大麻草:環境にやさしい植物資源(その2)

投稿日時 2006-08-30 | カテゴリ: 新聞

毎日新聞2006年8月30日

大麻草:環境にやさしい植物資源(その2止)
殻取ったナッツで、豆腐やコロッケ

前田耕一さん

麻の実を使った豆腐、コロッケ、マリネなど6種類のコース料理。化粧品付きで1800円=「麻」で
 
▲▼油は化粧品
ゴマよりやや大きめの麻の実は七味唐辛子の一味として知られている程度だが、実は意外にいろいろな料理に使える。

麻の実を使ったカレーやパンなどを扱う店が少しずつ出てきたが、早い時期から注目してきたのが麻の実料理の専門レストラン「麻」=東京都世田谷区北沢2、本社電話03・5738・1423=だ。8年前に開店し、創業者の前田耕一社長は麻の実の粉末や油、化粧品なども開発した。前田さんは、当初は雑穀の一つとしての興味に過ぎなかったが、料理を作って、出すうちに栄養価が高いことも分かり、レパートリーを広げていった。

前田さんは「殻つきのままでいっても食べられるが、料理で一番使いやすいのは、殻を取ったナッツだ」と体験から話す。麻のナッツは白いゴマのような形で、味はクルミに似ている。ナッツを使った豆腐やコロッケは店のメニューでも好評だ。ごはんやサラダにふりかけたり、パンやケーキに混ぜて焼いてもよい。油はマヨネーズやドレッシングにも使える。

実を搾った油は化粧品にもなる。無色透明で使用感はサラッとしている。皮膚への浸透力と保湿力にすぐれているのが特色だという。

「麻」で扱う麻の実は中国の生産者と契約栽培したオーガニックの麻。前田さんは「栽培規制があって難しいが、三宅島や伊豆大島などで栽培すれば、町おこしになるはずだ」と普及に期待する。

▲▼ビールや車の燃料にも
麻の実を使った地ビールもある。新潟麦酒(新潟市、電話0256・70・2200)が作ったのが「麻物語」(税込みで1本294円)。2次発酵の段階で麻の実を加え、ビール瓶の中で発酵させる独特の製法で作る。フルーティーな味やまろやかさが特徴だ。

ナタネやヒマワリの種子の油がディーゼル車の燃料になるように、麻の実の油も燃料になる。軽油に比べて、硫黄酸化物の発生量が少ないなど利点は大きい。しかも、麻の場合、茎をアルコール発酵させれば、エタノールというバイオ燃料もできる。米国やブラジルではトウモロコシやサトウキビを発酵させてできたエタノールをガソリンに混ぜて走る車が増えている。

麻のビールを開発した宇佐美健・新潟麦酒社長は4年前、麻のヘンプオイルを燃料にしてキャンピングカー(ディーゼル車)で日本を一周する先駆的な試みに取り組んだ。宇佐美さんは「世界的には植物由来のバイオ燃料が見直されている。いずれ麻も仲間入りするのでは」と予測する。

◇不足しがちなミネラル豊富
麻の実はたんぱく質に富むだけでなく、鉄分、亜鉛、マグネシウムなどミネラルも豊富だ。どれも現代人に不足しがちなミネラルだ。

心臓患など生活習慣病の予防になるα(アルファ)-リノレン酸も多く含まれる。α-リノレン酸は人の体内で健康効果の高い油として知られるDHA(ドコサヘキサエン酸)に変わる。現代人はナタネ油や紅花油などに多いリノール酸の取り過ぎが指摘されているが、麻の実の油はリノール酸とα-リノレン酸の比率が3対1とバランスがよい。

毎日新聞 2006年8月30日 東京朝刊






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