治安は悪くなっていないらしい

投稿日時 2008-06-10 | カテゴリ: 白坂の雑記帳

気が塞ぐような殺人事件の報道が連日のようにあるので、日本も治安が悪くなったものだと思い込んでいたが、事実は逆らしい。

もろもろ含めた他殺で実際に殺されてしまった人の数は厚生労働省の「人口動態統計」の死因統計で判ります。
それによると、映画「三丁目の夕日」の舞台となった昭和33年に他殺で死んだ数は1,993人で、2006年は580人にまで減ってしまいました。人口は3割ほど増えてるというのに。2007年はまだ11月までしか発表がないのですが、2006年の1~11月と比べると一割以上も減ってますから、500人近くまで減少しているのではないでしょうか。

少年犯罪データベースドア/殺された人の数

統計によると少年犯罪についても同様らしい。下記のページにグラフがある。
少年犯罪データベース 少年による殺人統計

つまり、治安は良くなっている。それなのに「体感治安」が悪化している印象があるのはなぜだろう。
殺人事件などが起きると、自分の生活圏での出来事でもない限り、私たちは主にマスコミを通じて事件を知ることになる。そのような事件報道、特に被害者や被疑者のプライベートな情報は視聴率が取れるらしい。だから、マスコミとしては簡単に数字を出せるネタとして、関係者の身辺情報をこれでもかというほどに暴き、時にはまだ容疑者でもない段階から特定個人を犯人に見立て、取材と称してカメラやマイクを突き付ける。そのような安直な事件報道が席捲し、あたかも殺人事件が増えているかのような心象を視聴者に刷り込む。
事件報道は警察や検察がリークし、マスコミがそれを垂れ流し、かくて「体感治安」は悪化して、だから警察にもっと予算を付けましょう、厳罰化しましょうという世論が形成される。
ほくそえんでいるのは誰だろう。






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