CBDとTHCとガンの関係

投稿日時 2016-04-29 | カテゴリ: プロジェクトCBD

マーチン A リー(Martin A Lee) 2014年2月5日(木)
(原文はデイリービースト誌に掲載)

大麻の抗ガン作用と副作用の調整機能が判明

現在数多くの研究により、大麻に含まれる『カンナビノイド』は、ガンの成長を鈍化させ、腫瘍を養う新しい血液細胞の形成を抑制し、疼痛や疲労、吐き気など(化学療法の)副作用をコントロールするということがわかっている。


マドリード コンプルテンス大学の若き生理学者クリスティーナ・サンチェス氏は、細胞の代謝を研究していた時、奇妙なことに気が付いた。同氏は当時、脳腫瘍細胞が通常の細胞株よりも成長が早く研究目的に有用であることから、脳腫瘍細胞のスクリーニングをしていた。しかし脳腫瘍細胞は、大麻の主要な精神活性成分テトラヒドロカンナビノールに晒される度に死んだのだ。

サンチェス氏は、細胞がどのように機能するかについて理解する代わりに、THCの抗がん特性を偶然に発見し、1998年の欧州の生化学系ジャーナルにおいて、THCが「C6グリオーマ細胞(侵攻型の脳腫瘍)のアポトーシス(細胞死)を誘発する」ことを報告した。

その後数カ国で行われた、論文審査対象の研究では、「カンナビノイド」として知られる、大麻由来のTHCなどの成分がガンの症状(吐き気、痛み、食欲不振、疲れ等)を効果的にコントロールするだけでなく、直接的に抗腫瘍効果をもたらすことがわかっている。

マヌエル・グズマン氏を首席としたスペイン人研究者チームは、ヒト被験者に対するTHCの抗腫瘍作用を評価する初の臨床試験を行なった。グズマン氏は、標準的な脳腫瘍の治療に反応しないグリア芽腫を患う9名の入院患者に対し、カテーテルを介して純粋なTHCを投与。その結果について、2006年の「英国薬理学ジャーナル」(British Journal of Pharmacology)において、「THC治療により、全被験者において腫瘍細胞の増殖が著しく鈍化した」と発表した。

同じ頃、ハーバード大学の研究者らは、THCが一般的な肺ガンの腫瘍増殖を鈍化させ、「ガンの転移能力を著しく低下させる」と報告。さらに、THCは熱追尾式ミサイルのように健康な細胞を攻撃せず、ガン細胞に狙いを定めて破壊すると報告した。

「医薬品化学分野のレビュー」(Mini-Reviews in Medicinal Chemistry)の報告によると、カンナビノイドは、「ガンの増殖を鈍化させ、血管形成(ガンを養う新しい血液細胞の形成)とガン細胞の転移を抑制する新しい種類の抗ガン薬である」ということが多くの研究で証明されている。

サンフランシスコ 太平洋医療センターの研究者、ショーン・マカリスター博士は、さまざまなガンに対する新たな治療的介入を発展させようと、10年間に渡ってカンナビノイド化合物の研究を行なっている。博士は、米国立衛生研究所(National Institute of Health)の補助に支えられ(DEAからの免許も得て)、大麻草の非精神活性成分カンナビジオール(CBD)が乳ガンの増殖、転移、腫瘍成長を抑制する可能性があることを発見した。

マカリスター博士は2007年、CBDが、ID-1遺伝子(ガン細胞転移に重要な役割をしていると考えられるプロテイン)の発現を停止させることで、どのように乳ガン細胞を殺すか、悪性腫瘍を破壊するかについて詳細な説明を公表した。

ID-1遺伝子は、ヒトの胚発育段階に活発だが、その後不活性化する。しかし、乳ガンや他の数種の転移性のガンでは、再活性化し、悪性腫瘍が攻撃的になり、転移する原因となる。マカリスター博士によると、「侵攻型のガンの多くでこの遺伝子が発現する」という。博士は、CBDにはID-1の発現を鎮める能力があることから、CBDは画期的な抗ガン薬になる可能性があるとしている。

「CBDは、化学療法のような痛みを伴う副作用なく、侵攻型のガンを治療する無毒治療の希望を与えるものだ」。マカリスター博士は、乳ガン患者における、大麻化合物を使用した臨床試験を行なうための支援を求めている。

博士の研究所では、CBDが、化学療法の第一選択薬との組み合わせでどのように作用するかということについても分析している。同所での研究により、単独でも抗腫瘍の可能性を持つ化合物であるCBDがさまざまな抗ガン剤と相乗的に作用し、最大限の効果を得るために必要とはいえ有毒な服用量をカットしながら、その効果を増強することがわかっている。

ロンドン セントジョージ大学研究者らは、前臨床研究における従来の抗白血病治療の効果を増幅させるTHCに同様のパターンがあることを発見した。THCとCBDはともに、白血病の細胞株においてアポトーシスを誘導するのだ。

国際カンナビノイド研究学会(International Cannabinoid Research Society)による夏の定例会議は今年、ドイツのフライブルクで行なわれ、300名の研究者が世界中から集まり、ガンや他の変性疾患に対する新しい治療法に向かっている最新の発見について議論を交わした。イタリア人研究者は、CBDを、前立腺ガンにおいて「最も有効なアポトーシスの誘導物質」だと言っている。ランカスター大学の英国人研究者らによると、CBDは大腸ガンについても同様だという。

医科学界では、カンナビノイドに抗腫瘍特性があるという発見が、ガン治療において将来的に大きな影響力を持つ進歩であることがますます認識されている。

Source: PROJECT CBD
CBD, THC, and Cancer

翻訳:なみ





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