控訴審第一回公判 細江弁護士による弁論

投稿日時 2016-08-19 | カテゴリ: 白坂裁判

以下、公判で細江弁護士が裁判官に向けて語った弁論の内容です。



裁判長,両陪席裁判官
私が皆さんに判断していただきたいことは,控訴趣意書及び控訴趣意補充書の通りです。

この弁論では,皆さんが控訴趣意の内容を調査して判断する上で留意していただきたい点を申し上げます。

まず,皆さんは,現在日本国内で蔓延している代表的なドラッグはなんだと思いますか。

それはアルコールとタバコです。もちろん,アルコールとタバコは合法ですが,本質的にはこれらもドラッグです。アルコールやタバコが有する人体・社会に対する有害性が,社会的に許容しうる程度であるから,合法とされているに過ぎません。

一審判決は,「程度の高低はともかくとして,大麻が一定の精神薬理的作用を有しそれが人体に有害なものであることは公知の事実」としたうえで,「個人のみならず社会全体の保健衛生に影響する危険性を否定できない」としました。

しかし,大麻の有害性の程度の高低を問わないということは,常識的に考えれば,何らかの有害性が少しでもあれば大麻が危険だと判断していることになります。このような判断はあってはならないことです。砂糖,塩,カフェイン,様々な物質は人体に対する有害性があります。人が体内に摂取するものを規制するにあたって,その有害性の程度を問わないなどということはあり得ません。

このように,大麻に関する議論になると,途端に常識からはずれたことが罷り通ってしまうのです。

もちろん,大麻は無害ではありません。しかし,証拠を常識にしたがって判断すれば,現在の科学的知見で判明している大麻の有害性は,日常生活で問題となるようなものではありません。

私たちは,思い込みや決めつけをもって生活をしています。子供の頃から「ダメ。ゼッタイ。」と教育を受けていれば,大麻の有害性など考えることすらしないでしょう。

しかし,裁判ではそれは許されません。大麻取締法の違憲性は,被告人である白坂さんの生活,人生を大きく左右する問題です。もっといえば,医療大麻を必要とする人々や,個人のささやかな楽しみとして大麻を愛好している人々にとっても切実な問題です。

思い込みや決めつけではなく,証拠に基づいて,大麻の有害性を認定し,それが本当に刑罰でもって規制する必要がある程度のものなのか,明確に判断をしていただくようお願い致します。

ありがとうございました。





大麻報道センターにて更に多くのニュース記事をよむことができます
http://asayake.jp

このニュース記事が掲載されているURL:
http://asayake.jp/modules/report/index.php?page=article&storyid=3668