3-2.中毒者への治療プログラム(16)

投稿日時 2007-10-28 | カテゴリ: ハームリダクション政策

現在全米で2,000万人と推定されている非合法麻薬の使用者のうち、ONDCPは約770万人が治療が必要な中毒者と推定しているが、そのうち治療を実際に受けているのは約140万人(約18%)にすぎない[23]。

しかしこの現状に対し、2004年度のDrug Strategyでは、「実際の問題は、膨大な数のアメリカ人が非合法麻薬に依存しており、彼らが治療を求めていないということである。このように中心的問題は、治療の順番待ちのリストではなく、治療の必要性を認識していない人々がこの必要性を認識することをこちら側が待っている状態にある」と述べ、治療を受ける中毒者数が少ない原因を治療プログラムが構造的に持つ敷居の高さにではなく、中毒者が自分達の置かれている危険性を認識していないからだと説明している[24]。

このような問題認識が変わらないかぎり、今後治療プログラムへの中毒者の低アクセス率が改善される見込みはほとんどないと思われる。

こうした敷居の高い(high-threshold)治療プログラムに対して、ハームリダクションではメタドン治療や注射針の交換を中心とした敷居の低い(low-threshold)プログラムの提供によって、中毒者が置かれている状況の段階的改善と本格的な治療プログラムへの準備段階としての初期プログラムの活用を目指す。
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[23] ONDCP (March 2004) op.cit., p.21
[24] Ibid., pp.20-21






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