サル・パラダイス
【今週のマスコミよかった大賞】
週刊文春 11月17日号
町山智浩の言霊USA
悪法は法ではない
大麻の個人使用や個人所有を犯罪として扱わない州が多数のアメリカに住む町山氏から見ると、今回の髙樹沙耶さんの逮捕にからむ大麻騒動はおかしいとはっきり思えるようです。
町山氏自身は大麻の重罰化に反対してまして、その考えは最もだと思えます。 習慣性や毒性もないと科学的に証明済みの大麻を禁止するのは不当だし、被害者のいない行為を罪として社会的に糾弾するのは、人権侵害につながるといいます。
でも、「日本では違法だから、処罰されて当然だ」という意見もありますが、法哲学にはLex iniusta non est lex「悪法は法でない」という言葉があると語られるんですねえ。 へー、それは発見です。 「悪法も法なり」かと思ってましたが、なんか、自分は絶対悪くは無いと主観的にも、客観的にもはっきり思えても、法律があれば、その法律に従うのが清くて正しいことかと思ってましたが、違う可能性でてきましたよ。
黒人の人権のために戦ったマーティン・ルーサー・キング牧師がこの言葉を引用したというんです。 確かに60年代までのアメリカ南部の人種隔離法はどう考えてもおかしいし、日本でも治安維持法という戦争に反対することが違法とされた法律がかつてあったわけです。
「悪法も法なり」が正しいとすれば、あの時代では黒人に参政権がなかったり、異人種と結婚できなかったり、明らかに人種的に差別されることが正しいことになるし、戦争に反対することは正しくなかったってことになるわけですよ。
今回の高樹沙耶さんの件、彼女が法律を犯した(まだ、容疑ですが)という点だけをクローズアップして、責めて責めて責めまくってますが、せめてマスコミさんは、もっと根本的なところにフォーカスしてほしい。 そこにふれないから、なんか、記事とか報道全体のもやもや感が抜けなかったんですね。
町山さんが言われるように、習慣性も毒性もないと科学的に証明済みの大麻を禁止するのは不当だし、被害者のいない行為を罪として社会的に糾弾するのは、人権侵害だと。 問われるべきは、法律であると、大麻取締法であると。
|