奥さんの手記(4)裁判

投稿日時 2005-10-30 | カテゴリ: NCさん(デンマーク人)

4. 裁判

 9月22日 夫の初公判が行われた。

 この日は、夫と私の間にアクリル強化ガラスは無かったが、まだまだ距離は遠い。

 弁護士が、本人質問をさせて欲しいと裁判官にお願いしたところ、OKとのこと。

 密輸の件を認め、反省している事もアピールできた。保釈に期待。

 この日は、大使館職員の方も来て下さった。公判が終わり、私と大使館職員の方が、裁判所の外で話していたとき、夫を乗せた車が私達の前を通った。夫が車の中から手を振っているのが見え、警察官が車の窓を開けてくれた。意外と元気そうで安心した。


 弁護士さんが保釈請求をして下さったが、却下された。

 理由は、「常習として長期3年以上の懲役又は禁固に当たる罪を犯したものである。」と「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある。」であった。

 1つ目の理由はともかくとして、2つ目は「相当な理由」って何?と聞きたかった。

 パソコンはまだ警察に押収されているし、パソコンは返して欲しいけど、夫が帰ってこられるならパソコンなんて要らない。


 10月4日 大麻取締法、関税法違反(大麻約6.07gの密輸)で追起訴された。翌日早速面会に行った。

 今回こそ保釈されるだろうと思い、お祝い用にヘンプビールを注文した。

 弁護士さんも「保釈の可能性は大いにある。」と言っていたので。しかし、今回も却下された。理由は前回と同じ。夫に期待させてしまった事を後悔した。


 10月15日 警察がやっとパソコンを返してくれた。ハードディスクは取り外されたままだったが。

 10月19日付の夫からの手紙に、9月22日から希望を持つふりをしてきたが、本当に疲れた。同じ房の人もうるさくてプライバシーが欲しいと書かれていた。かなり参っているようだ。

 この時、夫は拘置所に移りたいと願っていたようだ。拘置所に行けば、独房に入る事が出来て、プライバシーが持てると思っていたらしい。私は、本やインターネットで拘置所の事を調べて、留置場よりも厳しい事を知っていたので、弁護士さんに、全てが終わるまで留置場に居られる様にして欲しいと、お願いしていたほどだ。勿論、弁護士さんには「そんな事、こちらが選べるわけが無い。」と笑われたが…


 10月27日 第2回目の公判が行われた。今回は、夫の雇用主と私も証言する事になっている。傍聴席には、課外授業の中学生が5,6人、夫の密輸入の件を担当した税関の方々4人。その他、2,3人が居た。

 公判は、密輸入の件に関しての審理、それから、私、夫の雇用主の順で証人質問があった。

 弁護士からの質問で、「夫が再び過ちを犯さない為に、あなたは今後どのように指導していくつもりですか?具体的に?」との問いには、困った。弁護士は何を言わせたかったのか? 私は、「具体的では無いかも知れませんが、私を愛しているのなら、もう2度と同じ過ちを犯さないでと、お願いします。」と答えた。

 検察官からの質問で、「今後、夫が大麻を吸っている所を見つけたら、どうしますか?」との問いに、「警察に通報します。」と答えた。実際はそうしないと思うが。

 夫の雇用主(T社長)は、夫に有利な証言(勤務態度は、至ってまじめ。 職場の人間関係良好。 再雇用する。)をして下さった。

 検察官から夫への質問で、「日本では、大麻はいけない事だと分かっていても、体が欲したのではないのですか?」との問いに、夫は、「体が欲したとは思わないし、大麻中毒でもない。法を犯したのは、自分の弱さからです。」と答えた。

 検察官の求刑は、1年6ヶ月。弁護士は、執行猶予を求めた。

 判事から、「被告人は、何か言いたいことはありますか?」との問いに、夫は、結構長いスピーチをした。

 その中で、特に印象に残った言葉は、

 「以前、大麻は自由の象徴でした。しかし、日本では大麻は自由を奪うものだと知りました。」

 というもの。

 夫は、本当に心から反省していると感じた。

 今日、結審されるものと期待していたが、判決公判は、11月5日(金)午前9時40分。

 今日、弁護士は保釈申請を行ったそう。

 明日か明後日には、結果が分かるのではないかとの事。

 その日の午後、面会に行ってきた。

 私が面会の部屋に入ると、夫は、立会いの警察官と一緒になって、

 腰を落とし、拳銃を構えている格好をしていた。立会いの警察官まで一緒になってやっていたので、少しビックリしたが、元気だったので安心した。

 11月5日という、具体的な「終わり」が見えてきた。






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