2007年6月分 相談対応レポート

投稿日時 2007-07-03 | カテゴリ: 相談対応レポート

  • 新規相談数―12件
  • 6月以前から継続して対応している案件の数―6件

  • 【相談内容と対応】
    相談1:前科があり執行猶予中の友人が大麻所持(0.5g程度)で逮捕された。量刑はどのようになるか?

    対応:起訴されてしまうと、前回受けた懲役+今回の懲役分の実刑で服役となってしまう可能性が高い。前科の内容や今回の逮捕状況の詳細などが不明なので量刑の判断をしかねるが、状況を明らかにするため当番弁護士の連絡先や手配の仕方の説明と、私選の弁護士を選任する場合は出来るだけ早くつけることを勧める。

    相談2:先日主人が大麻で逮捕された。出てこられるのが8月半ばになりそうだが、小さな子供がいることもあり生活面で大変。このような場合の生活保護のような制度があると知人から聞いたが、アドバイスが欲しい。

    対応:拘禁が一年以上となる場合は、児童扶養手当の受給の対象となるようだが、住所地の福祉事務所または町村役場にそのような制度があるかどうか問い合わせする事を勧める。 また、弁護士についてと家族でも出来る保釈申請の仕方についてTHCサイト上のリンクを添えて説明。対応続行中。

    相談3:友人から大麻を送ってもらったのだが(4グラム未満)、親が包みを開け警察に届け出た。任意同行も受けたが所持は逮捕となるのか?

    対応:今回初犯であれば逮捕・起訴されても執行猶予判決が望める範囲であると思われることを伝えるが、状況が微妙なため今後の対処は弁護士に相談することを勧める。

    相談4:友人がガサに入られ逮捕(大麻樹脂、LSD。量や容疑の詳細は不明)
    弁護士を紹介とアドバイスをして欲しい。

    対応:詳細がわからないので今後の展望が付きにくい。情報を得るため当番弁護士についての説明と私選の弁護士の紹介をする。

    相談5:主人が自宅のガサで逮捕。大麻所持(少量)と栽培。数年前も職質で少量の所持が発覚し逮捕となったが不起訴処分。どうしたらよいのかアドバイスと弁護士を紹介して欲しい。

    対応:初犯で自己使用目的の所持や栽培での逮捕であれば、通例起訴されても執行猶予付きの判決になると予想できるが、前回の逮捕が今回の件にどのくらい響くか弁護士に接見してもらい、専門家の目から今後の展望を伺うことを勧める。
    また当番弁護士の手配の仕方と紹介できる私選の弁護士の連絡先を伝える。対応続行中

    相談6:友人が海外でマリファナを使用している。今度日本に帰国するが所持してなくても匂いで入国審査で逮捕されるのか?また逮捕されたらどうなるか?

    対応:所持していなければ逮捕されることはない。ただし、吸殻やカスでも所持が発覚すれば逮捕・拘留される可能性が高いので帰国の際にはどこかに紛れ込んでないか入念にチェックをとアドバイス。

    相談7:薬の過剰摂取で自殺未遂した際に大麻も吸引。入院中に家宅捜査をされ大麻1gが押収されたが、もらいもので普段は使用しておらず処分に困っていた。事情聴取の予定があるが今後どうなるのか。

    対応:初犯でわずかな量であることから考えて、もし逮捕・起訴されても通例執行猶予付きの判決が見込める。しかし、使用した状況と刑事の話を考えても、逮捕に踏み切るかどうか微妙。踏み切ったとしても不起訴または起訴猶予で裁判にまでいたらず、釈放となることも考えられる。
    また、逮捕となっても警察の裁量で拘留されず、通いで取調べを受けることが出来る場合もあることを伝える。

    相談8:複数の友人がネットで大麻を共同購入したが、売人が逮捕されリストから身元がばれて全員逮捕。現在裁判も終わり執行猶予付の判決となったが、売人の裁判に弁護側の証人として出廷するように依頼されている。売人が販売していた物が大麻ではないと判明すれば、判決が既に下っていたとしても友人は無罪となるのか。

    対応:判決内容に異議がある場合、14日以内なら控訴をすれば控訴審での審議が出来るが、もし2週間以上過ぎているのなら友人の件についてはすでに終了したという事となる。 相手の弁護士の連絡先がわかるのであれば、その弁護士に直接問い合わせるか、友人を担当した弁護士に連絡をとり、状況を説明しアドバイスを受けることを勧める。

    相談9:弟が大麻所持現行犯で(初犯 約3g)逮捕された。既に起訴されたが、反省しているなどの情状や軽微な罪であるので、本人の同意を得て即決裁判の適用となる。しかし裁判が簡易的な流れで、万が一妥当な刑にならないような事があると控訴が出来ないのではないかと思い、大麻に詳しい弁護士に相談したいので紹介して欲しい。

    対応:初犯で少量の所持での起訴の場合は、通例執行猶予判決を望むことが出来る上、即決裁判であるならなお確実であると考えられる。実刑となることはまず思えないが、相談を希望されるならと大麻に詳しい弁護士の連絡先を伝える。

    相談10:知人が、先に逮捕された友人の関連先として逮捕された。大麻事犯で良い弁護士を紹介して欲しい。

    対応:2件の私選弁護士の連絡先と当番弁護士の手配方法を伝えるが、メールに詳細が書かれていないので、売った側として逮捕されたのか買った側として逮捕されたのかが不明。売った側として営利の容疑があれば、初犯でも実刑となってしまう可能性がある。この場合は出来るだけ早めに弁護士に接見してもらい、取調べで不利な供述を取られないように本人がアドバイスを受ける必要がある。また、逮捕されたのは知人ということだが、知人の家族がこのことを知っているかも不明。このような場合本人や家族からの協力の要請がある場合は別として、当番弁護士が状況をつかんでいても教えてくれない可能性もあることを伝える。不明点の情報の連絡待ち。

    相談11:職質で大麻所持が発覚し現行犯逮捕。その後家宅捜査で自宅にあった大麻や吸引具を押収される。取調べで栽培していたことも自供し、所持と栽培の2件の容疑となる。 現在保釈中であり弁護士は国選だが、実刑とならないか不安なのでアドバイスが欲しい。

    対応:相談者本人の件で事件の詳細も記述されており、その内容から実刑判決となることは考えにくいことを、過去の栽培・所持での判例を引用し伝える。また、裁判の準備について若干アドバイス。

    相談12:職質され主人の大麻所持(2~3g?)が発覚。逮捕された。弁護士の紹介と今後の対応のアドバイスを。

    対応:今回初犯で少量の所持であることから、起訴されても執行猶予判決になる可能性は高い。当番弁護士はすでに接見しているとの事なので、私選と国選の違いとそれぞれのメリットデメリット、また保釈請求について説明。また海外に仕事で渡航する機会が多いとのことなので、執行猶予付きの判決であっても、猶予中は様々な制限が出てくる可能性があることを伝える。対応続行中。


    【6月分あとがき】
    2004年4月よりTHCの主宰が一人でこなしてきた相談対応を、去年の12月より手伝い始めたTHCのスタッフです。
    やり取りは主宰もすべて確認し、経験上のアドバイスや意見を聞きながら、相談者の方々にとって最も良いと思われる解決方法のアドバイスや、情報提供などをさせて頂いております。

    今年6月分から毎月、月ごとにTHCでは寄せられるご相談についてどのような対応をしているのか皆さんに知っていただくため、簡単にまとめ・公表することになりました。
    ただし、プライベートに関わることでありますし、現在拘留中・裁判待ちなど進行中の案件がほとんどですので詳細は伏せさせていただきます。
    事件が解決した後に、ご自分の体験を元にしたレポートを書いてくださった方々もおりますので、そちらもご参照ください。

    ◆ 逮捕された人たちの話

    今年4月の新規相談14件、5月12件、今月は12件でしたが、友人、家族など近親者が逮捕されとんでもない苦境に追い込まれている人たちが本当に後を絶ちません。
    たかが大麻の所持や栽培など誰に迷惑をかけた訳でも被害者がいるわけでもないことをしていたという事から、愛する人たちを突然の逮捕・長期の拘留・接見禁止という形で奪われること。
    それは言葉に出来ないほどの辛さでも、必死に元の平和を取り戻そうと努力・行動している方々とのやりとりは、自らも経験者として身につまされながら出来るだけダメージ少なく乗り切れるよう願うと共に、改めてこの法を改正しなければという思いで一杯になります。

    経済的な理由から私選の弁護士をつけることが出来ず、保釈申請もいつ決まるかわからない国選弁護士を待つより、、と、小さなお子さんたちを抱え仕事も持ちながらご主人を自力で釈放させようと努力されている奥さんたち。

    逮捕・拘留というショックから寝込みつつも、私がやらなければと這い上がりできることの最善を尽くされている近親者の方々。

    友人が逮捕され、何とか助けてあげたいと行動するも情報収集の限界や立場上動けることに限りが出てきて、多大な心配とジレンマを抱える人たち。

    「大麻は悪いものではない」と取調べで主張し、刑事にひどく怒鳴られるばかりか実刑をにおわされるなど、精神的に追い込まれてしまった人。

    家族や近親者が必死な思いで相談しても、まともな返答や連絡も出来ない弁護士たちが少なくないこと。

    大勢でどかどかと家宅捜査に入り、小さな子供がいようが構わず怒鳴り散らす刑事たち。

    現実は想像を絶するほど悲惨です。

    以上書きだした事は今月の事だけではありませんが、本来あってはならないことなのに、残念ながらこのような状況になってしまうことはよくあることなのです。

    また、裁判で執行猶予が付いたからといって、喜んでばかりもいられません。
    逮捕・拘留されたショックや屈辱的な状況に置かれたことによる精神的ダメージ、社会的ダメージ、失職、生活や家族への影響などなど余波は大きいものです。
    だからこそ、出来るだけダメージ少なく乗り切るため、冷静・前向きに一つ一つ出来ることから早めに取り組んでいくことの必要性を感じます。
    誰にもこのような事は言えない、どうしていいかわからず途方に暮れているという方々も気軽にご相談ください。
    一緒に考え状況を打破していきましょう。





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