取り調べという名の犯罪を録画せよ

投稿日時 2007-11-15 | カテゴリ: 白坂の雑記帳

キャンプなどが好きな人ならビクトリノックスを知っている人も多いと思う。アーミーナイフなどと呼ばれることもある小道具で、ナイフやワインオープナーやドライバーなど複数の道具が折りたたんで収納されている。何かと便利なので、私も外出するときはカバンに入れて持ち歩くことが多い。
2005年のことだが、このビクトリノックスを持っていて、職質で万世橋警察の警官に逮捕された人がいる。テロ対策などとは全く無縁の滅茶苦茶な言い掛かりだ。その顛末が下記にレポートされている。
秋葉原で警察に捕まりました-真概夢戯言

警察の取り調べがどれだけデタラメかは、「ハイ。こちら人権110番!」にも、窃盗犯にされてしまった人の話などが紹介されている。

『裁判員制度 世論の力で「冤罪」をなくそう』というサイトでも、全く身に覚えのないことで逮捕された本人が経緯をレポートしている。このサイトの「秘密の壁」さんは、「私も冤罪で罪を問われ、結局泣き寝入りしました。」「弁護士も法律も守ってはくれませんでした。」と自己紹介している。弁護士は国選だったらしい。

THCに寄せられる相談にも、「国選の仕事の報酬は1回呑みに行けば終わりなんだ」と言い放ち、マトモに相談にも対応せず、保釈請求もしてくれない弁護士について情報が寄せられている。

ヤクザ者に騙されて、何も知らずに大麻の入った茶箱を中国から持ち帰ってしまい、最高裁まで無実を主張したものの、実刑3年6月が確定してしまった高藤さんも、上告する際、冤罪事件で有名な弁護士に相談したところ、「私は高いよ。250万円。」とまず言われ、その弁護士に依頼するのは断念せざるをえなかった。

地獄の沙汰も金次第。無実であろうとなかろうと、私選の弁護士に依頼する金がなければ被告人にとって法廷は地獄だ。

だが、この現状を打開するための手がかりになるような報道があった。

録画から「任意性に疑い」と調書却下、大阪の殺人未遂公判(読売新聞)

大阪地検が取り調べの様子をDVDに録画し、殺人未遂罪で起訴した大阪市西成区、無職蓮井一馬被告(88)の第4回公判が14日、大阪地裁であった。

蓮井被告は捜査段階で自白調書を作成されたが、公判では殺意を否認しており、西田真基裁判長は前回の法廷で上映されたDVDの録画内容から「取調官による誘導や誤導があった。任意性に疑いがある」として、検察側による自白調書の証拠請求を却下した。

裁判員制度を控え、検察当局は裁判員の負担を軽減し、自白の任意性を判断しやすいよう取り調べの録音・録画を試行。公判でのDVDの証拠採用は全国で4例あるが、調書の却下につながったのは初めて。

起訴状によると、蓮井被告は5月、自宅アパートで、共同トイレの修理を巡って住人男性とトラブルになり、果物ナイフで胸などを刺して約3週間のけがを負わせた。公判では、自白調書の任意性を判断するため、検察、弁護側双方がDVDを証拠請求した。

DVDには、自白調書の内容を確認する様子を約35分間にわたって録画した。検察官から「殺そうと思ったのは間違いないね」と聞かれ、蓮井被告が「間違いないです」と認める一方で、「殺そうとは思わんけど」と殺意を否認したり、調書の内容について「わかったようなわからんような……」と言葉を濁したりする場面も収められている。

公判で取り調べの録画が証拠採用されたのはこれまで全国で4例だというが、たった4件だけなのに既にこうしてデタラメな取り調べが法廷で明らかになっている。

この事件の場合は冤罪でも無実でもないようだが、いったいどれほどの人がこれまで身の覚えのない罪で懲役刑を科されたことだろう。
この記事によると、今回の録画と録音は、「裁判員制度を控え、検察当局は裁判員の負担を軽減し、自白の任意性を判断しやすい」ように試行されたとのことだが、取り調べの可視化は、あってはならない冤罪を防止するために、国民が取り調べを監視するためにこそ採用されるべきだ。一日も早く、全ての取り調べの録画と録音を義務化してもらいたい。






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