日本の薬物行政の行く末(内閣府に電話で質問)

投稿日時 2008-01-08 | カテゴリ: 内閣府との対話

現在、日本の包括的な薬物乱用防止行政は、1997(平成9)年に内閣府に設置された「薬物乱用対策推進本部」が担っている。本部長は内閣総理大臣で、関係省庁の大臣が副本部長や本部員に名を連ね、日本としての総合的な薬物乱用対策を行っている。
同本部のウェブサイトには「基本指標」のページがあり、平成10(1998)年から平成18(2006)年までの薬物押収量推移などが掲載されていて興味深い。

薬物乱用対策推進本部は、平成15(2003)年から「薬物乱用防止新五か年戦略」を実施しており、今年7月にその期限を迎える。
これまでの取り組みの様子は、開催状況のページやフォローアップのページから伺える。
この「新五か年戦略」、昨年8月に「一部改正」とあるが、何が改正されたのだろう。「新五か年戦略」の期限は7月だが、総括や、その後の薬物乱用防止政策はどう考えられているのだろう。
3月にはウィーンで国連の麻薬委員会(United Nations Commission on Narcotic Drugs)が開かれ、1998年に始まった「麻薬乱用撲滅の10年」の総括が行われるという。
1998年の「国際薬物統制に関する国連特別総会」の内容は、ダメセンのサイトでも報告されている。
参照:(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター「国際薬物統制に関する国連特別総会」

日本政府は、ウイーンで開かれる麻薬委員会について、どのような対応を考えているのだろう。
薬物乱用対策推進本部のページに連絡先と電話番号が書いてあったので、7日、内閣府政策統括官(共生社会政策担当)に電話で聞いてみた。

昨年8月の「新五か年戦略」一部改正については、マネーロンダリングに関する扱いを、これまでの金融庁から警察庁に変えたという内容だとのこと。
「新五か年戦略」は7月に期限を迎えるが、そのまま継続的に行うかどうかなどについては、関連する省が現在検討中とのこと。
3月の国連麻薬委員会への対応については、把握しているご担当が不在とのことで、改めて問い合わせることにした。

日本政府は、昨年開かれた麻薬委員会の第50回会合で、アメリカと共にハームリダクションに強く反対したそうだ。「ヨーロッパ、ブラジル、中国、イランはハーム・リダクション政策を支持しているのに対して、米国、日本はハーム・リダクションの一般的な議論や特に注射針交換に強く反対した。」とグローバル・エイズ・アップデートは報告している。
参照:グローバル・エイズ・アップデート「日米がハーム・リダクションに強く反対:国連麻薬委員会第50回会合 」

この麻薬委員会第50回会合については、「我が国代表として、天野ウィーン代表部大使、吉村警察庁次長他」が出席したそうで、外務省のサイトでも簡単に報告されているが、ハームリダクション政策に反対したことについては触れられていない。
参照:外務省「第50会期国連麻薬委員会について」

日本の薬物政策の今後について、政府はどう考えているのか、国連の麻薬委員会ではどのような立場を取ろうとしているのか、継続して注目していきたい。






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