連邦政府:THC陽性の運転手が交通事故に遭う可能性は高くない

投稿日時 2016-06-23 | カテゴリ: NORML News

2015年2月12日(木)

ワシントンDC: 米幹線道路交通安全局(NHTSA)が先週公表した症例対照研究によると、血中THCに陽性の検査結果が出た運転手は、薬物を使っていない運転手に比べて、交通事故に遭う可能性は同程度だという。


報告によると、THCに陽性の検査結果が出た運転手は、対照群(薬物にもアルコールにも陰性の運転手)に比べて、未補正の交通事故リスクが25%(オッズ比=1.25)高かった。しかし、この上昇率は、運転手の年齢や性別など人口統計学的変数を調整した場合、わずかな値(オッズ比=1.05)となった。また、研究者らが人口統計学的変数と体内アルコール値をともに調整した場合、THCに陽性の運転手の交通事故リスクは上昇しなかった(オッズ比=1.0)

一方で、低いレベルのアルコールに陽性の運転手は、人口統計学的変数を調整した場合でも、交通事故リスクが統計学的に著しく高かった(血中アルコール濃度0.03の運転手は、対照群に比べて、交通事故リスクが20%高かった(オッズ比=1.20)。)。また、血中アルコール濃度が0.05の運転手は、交通事故リスクが2倍以上高く、同0.08は、4倍近くリスクが高かった。

研究者らは、致死的な交通事故データに関する別の分析で以前に報告されているような、THCレベルの高低が事故リスクに影響するか否か推定するための、運転手のTHCレベルにおける変数は分析しなかった。

結論によると、「今回の結果により、他の変数(年齢、性別、アルコールの使用有無)には薬物の使用と深い相関関係があり、そのような変数が違法薬物の使用やTHCの摂取量による交通事故リスクの増加の原因の多くを占めていることがわかる。(中略)また、この研究結果は、以前の十分な対照研究に整合するものだ」。

今回の研究は、9,000人もの被験者を対象にしており、運転手による薬物とアルコールの使用と交通事故リスクの関連性を評価した、米国における初めての大規模な症例対照研究である。

この研究結果は、「大麻の使用により交通事故に関わるリスクが倍以上になる」としたNIDAおよび他団体による報告とは食い違うが、『交通事故の分析と予防』(Accident Analysis and Prevention)誌が公表した2013年の文献レビューとは大まかに一致している。同レビューでは、大麻に陽性の運転手には、損傷を伴う交通事故や致死的な交通事故について、統計学的に有意なリスクがないと報告された。

また、NHTSAの後援による、精神運動機能障害と血中THCレベルの相関関係について評価した過去の研究でも同様に、「そのような相関関係はないのは明らかだ」と報告されている。

NHTSAによるオンラインの概況報告書『薬物と人間の能力』("Drugs and Human Performance: Cannabis")では、「ある人におけるTHCの血中または血漿中濃度と機能障害の効果との関係を確立するのは難しい。(中略)血中THC濃度だけをもとに効果を予期しようとするのは得策ではなく、現在、THC-COOH(カルボン酸THC代謝産物)濃度をもとに特定に効果を予期するのは不可能である」と認めている。

詳しい情報は、NORML副事務局長ポール・アルメンターノ(paul@norml.org)にお問い合わせください。大麻と精神運動機能に関するNORMLのホワイト・ペーパーは、以下のサイトに掲載しています。
http://norml.org/library/item/cannabis-and-driving-a-scientific-and-rational-review

Source: NORML NEWS
Feds: THC-Positive Drivers No More Likely To Be Involved In Motor Vehicle Crashes

翻訳:なみ





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