のほうに人が来たということはありましたか。
はい。天平の森の係の方がお見えになりまして,片づけてくれと,精算しに帰ってきてくれというふうに怒られましたので,申しわけありませんということで,私もじゃ一緒に今戻りますというふうに言いましたけれども,警察官に制止されて部屋から出ることができませんでした。
そのときは,警察官から何と言われたんですか。
まだだめですと言われました。
そのだめな理由については,何か説明はしていなかったですか。
調書がまだ書き終わっていないので,困ります,まだだめです,ちょっと待ってくださいというふうな感じで,ずるずると延ばされました。
その後,8時過ぎごろに白坂さんが取調室を出るまで、ずっと取り調べがあったと思うんですけれども,その間は関さんとはどのようなやりとりがあったんですか。
同じようなことをずっと聞いているので,おかしいなというふうには思いましたけれども,一度たばこを吸いに行かないかということで関さんのほうから言いましたので,関さんも疲れているのかなというふうに私は単純に思いまして,じゃたばこ1本ぐらいつき合うかと思ってたばこを吸いに行ったところ,関さんは吸わなかったので,あれ,たばこ吸わないんですかつて聞いたら,いや,僕は吸わないみたいな話で,ああ,はめられたとそのときに初めてはっきり自覚しました。
そのはめられたとはどういう意味ですか。
時間を引き延ばしておいて,私のうちのガサの手続をとっているんだろうなというふうに思いました。
そのほかに関さんとの間で,白坂さんが帰る時間とか条件とかについてはどのようなやりとりがありましたか。
それは,取調室に入って直後から明るいうちに帰りますというふうに言い続けていましたし,5時近くなってきたら5時で帰りますからねっていうふうにまずは言いました。5時過ぎちゃって,ずるずるやっているので,もう6時近くになりましたので,6時に帰りますねっていうふうに,何度もそういう形で言いましたけれども,結局いや,まだ困ります,もうちょっと待ってくださいということで,部屋から出ることができませんでした。
そうすると,7時には帰るとか,そういったやりとりがあったんですか。
はい。6時30分には帰るとか,小刻みで言っていたと思います。時計見ながら私は言っていましたので。ところが,関さんがだらだら,だらだら調書を書いているので,おかしいなとは思いましたけれども,そういう形で出ることができませんでした。
午後8時過ぎごろになって白坂さんは取調室から出ることになったはずなんですけれども,そのときはどのような経緯だったんでしょうか。
もう2本目の調書も書き終わっていましたし,読み聞かせだとかと言ってまた長引かせようとしましたので,そんなもんは自分で読んでおけって言って,俺はもう帰るって言って,頭にきたので,ぶち切れて出ました。出ようとして立ち上がったところ,関さんは私の前に立ちはだかるようにして進路を塞いで,私は出ることができませんでした。
そういうふうに進路を阻まれた後,どのようなやりとりがあったんですか。
いや,どいてください,いや,ちょっと待ってくれ,困るというやりとりはちょっと続きました。
最終的には白坂さんは取調室から出たんですか。
出ました。
そのときは,関さんはどういう対応をしたんですか。
その直前にガサ状が出ているんで,立ち会えという話になりましたので,もう本当に頭にきて,ふざけやがって,はめやがってというふうに私は罵倒しながら,どけって言って出ました。そうしたら,どきましたので。そうしたら,すぐ後から違うのがついてきて,関さんはデカ部屋のほうに向かって,白坂帰っちゃうってみたいなこと言っていましたけど,そうしたら1人ついてきて,いや,もうガサ状出ているんで,立ち会ってくださいというふうに廊下ずっとついてきて,階段も一緒におりてきて,駐車場まで、ずっとその人はついてきました。
(弁護人訊問2に続く)
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