スピキュレーション カンナビノイドとサイトカイン

投稿日時 2008-09-27 | カテゴリ: フロッガー医師の検証

カンナビノイドが免疫細胞に作用するということはよく知られている。
免疫細胞上にはカンナビノイド受容体が存在するが、その作用についてはまだ分かっていないことが多い。今までの研究ではカンナビノイドは免疫を抑える方向に作用するらしい。

免疫というのは細菌・ウイルス・癌といった、体にとって有害なものを排除する機構である。とても複雑なシステムで、多くの細胞がネットワークを作っている。(脳神経系に匹敵するだろう。このネットワークが意識されずに自律していることに驚きを感じる。)免疫細胞同士はサイトカインと呼ばれる物質で情報をやり取りしている。サイトカインには免疫を強化するものから押さえるものまで多くの種類があり、内因性カンナビノイドもサイトカイン的であると言えるだろう。

免疫反応は、体を外敵から守るために重要な機能であるが、それが自分の身を傷つけることがある。免疫が自分の体を攻撃してしまう病気は、自己免疫性疾患といい、膠原病などが代表的である。膠原病に対しては、近年サイトカインに対する抗体療法が開発され、臨床応用が進んできている。

カンナビノイドには、免疫を抑える作用、抗炎症作用がある。実験室レベルではあるが、カンナビノイドシステムが炎症や炎症にかかわるサイトカインを低下させるという報告がある。カンナビノイドが過剰な免疫を抑える可能性がある。

●Augmentation of endogenous cannabinoid tone modulates lipopolysaccharide-induced alterations in circulating cytokine levels in rats.

●Cannabinoid-based drugs as anti-inflammatory therapeutics.

一方、癌の終末期の話に移るが、癌の末期に、悪液質とよばれる低栄養・衰弱状態となる。この悪液質は、代謝の変化、癌による栄養消費、食事摂取不良など、様々な要因で起こるとされる。サイトカインもこの病態にかかわっているとされ、特に炎症性サイトカインが関連が言われている。 炎症性サイトカインを低下させることで、末期癌患者の食欲低下や疲労感を改善できる可能性があると私は考えている。カンナビノイドによる薬剤が癌末期患者のサイトカインレベルを低下させないか?また悪液質に対する治療効果について研究してみたいものだ。
追記:カンナビノイドと免疫システムの関わりはとても面白いテーマである。よさそうなreviewがあったので、もう少し勉強してみる。



※編集部注:本稿の初出は「Dr.フロッガーのブログ」です。





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