1-4. 小括(8)

投稿日時 2007-10-07 | カテゴリ: ハームリダクション政策

麻薬問題に対するハームリダクション政策には、様々な政策目標とその実施形態が想定可能であり、その組み合わせと政策的効果は多岐に渡る。
また、その実施形態はそれぞれの国と地域が抱える麻薬問題の状況、法制度、文化、道徳的観念を考慮して決定されるべきであり、ある特定の地域、国家での成功事例が一概にすべての地域に適用可能かつ有効な政策であるとはいえない。
従って、現在、中毒や注射針を媒介としたHIV感染が深刻な社会問題となっている東南アジアを始めとして、今後、それぞれの国と地域で問題の状況に応じたハームリダクションの実施形態が個別に研究される必要がある。
日本を含めた地域、国別の代替政策研究は今後の筆者の課題でもあるが、このような一定の代替政策を模索する努力によってのみ、中毒症状や感染症に苦しむ人々を犯罪者化やスティグマ化する代わりに、彼らに何らかの実効性の伴う救済手段を提供することが可能となると筆者は考える。






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