裁判員制度の憂鬱
投稿日時 2008-05-15 | カテゴリ: 白坂の雑記帳
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裁判員に「心のケア」24時間の電話相談
2008/05/12 06:36【共同通信】
来年5月の裁判員制度導入に向け、最高裁は、殺人事件などの審理で精神的ショックを受けた裁判員を対象に、24時間態勢の無料電話相談窓口や心理カウンセラーによる面談を受けられる「心のケア・プログラム」を設ける方針を決めた。
裁判員裁判の対象事件は殺人や強盗致傷などの重大事件。審理の中で、遺体の解剖写真や凶器、残酷な犯行場面の再現などを見たり、被害者や遺族の話を聞いたりして、心的外傷後ストレス障害(PTSD)になる可能性が指摘されている。
裁判員制度に対する最近の意識調査でも、参加に消極的な人の多くが理由として「心理的な不安」を挙げており、最高裁は不安を解消してもらうため、陪審制のあるオーストラリアや米国の複数の州でも採用されている類似の制度を参考に、プログラムを考案した。
共同通信:http://www.47news.jp/CN/200805/CN2008051201000025.html
来年5月から始まる裁判員制度では、7割の裁判が3日以内で終わるので、裁判員が長期間に亘って拘束されることはないと最高裁は説明している。だが、裁判員制度が適用になるのは引用記事の通り、殺人などの凄惨な事件だ。場合によっては、今日知った事件について、明後日には死刑の判断を下さなければならないことになる。それまで事件や裁判などと無関係に生活してきた国民に、そのような判断が下せるだろうか。精神的な拷問にすら思える。あまりにも無理があるのではないだろうか。
冤罪が必然的に起きる現状なので、司法改革は必要だと思うが、なぜ裁判員制度なのだろう。そのような議論や説明が置き去りにされたまま、形式的に国民参加を導入し、国際社会から繰り返し指摘される日本の司法制度への批判をかわそうとしているように感じられる。
日本の司法の最大の欠陥は、最高裁長官が内閣の指名によって決まる点にあると私は思う。戦後、例外的な一時期を除いては、政権交代もなく、自民党の長期政権が続いてきた。首相を始め大臣の顔ぶれが変わっても、同じ穴の狢。そのようななかで実質的に行政を牛耳る官僚が腐敗し、裁判所は政権与党の顔色を窺うような判決を多発する。このような三権分立の不徹底が本質的な問題なのではないだろうか。最高裁長官も日銀総裁のように国会の同意を要する人事システムにすれば、時の政権におもねる司法判断ばかりが出される状態を回避できるように思うのだが。
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