獄中からの年賀状

投稿日時 2008-01-11 | カテゴリ: ナタラジャ裁判

沖縄で服役しているナタから手紙が届きました。抜粋して紹介します。昨年初夏にこちらから送った手紙が届いていないような印象を受けましたが、年末に送った分は手元に届いたようです。返信を書き、談話室の書き込みなども印刷して同封するので、激励の書き込みなどお願いします。




明けましておめでとうございます。白坂さんはいつも何かとお忙しい日々を送っておられるとは思いますが、年末年始くらいはゆっくりできましたでしょうか。穂高の山中、温泉付きの家で新年を迎えることができるというのは、本当にうらやましいことですね。こちらも年末から急に冷え込み、寒くなってきました。こう寒くなると信州の温泉がとても恋しくなります。ここでの入浴は週に2・3回、時間は15分、その時間内で体を洗い、ヒゲを剃り、とやっていると、湯船につかる時間など2・3分ほどしかありません。出所したらゆっくり温泉につかりたいものですねえ。
(中略)
送っていただいた資料258枚は、ぎりぎり年末年始の連休に入る前に手にすることができました。いつもお忙しい中本当にありがとうございます。
(中略)
密輸の濡れ衣を着せられ、実刑判決を言い渡されてしまった3件の冤罪事件、被害を受けられた方々のことを思うと本当に腹が立ちます。この国の警察・司法は、このままでよいのでしょうか。呆れてものも言えません。裁判官たちは自分の出した「実刑の重さ」が本当に分かっているのでしょうか。人の人生を大きく左右する立場にいるのだから、責任を持ち、もっと慎重にやっていただきたいものです。祐美さんの事件、裁判レポートや趣意書、ご本人からの手紙など、一通り読ませていただきましたが、祐美さんが有罪とされ、実刑判決を受けなければならなかったのか、僕にはまったく理解できません。もっと真剣に、捜査、審理が行われていれば「無実」という真実に辿り着いたのではないでしょうか。それにしても、なによりも腹が立つのは、祐美さんをだまし、利用し、その上お姉さんまでだまし送金させたクソヤロー。こいつは絶対許せない。なんとかこいつを捕まえて、祐美さんの無実を証明したいものです。これから上告審ということですが、何とか少しでも良い方向に進むことを心から祈っています。
(中略)
シャバでも大麻取締法のように理不尽な法律などがありますが、やはり塀の中で生活しておりますと、ここの規則の多さ、そしてその矛盾点や基準の曖昧さ等々、理不尽で納得のできないことが多く感じられます。
(中略)
僕としては、自分が受刑者で、相手が刑務官だから、なんてことは関係なく、一人の人間として、できれば周囲に迷惑をかけたくないという気持ちでいるのですが、納得できないことをそのままにしたくはありませんし、今後、関係職員の方々にも、できるだけご迷惑をおかけしないためにも、いったい何が基準なのかということをはっきりさせるために「面接願い」を出し、職員と話をさせていただいたのですが、結局は僕が「面接願い」という手続きをしたから一応話を聞きにきたという雰囲気で、本気で真剣に対応していただけたわけでもなく、一度不許可と決定されたことはくつがえらないし、もちろん再検討もしない、基準もはっきりせず、曖昧なままです。
(中略)

ここで生活をしている受刑者の多くは、まあそれが本心かどうかは別として、表面上は自分の犯した罪を反省し、1日も早い社会復帰、仮釈放を目指して毎日を送っているのだと思いますが、そういった面で僕は他の受刑者と違いますので、これまでにも再審資料の件等々、様々なことで職員の方々にもご迷惑をかけてきたでしょう。ですので、職員の中には僕のことを「面倒なヤツ」だと思っておられる方もいると思います。でも僕は自分の信念に基づき、純粋に正義の気持ちから行動をしていますし、間違ったことをしていないという自信があります。今はこのようにその行動が認められないことも多いですが、近い将来、法が変わったときに、そんな自分の気持ちやこれまでの行動を理解していただけたら良いなと思っています。

昨年は、ただでさえ自由の少ない受刑生活に加え、本や発信の不許可や工場での作業のこと等々、思い通りにいかないことも多く、ストレスが溜まり精神的にもまいってしまい、ついついかやさんへの手紙にも弱音を書いてしまいましたが、そのことがきっかけとなり、白坂さん、かやさんをはじめ、多くの方が僕のことを気にかけ、応援して下さっているということを改めて知ることができました。本当にありがたいことです。白坂さんもお忙しいので少し時間差はありましたが、皆さんからの温かい励ましのお言葉、お気持ちは塀の中に届きました。年末年始の連休中に、皆さんからのメッセージを読ませていただき、自分は一人ではない、たくさんの方が僕のことを気にかけて下さっている、ということを目の当たりにでき、2008年は心機一転、気持ちよくスタートすることができました。皆さん、本当にありがとうございました。

野中さんとは以前お会いしたことがあったんですねえ。あの時のことは僕もよく覚えています。あの時はあんまりお話をすることができませんでしたが、出所後、再開できる日を楽しみにしております。また昨年はP・Kディックの本を送っていただきありがとうございました。拘置所にいたときに「パーマー・エルドリッチ」を読んでおり、別の作品も読みたいと思っておりましたので、とてもうれしかったです。

被害者さん、素晴らしい短歌を送ってくださりありがとうございました。今は辛いことや思い通りにならないことがあっても、それは自分自身を高めるために必要な修行期間なんだと思い、耐え忍び、満期出所後に、香り良い美しい花を咲かせる事ができるよう頑張ります。

和成さん、呼吸法実践してみました。「空気」を、そして「生きること」を感じましたよ。なんだかとても大切なことを思い出せた気分です。

フロッガーさん、メッセージ本当にとても勇気付けられました。今、自分は、受刑者ということで色々と制約の多い身であり、同じ志を持った皆さんと、同じように動くことはできないかもしれませんが、今、ここからでも何か自分にできることがあるのなら、何でもやる覚悟でおります。同じ目標を目指しがんばりましょう。僕も塀の中から皆さんを応援しています。

バングさん、ご無沙汰しております。桂川さんも僕のことを応援してくださっているということは本当になによりもうれしいことです。きっと多くの方もそう感じているでしょうが、僕にとって桂川さんという存在はとても大きく、本当に尊敬している「心の師」です。バングさんには近いうちに手紙を送ろうと思ってます。

そしてASSAさん、あなたの書き込みが一番嬉しく心に響きました。昨年は手紙もいただき、本当にありがとうございました。こちらからもすぐに返事を出しましたが届いておりますでしょうか。何もないのであればそれで良いのですが、その後、連絡がないので、少し心配しております。

逮捕から約3年が経ち、満期の日まで残すところあと2年3カ月となりました。出所し、皆さんにお会いしたとき、「5年の修行の成果があった」と思ってもらえるよう、これからも日々精進していきたいと思っています。本当に皆さんありがとうございました。
また、満期出所しても、その時もまだこの国に今のような形で大麻取締法が存在していれば、それは僕にとって「自由になる」ということではありません。「大麻取締法」という「塀」に囲まれているのですから・・・。

2008年が大麻を愛する全ての人にとって良い年となりますことを、そしてこの国が、真に平和で自由な社会に、少しでも近づける年となりますことを、心より祈っております。

1月7日
梵 nataraja






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