内閣府に設置された日本の薬物行政の司令塔、「薬物乱用対策推進本部」のサイトには、これまで実施した施策について、担当する省からの報告が掲載されている。 そのうち、「薬物乱用防止新五か年戦略 フォローアップ」には、厚生労働省からの報告として、「薬物乱用防止に関する正しい知識の普及」を行ったという表現が何度か出てくる。
しかし、厚労省と(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター(ダメセン)に対するこれまでの情報公開請求や問い合わせへの回答を見る限り、厚労省もダメセンも、大麻についての「正しい知識」など持っていない。「正しい知識」どころか、厚労省の担当者も、ダメセンの専務理事も、情報が古くて見直す必要があるとさえ答えている。
厚労省が持っている大麻の情報の全ては、先に文書が開示された通りで、A4で1300枚と枚数はあるが、科学的な研究結果といえるのは国連が1997年に発行した「Cannabis」だけだ。しかも、ダメセンの大麻情報にはその「Cannabis」さえ反映されていないと専務理事は回答している。
日本政府が薬物乱用対策の一環として、閣議決定して設置したダメセン。その大麻情報、「精神的影響」と「身体的影響」についての記述は、15年以上前のアメリカ製薬物標本の説明書を翻訳したものでしかない。今やその原本すら残っておらず、厚労省が持っているのはダメセンからファックスで得たコピーだけだ。医学的な根拠どころか出典すら示せない「偽」の情報だ。
厚生労働省が薬物乱用対策推進本部に報告した「正しい知識」の内容はどのようなものなのか。それが本当に「正しい情報」なのかどうか確認するため、内閣府に情報公開請求を行った。尚、ダメセン大麻情報がいかに誤っているかを内閣府に伝える意味で、医学的検証論文を添付した。
以下、総理大臣宛に8日付で郵送した情報公開請求の内容。
薬物乱用対策推進本部のウェブサイトに、「薬物乱用防止新五か年戦略 フォローアップ(平成19年8月3日付)」が掲載されています。その「目標1 (1)学校等における薬物乱用防止に関する指導の充実」に、厚生労働省の報告として、「薬物乱用防止キャラバンカーが専門の指導員(麻薬取締官OB)とともに学校等を巡回し、薬物乱用防止に関する正しい知識の普及を図った。」と書かれています。
厚生労働省の報告にある「薬物乱用防止に関する正しい知識」のうち、大麻について、「偽」ではなく、「真」に科学的に「正しい知識」であることを示す根拠文書の開示を求めます。
なお、参考までに、厚生労働省所管の(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターの大麻情報がいかに誤りだらけであるか、医学的に検証した論文を添付致します。
内閣府は、厚労省がこれまで開示しなかった、大麻についての「正しい知識」を持っているのかどうか、それとも厚労省は根拠も示せない誤りだらけの情報を「正しい知識」と強弁して報告しているだけなのか、明らかにしたい。
|