ちょっと前のことだが、麻薬委員会の件などについて、1月22日に外務省に電話取材した。対応されたのは昨年の第50会期にも出席された女性担当官だった。以下、録音からの書き起こしを抜粋。(「し」は白坂、「担」は担当官氏)
し「お忙しいところすいません。私、大麻取締法被害者センター代表の白坂と申しまして、大麻政策の見直しを求めて活動している者なんですけれども、3月に国連麻薬委員会がありますよね?それについての外務省の政策的な対応についてお話を伺いたくて電話をしたんですけれども」
担「今年の3月の麻薬委員会ですか?」
し「はい。昨年の第50会期の麻薬委員会で日本政府はアルゼンチンと共同で決議案を出して採択されてますよね?」
担「ええ、はい」
し「3月の麻薬委員会でも何か同じように日本政府として決議案などを提出する予定はあるでしょうか?」
担「今まさに検討を進めているところなんですけれども、現時点ではまだ決議案などを提出するという決定には至っておりません」
し「そうですか。昨年の50会期の麻薬委員会で日本とアメリカがハームリダクション政策に反対したというレポートを読んだんですけれども・・」
担「そういうレポートが出てるんですか?」
し「あ、それは外務省のレポートではなくてNGOのレポートですけれども」
担「へえ、そうなんですか。ちょっと私の方ではそのようなレポートを知らないんですけれども、どちらが作っているものですか」
し「HIV関係のNGOです。サイトで見たんですけれども、そのようなことはなかったです?」
担「えー、特に会期の中ではハームリダクションはテーマになっていなかったと思うんですけれども」
し「ああそうなんですか?じゃレポートが間違ってるのかな。日本政府がハームリダクションに反対しているということはないんですか?」
担「それはハームリダクションという概念自体を否定するということはないと思うんですけれども」
し「昨年はどなたが出席されたんでしょう?」
担「私が出席しましたが、ただ非常に大きな会議でして、会議もいくつか並行して行われておりまして、私が対応した範囲ではハームリダクションの話というのは出てこなかったんですね」
し「あと警察庁からも代表の方が参加されてますね?」
担「そうですね、各省から」
し「今年の3月の会議には外務省からと警察庁からも参加されるんですか?」
担「そうですね」
し「厚生労働省なんかも絡んでるんですか?」
担「そうですね]
し「じゃ厚労省からも担当の方が出席されるんでしょうか?」
担「そうですね、おそらくそういうことになるんだと思います。まだ出席のお返事とかはもらってないんですけれども、国内の関係省庁さんの方には出席の照会をかけさせて頂いております」
し「まだ出席される方ははっきりしていないですか?」
担「ええ、まだ回答は頂いていないです」
し「そうですか、そのとりまとめは外務省が行うということでよろしいわけですか?」
担「そうですね、はい」
し「ハームリダクションについては外務省ではなくて別の所が担当されているということでしょうか?」
担「まあハームリダクション担当省というのはないんですけれども(笑)」
し「昨年の麻薬委員会で日本政府がハームリダクションに反対しているというレポートを読んだものですから、どういう理由で反対しているのかと思いまして」
担「そうですね、ハームリダクションについては国際的にも賛否両論の立場がありますよね。ハームリダクションの政策を導入することによって、効果的な何らかの社会的な成果が得られると判断できる国についてはハームリダクションを実施すればいいですが、必ずしもハームリダクションというのは全世界的に実施する必要のある政策なのかということについては慎重な検討が必要ということが日本の立場ですけれども、基本的には日本はゼロトレランスの政策を良しとして、そのおかげで効果的な薬物政策が行われているというふうに認識しています」
し「私は大麻政策を見直してほしいという観点から活動してるんですが、覚せい剤の場合など、使用だけで逮捕されてしまうので、中毒者が逮捕を恐れて病院に行けず、治療を受けられずに、意識が錯乱しちゃった人が刃物を振り回して凶悪な犯罪が起きてしまうことなどもありますよね?」
担「はい」
し「そのような場合にまず逮捕ありきではなくて、まず治療を受けることができる政策であれば凶悪な犯罪を未然に防ぐことができると思うんですけれども」
担「そのような点については国内では外務省というより、法務省なり警察庁さんなりが所管している事項になると思いますので、そのお考えについて特段外務省の方からコメントすることはできないんですけれども」
し「そうですか。それでは3月の麻薬委員会にどなたが出席されるかというのはいつ頃分かるでしょう?」
担「えーと、ちょっとまだわからないですね」
し「外務省が窓口になっていることは間違いないのですね?」
担「ええ、国連側への登録などは外務省を通じて行っております」
し「それと、これも外務省管轄ではないかと思いますが、海外などでは大麻が産業的に利用されていますよね?」
担「ああ、そうですか、まあ産業目的ということであれば条約の対象外ですので、産業目的ということであれば問題はないのかと思いますが」
し「いや、ところが日本の場合は厚労省が薬物として意味のない大麻まで栽培の許可を出さないので麻の産業が育たないんですよね。GHQに大麻取締法を押し付けられたまま、そのまんまなので」
担「はあ・・・」
し「ヨーロッパなんかでも自動車の部材に大麻が利用されていたり、建材に利用されていたりするんですけれども、日本の場合はもう全く薬物として意味のない大麻まで突然変異するかもしれないといった理由で取り締まり一方なんですよね。そういったことについて外務省としてはどうお考えですか?」
担「まあ、それは、、、わが国の薬物政策にとって必要な政策であると判断するのであれば、特段それは条約に違反する行為ではありませんし・・・」
し「条約に違反する行為ではないかもしれませんけど、大麻を産業的に活性化させるという、大麻産業の点からは大きなマイナスだと思いません?」
担「大麻産業の活性化ですか?まあ、ちょっと、それはあのー、よく分からない、それはちょっと、特にあのー(笑)、特にお答えすることができないんですけれども(笑)」
し「(笑)まあ外務省に聞くことじゃないんですけどね、私も分かってて聞いてるんですけど。厚生労働省を何とかしもらえませんか、外務省の方で」
担「いやー、ハハハハ」
し「厚生労働省は完全に腐ってますよ」
担「ああそうですか(笑)」
し「そうですよ、腐ってますよ」
担「いやー、あはははは」
し「ハイ確かに腐ってますとは答えられないでしょうけど(笑)。・・・ではまた麻薬委員会への出席者の確認とか、私達の要望書の提出などについてご連絡させて頂きますので、うっとうしいナーとお感じかもしれませんけど、よろしくお願いいたします」
担「はい」
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