祐美さん、控訴しました。控訴することについて、祐美さんには深い葛藤があったようです。これ以上家族に迷惑をかけられないという思い。司法への絶望感。
先に祐美さんの件について、カンナビストの掲示板に書き込んだものを編集して残しておきます。
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もし、祐美さんが荷物の中身を営利目的の大麻だと知っていて日本に持ち込み、それで逮捕されたなら、私も敢えて控訴したほうがいいとは思わないけど、祐美さんの場合は本当に全く何も知らずにナイジェリア人の男に騙されて運び屋をやらされてしまっただけなのです。
だから、判決は当然無罪であるべきだと思います。彼女が何も知らなかったことは、彼女との手紙のやりとりでも、懸命に支え続けているお姉さんの話でも歴然としています。未だに送られてくるナイジェリア人の男のメールからもそれは明白です。祐美さんを騙し、荷物を預けた本当の犯罪者である男自身が、「自分も中身を知らなかった」とか、ドラッグのことなど姉さんは書いてもいないのに、「どんな種類のドラッグが入っていたのか」などとメールに書いてきています。
祐美さんが荷物の中身を大麻だと知っていたことを示す物証は何一つありません。逆に、ナイジェリア人の男に騙されていたことを示す事実はたくさんあります。ただ、騙されていたことを示す証拠が、荷物の中身に関しての直接的なものではないため、法廷という場での証拠能力が弱いということのようです。
この事件は、裁判員制度によって審理されれば、普通の市民感覚からは無罪が導かれるだろうと思います。実際に導入される裁判員制度では、大麻の事案は対象外ですが、取り調べの様子をビデオで検証することができれば、裁判員は事件の事実と真実により強く迫ることができるだろうと思います。逆に言えば、当局がでっちあげた調書から事実と真実は見えないということです。
この国の供述調書など、取り調べる者の作文に過ぎず、容疑者が言ってもいないことを平気で書くのが警察権力のやり方です。私も全く同じ経験をしました。私は署名を拒否して書き直させましたが。
裁判の費用を工面したり、頻繁に面会に行って祐美さんを励まし続けてきた姉さんも、妹の無実の罪を晴らすため、控訴することを望んでいます。
祐美さん本人は、何も知らずに騙されていただけとはいえ、大量の大麻を国内に持ち込もうとしてしまったことは事実だし、これ以上家族に迷惑をかけられないからという理由で、控訴に迷いがあるようです。
11ヶ月になる独居房生活で、祐美さんは自分の落ち度と深く向き合っています。
でも、お姉さんをはじめ、ご家族は迷惑などという感情で事件を捉えているのではなく、大切な家族の無実を証明し、一日も早く家庭に取り戻したいという思いだけで頑張り続けています。
控訴できるのにせず、実刑が確定してしまったら、姉さんは一生そのことを負い目として引きずることになると感じているようです。だから、最後まで頑張りたいとご家族は思っています。
一審判決後、お姉さんたち家族は、連日面会に出向き、祐美さんに控訴するよう説得しています。祐美さんは、ただ泣くばかりだそうです。
このような冤罪を受け入れてしまっては、いつまでたっても日本から冤罪はなくなりません。事情が許し、本人にその気があるのであれば、控訴して無罪を勝ち取るよう務めるのが、こんな最低のクズ男に騙された祐美さんの、現時点での社会的責任でもあり、愛情深いご家族への償いでもあるだろうと私は考えています。
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一審は千葉地裁でしたが、控訴審は東京になります。祐美さん自身も千葉拘置所から東京小菅に身柄を移されるようです。
姉のさゆりさんは、控訴審に向け、東京での裁判に備えて新たな弁護士に弁護を依頼しました。今月末に弁護士が祐美さんと接見し、控訴審の方針などについて詰めることになるようです。公判はまだしばらく先になりそうですが、東京での裁判なので、さゆりさんとも相談のうえ、可能な方には傍聴を呼びかけたいと思っています。
さゆりさんは、控訴審をお願いする弁護士と電話で話したそうです。弁護士は、一審では何人くらい証人を立てたのかと尋ねたそうです。一審での証人は、検察側の税関職員二名でした。さゆりさんがそう答えると、弁護士は、被告側の証人を立てなかったことを意外に感じていたそうです。やはり、弁護士によっても公判の組み立てや戦略に違いがあるのでしょう。
祐美さんの件については引き続きレポートします。
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