第4回公判 証人尋問 太田昌範警察官(年齢44歳)
弁護人
まず,白坂さんの自動車発見する前の事件当日のことについてお聞きしたいんですけれども,先ほどの話だと朝方,夜のうちですか,朝方捜査始めるかもしれないという話を聞いたということなんですが,その後安曇野署のほうに朝集まったんですか。
そのとおりです。
そこでは,実際に白坂さんについてはどのような情報を聞いていましたか。
今回の天平の森で行われた大麻パーティーの主催者であることということと,インタネットを見てもわかるとおり大麻を崇拝している人だということと,名前から前歴があるということも当然わかっていました。
そのときに白坂さんの自動車についても車種とか,そういったものは聞いていましたか。
先行で最初視察に行った人たちが車両のチェックしていますので,そこでもう2人の方の桂川さんと白坂さんの車は把握していました。
それは,車種がスバルフォレスターであるとか,登録番号具体的には覚えていらっしゃらないかもしれませんが,具体的な登録番号・・・。
具体的な番号までちゃんと明確にチェックしてきていたと思います。
今白坂さんについて,大麻の崇拝者という表現がありましたが,それはあなたとしては大麻報道センターのサイトを見て,そのように考えたという。
直接そのときは見たわけじゃないんですけども,署のほうでインターネット検索したら,こういうホームページがあるからということで,かなり崇拝している方だなということは連絡がありました。
そのときは,警察の内部では大麻合法化活動をしている人間だという表現ではなくて,大麻を崇拝している人間だというような表現で情報が伝達されていたんですか。
そこら辺はちょっと定かではないんですけども,大麻の関係についてホームページを開いている方だと,後々捜査をしていく段階でかなりの活動をやっている方だということは,次第にわかってきたので,その当時はそこまでは知りませんでした。
それから,今回のイベントの中で桂川さんという方が現場で現行犯人逮捕されたと思うんですが,その方についても情報はあらかじめ聞いていたんですか。
逮捕当日は余り知りませんでした。
そうすると,太田さんとしては専ら白坂さんlごついての情報を聞いて・・・。
ただその日限り知っただけであって,以前から知っているとか,そういうことはなかったので。
次に,白坂さんの自動車を発見するところの状況についてお聞きしたいんですが,あなたが白坂さんの車を最初に見かけたときは,あなたが乗っていたパトカーはとまっていたということですか。
とまっていました。
そのときのあなたのパトカの向きなんですが,どのような向きでとまっていましたか。道路との関係ですが。
カーブがありまして,カーブの先が若干余地がありまして,対向車が来れば正面から見れるぐらいの,たしか位置づけはしてあったと思います。
道路のカーブの部分で、対向車が来れば正面に見える位置に・・・。
正面に見える位置で見ていました。
そうすると,あなたが白坂さんの車を発見した後に追尾しようと思ったのはどういう理由からですか。
先ほども言ったとおり把握していたナンバーでしたので,あの車だということで後を追尾しました。
白坂さんの車を発見した場所の制限速度は何キロかわかりますか。
ちょっとわからないんですけども。
例えば現場のような道路では通常何キロから何キロぐらいだろうということは。
大体40キロか50キロだと思います。
白坂さんの車は,そのときどれぐらいのスピードで走行していたと思います。
特にレーダーを作動させていなかったんでわかりませんけれども,通過してからすぐの直近に丁字路交差点があるんですけども,そこを右折していったと思うんですけれども,本来であれば普通にパトカーを発進させればすぐに追尾できる状態だったと思うんですけども,私たちが車を移動したときにはもう目の前にいなくて,それを見ていた岩下特務が多分右に曲がったよということで,急いで追いかけていったもんですから,スピードは出ているんじゃないかということで,そのように声をかけました。
具体的に大体何キロくらいかなというのはわかりませんか。
経験上ですけども,30キロ以上,また40キロぐらい出ていたと思います。
(ここで被告人が「制限速度じゃねーか!」の不規則発言)
30キロないし40キロというのは,それはそうするとオーバーとかいう意味ではなくて,そのまま30キロから40キロぐらいかなということで。
はい。ただ,私も速度をはかっていたわけではないんで,感覚で通り過ぎたときはです。
そうすると,危険を感じるほどのスピードではないんでしょうか。
危険を感じるかどうかはちょっとわかりません。
それから,太田さんのパトカーが白坂さんの車両に追いつくまでなんですけれども,どれくらいのスピードを出して追尾したかわかりますか。
私は,助手席に乗っていたんですけれども,若干アクセルを強目に踏んだような感覚でついていったような気がします。
少なくとも白坂さんの車に追いつくスピードではあったということですか。
そうです。
そのときサイレンは鳴らしていませんよね。
そこはちょっと覚えていないんですけど,多分鳴らしていなかったと思います。
(ここで被告人が「ウソつけ鳴らしたじゃねーか」の不規則発言)
あなたが白坂さんの車を発見してから白坂さんの車を呼びとめるまでの道というのは直線でしたか。
若干カーブとかあったと思いますが,多少見失ったところもありますんで,若干のカーブはあったと思います。
大体の感覚でも結構なんですが,何回ぐらいカーブがありましたか。
以前の記憶なんでちょっとわかりません。
複数回はあるという印象でよろしいですか。
5回も6回もでもないですけども,若干はあったと思います。
それで,次に白坂さんの車を呼びとめてからのことについてお聞きしますが,白坂さんを呼びとめた後,窓越しに最初スピード出し過ぎですよというようなことを言いましたよね。
スピード出ていますよねということで質問しました。
その呼びかけに対して,白坂さんはどんなふうに答えましたか。
もうその大麻のサークルというか,祭りの説明を最初し始めたと思います。狙い撃ちじゃねえかとそんなようなことでスピードを出していることに対しての答えはしていなかったと思います。
(被告人「ウソつけ!」発言)
白坂さんからこんな山道でスピードなんて出せないじゃないですかという回答は最初に出てきませんでしたか。
それは言っていたかもしれません。
それから,運転免許証の提示を求めたんですか。
はい,しました。
白坂さんは,そのとき任意捜査であれば運転免許証は見せないというようなことを答えましたか。
そこまではちょっと記憶していませんけれども最初は免許証の提示は拒んだことはあります。
白坂さんは,友人の自宅に行きたいので,立ち去りたいと言いましたよね。
はい,言いました。
そのイベントの片づけにも必要だから立ち去りたいと言いませんでしたか。
そこら辺は記憶で覚えていないところもありますので,ちょっとわかりません。
ただ,白坂さんは立ち去りたいということを繰り返し言いましたよね。
はい。
その後あなたは,白坂さんに対して所持品検査に応じるのか,車両内,白坂さんの車の中を検索させてほしいと言いましたね。
はい。
それに対して,白坂さんは断りましたよね。
それでも所持品検査を求め続けましたか。
はい,求めました。
その後白坂さんは車の中で電話をしましたよね。
何回かしているので,いつしたかはちょっと覚えていませんけども,電話をしているのは見ています。
白坂さんは,弁護士に電話するというようなことを言いませんでしたか。
ちょっとそこら辺の言動がどうであったか覚えていません。
白坂さんから弁護士が今電話に出ているので,かわってくれと言われて電話に出たことありませんか。
私は出た記憶はありません。
その場にいたほかの岩下さんやほかの警察官の方が電話に出たということありませんか。
何かかわった,たしかですけども,宮坂が1回かわっていると思います。
それは,弁護士と電話をした・・・。
誰と電話していたのかはわかりません。
宮坂さんから誰と電話したかという話は聞いていないということですか。
特に聞いておりません。
そうして,白坂さんに対する職務質問を続けている中で,その場にいる太田さんか宮坂さんかほかの方がどなたかそろそろ行っていいんじゃないかと,行かせていいんじゃないかというような発言をしませんでしたか。
多分私が言っていると思います。
どうしてらちが明かないのにそのまま続けたんですか。
そのうちに施設のほうから逮捕者が出ているということと,大麻が出てきたということで,最初の所持品検査以上に嫌疑が深まっていったから,その後は現場に戻ってもらいたいということで方針が変わりましたので,そこからはもうずっと説得した次第です。
あなたがそろそろ行かせていいんじゃなし1かと言った後に,ほかの警察官の方が県外に出られるとまずいというようなことを発言しませんでしたか。
記憶にありません。
あなたがそろそろ行かせていいんじゃなし1かと発言したことに対して,現場にいた岩下さんとか,ほかの警察官の方は何と答えたんですか。
そこにいたの宮坂だけだ、ったと思うんですけども,とりあえず説得して説明,戻ってもらわなきゃいけないからということは言っていました。
ところで,職務質問中の位置関係についてですが,まず宮坂さんとか合流する前の時点なんですけれども,太田さんたちが乗ってきたパトカというのは白坂さんの車から見てどの位置に駐車したんですか。
後方にあったことは間違いないんですけれども,その真後ろにあったのか,後ろの脇道に入れたのかどっちかだと思うんですけども,ちょっとそこら辺は記憶が途切れ途切れで思い出せません。
先ほど白坂さんの自動車を移動する先の候補として,2か所の丁字路のところを示されていましたけれども,そうするともしパトカーがそこに入っているのであれば,なかなか白坂さんの自動車をそこに入れるのは難しいと思うので,結局後方につけていたんじゃないんですか。
奥行きのある道ですんで,十分入れたと思います。
そうすると,そこは後ろにつけていたのか,それとも丁字路に入れていたのかはちょっとわからない。
覚えていないです。
後から宮坂さんとか応援の方が駆けつけてからの位置関係についてお聞きしたいんですが,応援に駆けつけた方が乗ってきたパトカーは,白坂さんの車から見てどのあたりにとめた・・・。
すべて多分後方だったと思います。
その車については,白坂さんの後方すぐの位置なのか,あるいはどこか丁字路の場所なのかとか,そういった御記憶はありますか。
捜査車両は,たしか後方の丁字路のほうへとめであったと思います。そちらのほうは御記憶はあるんですか。
最後捜査用車両で,たしか私パトカーで乗ってきたんですけど,捜査用車両で帰った気がしますんで。
あなたが乗ってきたパトカーの位置については記憶がない。
そうです。途中で中野が多分移動していると思いますし,そこら辺がちょっと定かでないんで位置がどうだかというのは思い出せません。
先ほどあなたの言葉で言うと,天平の森の交流センター,施設のほうで大麻が出てくるなどして,白坂さんの嫌疑が高まったということなんですが,結局白坂に対する捜索差押令状は請求もしていないし,取得もしていないということですよね。
どういうことですか。
現場でです。職務質問の時点では。
はい。
それから,先ほど白坂さんが自動車を発進させたら職務質問は中止せざるを得ないとおっしゃっていましたけれども,逆に言えば白坂さんが業を煮やして発進するまでは,もうそのまま職務質問継続するつもりであったということですね。
ええ,説得する予定でした。
それから,天平の森の交流センターに戻るときの位置関係,パトカーの位置関係についてお聞きしたいんですけども,パトカーはそのとき何台向かった,2台で向かったんですか。
まず,私たちが車をとめたときのパトカーと,応援に来た人聞が何で来たのかちょっと思い出せないんで,あと捜査用車が1台あったんで,3台はあったような気はしますけども,その車両の台数まではちょっと思い出せません。
少なくとも2台ぐらいは施設に向かったと。
2台はありました。
そのときのパトカーの配置なんですけれども,例えば1台が先行して,2台目が白坂さんの車の後ろについていったとか3そういった戻る途中の位置関係というのはどういう関係でしたか。
そこら辺ちょっと覚えていないんですけれども,本人に運転をさせて行ったのは間違いないんですが,そこら辺は覚えていません。
少なくとも見失うような位置関係ではなかったということは言えますか。
はい。
次に,白坂さんと捜査官の方々が施設の駐車場に到着した後のお話を伺いますけれども,白坂さんの所持品検査を実施するときには先ほどの話だと五,六人の警察官がいたということはよろしいですか。
はい。
白坂さんが施設の駐車場で所持品検査に応じる直前の警察官の方の配置,位置関係はどんなような状態でしたか。
私たちが到着して,白坂さんの車は駐車場の奥のほうへ入っていったと思うんですけども,ついた段階でもう施設のほうの指示をしていた依田のほうが近づいていって,多分声をかけていると思います。私たちもそこの声をかけているところに自分たちの車をとめて駆け寄った次第なんですけども,位置関係というとちょっとぐちゃぐちゃしていた状態なので,よく覚えていません。
ただ,その時点であなたとしては,白坂さんが車両内に大麻を所持している可能性が高いというふうに考えていた・・・。
まだ,そこまではずっと思っていました。
そうすると,到着するとその場にいた警察官の方々がとりあえず駆け寄ったということは間違いないですか。位置関係までは御記憶はないけれども,人の方が駆け寄ったというよりは,数名の方は白坂さんの車には駆け寄っているんですか。
と思いますが,ちょっと人選的なものはどういう人選でそこに何人か集まったかわからないですけども,私たちは職務質問の平行線上でそこに立ち会ったような感じです。
白坂さんが施設から安曇野署に向かうときの話なんですが,そのときには太田さん自身は警察車両で追尾していったりはしていないんですか。
追尾というか一緒に同伴している車は,多分本部員の方たちの車両でついていったと思うんですけども,途中でコンビニ寄っただとか,そういう話もあって,あと若者の,たしか白坂さん乗せていたと思うんですけども,駅に行った記憶がないので,私は。多分私はもう独自に帰ってしまったと思います。
今度は,太田さんが安曇野署に戻ってからのことなんですが,太田さんが捜査報告書とかを作成していたフロアというのは白坂さんの取り調べを受けていた取調室と同じフロアですか。
はい。
例えばちょっと私は安曇野署の中のことはわからないですけれども,同じ大部屋の中なんですか。
はい。
取調室は取調室の位置している大部屋の中の奥のほうにあるんですか,入り口から見てですが。
入り口から見て奥のほうになります。
太田さんが書類を作成していた執務の机については,取調室よりは入り口のほうに近いんですか。
まだ調べ室よりまでは奥のほうになります。
取調室と入り口の聞にはやはり捜査官の方の机とか,そういったものはあるんですか。
事実あります。
次に,白坂さんの自宅の捜索をしたときのことについてお尋ねしますが,あなたが白坂さんの自宅の捜索時に白坂さんとやりとりをしたのは先ほどのお話だと大麻用のものの予試験をしたときだというお話でしたが,それ以外には白坂さんとはやりとりはしていませんか。
あと,家の中に大麻を栽培しているようなコーナーがあって,これは何ですかというところで若干質問はしたような記憶はあります。
それ以外には特にないですか。
そのときは,ずっと滝津か関のほうで多分自宅のほうのソファーに座っていたと思うんですけども,そこで対応していました。私たちは個別の部屋を探させていただいていたんで,その予試験のときだけです。
予試験のことについて伺いたいんですが,検査薬について白坂さんからその検査薬は何に反応するものなのかというような質問受けましたか。
そのときは,大麻成分にという答えをしたと思います。
あなたは,その場で予試験の説明書を開いて読みませんでしたか。
読みました。
その説明書を読んだ上で,あなたが白坂さんに答えたのは大麻成分に反応するという回答なんですか。
はい。取り扱い説明書にはそこまで書いてありませんでしたので。
それ以上のことは説明していないですか。
はい。
白坂さんから検査薬について聞かれたときによくわからないと回答しませんでしたか。
そこまで書いていないよとは言ったかもしれないです。
そうすると,あなたとしては大麻成分に反応するということ以上の説明はできなかったんですか。
していないです。
そのときに白坂さんからあなたに対して,例えば命と法律どっちが大事だというような質問投げかけられたことありませんでしたか。
それは多分私じゃないと思います。
(白坂補足。このとき、命と法律と、どっちが大事だと思う?という私の問いに、この警察官は「命も大事ですよ」と答えた)
少し一般的なお話をお伺いしますが,今回の事件があったのが平成25年9月28日から29日にかけてですが,当時からきょうまでの間,あなたは捜査担当者として,何件ぐらいの捜査に従事してきましたか。正確な数はわからないと思いますので,大まかな。
どんな事件でもということですか。そうです。薬物に限らず。
数え切れないぐらい。
例えば大麻取締法違反に限るとどれぐらいの数ですか。
大麻に関しては3例目だったような気がしますけど。
検察官
異議ではないんですけども,恐らく本件以降と本件以前のがまざっていたと思いますので。
弁護人
もう一度質問させてください。平成25年9月からきょうまでの2年間の聞にどれぐらいの,何件ぐらいの捜査に従事してきたかわかりますか。
10件以上あると思いますけれども。
少し話がちょっと前後してしまうんですけれども,もう一点お尋ねさせてください。最初に白坂さんを発見した後に路上で停止させて,職務質問をしていたときの話なんですけれども,応援の方が交通整理に来たということでしたが,やはり交通整理をする必要があるほど交通量が多かったんですか。
そのとおりです。
(弁護人訊問了)
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