サル・パラダイス
【今週のマスコミよかった大賞】
サイゾー 2017 1月号
賛成派も否定派も日本の議論は低レベル?
米国の経済学者が合法化を推進!
医療用大麻問題の“正しい”論点
今回のサイゾー、医療のタブーの特集なんですが、そのはじめの記事として4ページで扱われているわけでして、医療として、文化として今や大麻は注目の物であることは間違いないのでしょう。 ただ、現状の日本の政治界、法曹界、マスコミ界において、大麻の扱いというのは、めんどくさいからそのまましときたいというのが本音ではないでしょうか。まあ、マスコミ界は、どちらかというと解禁してもいいのだが、お上の意向にはしたがわねばというところでしょうけど。
まずは、今の日本の医療用大麻解禁の動きについて、小森弁護士の話として、60年代後半のヒッピー文化の大麻礼賛の流れをそのまま引きずっているとしたうえで、大麻が禁止された背景が示されています。 それによると、19世紀初頭にアヘンからモルヒネが単離されたのにおくれ、大麻からTHCが単離されたのは、20世紀半ばなのだという。そのため、医薬品としての扱いは遅れ、正体不明の民間薬の扱いで、ヒッピーの新しい娯楽となっている中での麻薬に関する単一条約の発効となったとのこと。 それで、アヘンがスケジュールⅡなのに対して、大麻はより麻薬というスケジュールⅠになっているそう。で、現状にあっていないので、米国の医療大麻合法化運動はこのスケジュール変更を含めた様々な活動をしてきたという。
ここからは連邦法と州法の攻防戦になるわけです。70年代半ばにワシントンD.C.で緑内障患者が自分の治療には大麻しか有効なのがないとの訴えが認められ、州法として大麻が認められていく道筋ができます。
ところが、医師の麻薬処方資格は連邦法の管轄なので、や~らないとなるわけです。 今度は、90年代にがんやAIDSの治療として第2の波がくるのです。ここでは、医師が処方するのではなく、大麻の使用を推薦する書面をつくり、患者の協同組合が大麻を提供するという形となるわけで、連邦法も一時攻め手がなかったのですが、提供側が組合構成員でない人で提供してるのがあるとして、大麻の供給所の摘発をはじめたのです。
そして現在、オバマでは州法で合法となったのなら、それを尊重しましょうとなったのだけど、トランプになってどうなるかなというところなんでしょう。
で、今度は欧米の大麻に対する考えの最先端として作家の橘玲氏の意見として、現在の大麻合法化にジョージソロスなんかが巨大投資してるわけですが、それは、欧米で「自己決定権を最大化した社会がリベラルな社会」という合意ができつつあったからだといいます。要するに他人に迷惑をかけなければ何をしてもその人の自由という新自由主義的な発想というわけです。
こうなると、大麻以外のコカインとかの合法化も考えられるわけですが、これは先のヒッピー文化とは全く無関係のルート、経済学の立場からその意見があるとのこと。ドラッグを国の管理下に置き、犯罪組織の収入を断ち、税収を増やすという非常に合理的な考えであるのです。
で、最後に医療的にほんとのところどうなのという話になるわけでして、東邦大学医療センターの大津氏の話として、「医療大麻はまだ不確かなことが多いし、現段階で他と比べて際立って優れた医薬品ということもない。医療用麻薬に比べて研究に費やされた時間も全然少ない、欧米の研究の成果を見極めてからにしましょう。」という感覚らしい。
「ただ、全く不要ということはなく、神経系の痛みには既存のと違って有効だし、エイズの食欲不振など、一定の効果が認められる領域もある。だから、テレビで医師として出演し医療大麻なんてないとやらかすバカッチョな連中には関心しません。」と言っておられる。 ただし、現時点の日本の医学界では、大麻取締法があることもあり、医療用大麻については論じられることはほぼなく、他の薬で間に合ってるので必要ないという姿勢であるようです。
どうでしょう、日本の未来に医療用大麻はあるのでしょうか。 なんか、この記事から感じるのは、カリフォルニアで医療大麻が解禁されたのは20年前で、日本はそんな歴史も無いし、治験のデータ収集すらしていない。そんな程度で、大麻解禁をただ叫んでるだけで、医学界でも必要とされてないし、当分ないでしょうということでしょうか。
こんな状況を暗いと感じるかもしれませんが、ここはあえて、こう考えることにします。 そうか、医療用大麻はいつかは日本で合法化されるということなんですね。そのために、行政側として、これから議論したり、制度つくりの準備をしたりとめんどくさいことが待っていますし、いろんな現在の利権もあるだろうから、我々は手を付けたくないけど、欧米で普通に使われるようになって無視できなくなるころには受け入れざるを得ないので、これから徐々にやっていくということにしましょう。
ね、やった、自分の死んだころには合法化されてるかなぁ、よろしく頼むぜ! なんて呑気な話ではやっぱないよね。いいものと外国でも、どこの記録でも、体験でも判定でたら、それを正確に伝えて、いいものなら即取り入れましょう。
がんで化学療法で苦しんで食べれない人には、やっぱり大麻を吸わせてあげて、食べて生きる前向きさを取り戻させて、延命治療だけでなく、患者としてのある程度の快適な生活をさせてあげたいと思うのです。
治験データが集まらないのは、あたりまえで、大麻の医療的研究も大麻取締法が禁じているからです。
まずは、大麻所持での逮捕を現状の懲役5年といった重いものから、欧米先進国程度の罰金刑くらいにして、大麻についてもっとオープンな議論ができる雰囲気にして、医療用大麻の使用の枠を徐々に広げられるようにしていきましょう。
サイゾーをちら見
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