反動の御用聞き・産経新聞の偏見大麻報道には今さら驚かないが、「嶽本野ばら、大麻事件を語る 読者の審判仰ぎたい」という記事の嶽本野ばらにはがっかりした。必要以上の全面降伏である。
嶽本野ばらは公判でも「バカなことをしたと反省している。何よりもファンを裏切ったことが自分で本当に許せない」と語ったそうだ。
「ファン裏切り自分でも許せない」声震わせる「乙女のカリスマ」
斉藤次郎さんが公判で「大麻には意識の拡張作用があり、心を豊かにする。自分や周りを深く知るために役立つ」と述べたのとは対照的だ。
亡くなった中島らもさんは「こんなことで逮捕されるほどバカバカしいことはない」と法廷で言って弁護士を冷や冷やさせたそうだ。
それに比べて、、、、以下、記事の引用。
公判では「大麻の効き目が残ったままで執筆したことは」と問われ、明確に否定していた。改めて聞くと、「大麻を使っては書けません。ぼんやりした状態で、幾何学的な物語を構築できない。試してみましたが、頭痛が激しくて無理です」。
頭痛が激しかったのはドイツで問題になっている鉛入りの大麻だったとか、単に不出来な大麻だったからではないのだろうか。
ただ、作家の体験が作品に落とし込まれるのだから、作品は大麻の影響下にあったという批判も成り立つ。「あえて否定はしませんが、一歩踏み込んでくれるなら、過去の作品も読んでほしい。大麻の影響ではなく、もともとぶっ飛んでいたと分かってもらえる」
「作品は大麻の影響下にあったという批判も成り立つ」と、大麻の影響下にあることをどうしても批判したい産経記者のメンタリティーはいつものことだが、「もともとぶっ飛んでいた」って、ホントだろうか。権威に弱く、権力に従順な腰抜けナルシストとしか思えないのだが。
酒井記者には「マリファナの科学」(築地書館)くらい読んでほしい。同書の引用。
19世紀中頃、フランスではパリのカルチェ・ラタンに住む作家や詩人、画家たちの間でハシーシュ体験が流行った。若いフランス人作家ピエール・ゴーティエもそのひとりで、ハシーシュに熱狂するあまりパリに有名なクラブ・ドゥ・アシシャン(ハシーシュ・クラブ)を作り、フランス文学界の面々にハシーシュ服用法を紹介したほどである。そのなかにはアレクサンドル・デュマやジェラール・ドゥ・ネルヴァル、ヴィクトル・ユーゴーもおり、彼らは揃ってハシーシュ体験を作品のなかで語っている。
(中略)
ゴーティエの仲間うちでもっとも影響力のある人物のひとりに、シャルル・ボードレールがいた。1860年にパリで出版された彼の作品「人工楽園」では、ハシーシュ経験がロマンティックで、想像力豊かな文体で綴られている。
酒井記者はデュマやユーゴーやボードレールも「作品は大麻の影響下にあった」と批判するのだろうか。
記事は次のように続いている。
9月2日午後、東京・新宿の歌舞伎町で、大麻樹脂と乾燥大麻を所持していたとして現行犯逮捕された嶽本。1カ月ほどの留置場生活で、「引退」を何度も考えたそうだ。「大麻やドラッグをやるのはダメな人間だと分かってもらうためには、引退しかない」と。
(中略)
公判で嶽本は、「作品を通じて薬物の害悪について語りかけたい」と語っていた。
おいおい、大麻をやるのはダメな人間なのか? 情けないことを言ってくれるモノ書きだ。で、薬物の害悪について語り出すのかよ。恥ずかしくないのか。大麻と他のドラッグを区別して、産経的偏見をなくそうと努力している立場からは迷惑な話だ。私は嶽本野ばらの読者ではないが、審判するなら、留置場で考えた通り、ぜひ引退してもらいたい。アウト。
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