過日、桂川さんからネット掲載用の原稿と手紙が届きました。かつて公開していた桂川さんのサイトの復活についても依頼がありました。桂川さんは逮捕以前このようなサイトを公開していたというモニュメントとして復活する予定です。
今回お預かりした原稿には「自由な意志で大麻を栽培し、マナーを守って大麻を吸いましょう」とあります。旧サイトでの主張にも同じような趣旨の記述があり、これは桂川さん自身の一貫した主張・思想であるのだろうと思います。お預かりした桂川さん原稿の公開についてTHCの協力者たちからは、司法に対する批判的意見には共感しつつも、強い反対意見がありました。THCは法を犯すことを勧めるために活動しているのではなく、異常に厳しい大麻規制の現状を裁判を通じて変えることを目的としているのであって、数多くの逮捕被害、言葉にはできないようなご家族たちの苦しみに接していながら、逮捕されるような行為を勧めることはマッチポンプであり自己矛盾であるという指摘です。
強い反対意見もあるなか、桂川さんの原稿を、桂川さんご自身の意向によって掲載しますが、THCとして必ずしも同様の主張をするものではありません。
過日、新たな相談メールが入りました。2歳のお子さんを持つ女性からで、ご主人が大麻の少量所持で逮捕されたそうです。逮捕されたご主人は、誰に迷惑をかけたわけでもなく、マナーを守って大麻を愛好していたそうです。いかなる法益を侵害した事実もなく、それこそマナーを守っていても、現在の日本では逮捕され、家族は途方もない苦しみと悲しみに苛まれるのが現実です。相談メールをくれた奥さんも、絶望的な悲しみのなかで今現在も小さなお子さんを抱え、この先どうしたら良いのかと、言葉にできないほど苦しんでいます。THCを立ち上げて以来、そのような現実を多数目の当たりにしています。多くの人たちのその苦しみ、悲しみ、絶望感を知る者として、現状ではとても大麻の栽培や使用を他者に勧めることはできないというのがTHCとしての率直な見解です。
自由な意志で大麻を栽培できる社会、マナーを守って大麻を愛好することができる社会を創ろう、こんなことで逮捕されない日本にしよう。そんな思いでTHCは逮捕された本人やご家族近親者を支え、大麻取締法の矛盾や違憲性を法廷の場で指摘し、裁判を通じて私たちの主張を社会に伝え、現状を改善する一助になりたい、この問題に関心を持つ多くの人たちと協同して大麻で逮捕されない社会を実現したいと考えています。
私たちは、微量の大麻所持でさえ逮捕勾留される現状で、大麻の栽培や所持を他者に勧めることはとてもできません。
大麻で逮捕しないでほしい。ただそれだけが私たちの願いです。
|