マスコミに冷静な抗議と説明を

投稿日時 2008-11-09 | カテゴリ: 白坂の雑記帳

大麻の栽培や所持で逮捕される事件報道が連日のようにマスコミから流されている。
大学生にも大麻は広く出回っているようで、実名報道されるケースも多い。だが、大麻で逮捕された大学生たちが、何か他人に危害を加えたり、暴力行為に及んだという話は全くない。それにも拘らず、実名報道されることで社会的にバッシングされ、学籍を失うことになり、人生を破壊されてしまう。9月に逮捕され、既に起訴されていた同志社大学4年の女子学生についての報道もあったが、伝えられるところによると、大学当局は事件について把握していないとコメントを出したようだ。
私たちに寄せられる相談でも、現場の刑事たちは大麻など逮捕するほどの犯罪ではないことを知っている者が多く、大学や勤務先などには連絡しないと言って、逮捕された者を安心させる例もよく聞く。
同志社大4年の女子学生も、おそらく当初は警察が大学当局に連絡することもなかったのだろう。大学は、当該学生は休学していると言っていたようだ。しかし、実名報道されたことで、おそらく退学処分となり、就職が決まっていたのだとしたらそれも取り消されることになるのだろう。
大麻が問題を生むのではなく、大麻取締法が人生を破壊している。法律を守らない者が悪いのだという反論もよく聞くが、その法律に問題があるのである。悪法も法なのだから、守らなければ厳罰で当然だとするなら、治安維持法もらい予防法も変えないほうが良かっただろうか?

マスコミは、大麻は悪だという思い込みを疑うことなく、取り締まりや罰則の強化を、取り締まり当局の発表のままに喧伝している。まるで大本営発表そのままである。恐ろしいことだ。大手新聞各紙も社説で大麻取締法を取り上げ、横並びに規制と罰則の強化を主張している。

●朝日11/4:若者と大麻―興味本位の代償の大きさ
●毎日11/1:大麻汚染 不正、腐敗の風潮が助長する
●読売11/3:慶大生大麻事件 憂慮される汚染の広がり
●産経11/2:大学生大麻汚染 安易な姿勢厳しく戒めよ

各社に共通して言えるのは、現在の薬物乱用防止政策に対する検証が全くないことだ。現在の大麻を巡る社会状況は、政府による政策が全く失敗に終わっていることを端的に示している。ジャーナリズムに必要なのは、政策についての検証であるはずだが、アメリカ追従の非寛容政策で良いのか、ハームリダクションの観点を考慮する必要はないのか、といった分析は、各社の社説から完全に欠落している。各社の社説とも、単に大麻を悪と前提し、お説教を垂れているに過ぎないのである。

これまで何度も指摘してきたことだが、このままでは、ジャーナリズムによる検証もないまま、大麻に使用罪が適用される事態になりかねない。明らかに取り締まり当局はその流れを作ろうとしている。大麻を擁護する者たちは、思考停止のマスコミに抗議し、記事の誤りを具体的に指摘するなど、意思と意見を伝える必要がある。

昨日、朝日、読売、毎日の各社に電話をし、各社説の誤りや事実誤認、アメリカ大統領選挙と同時に行われた大麻関連法案の住民投票の内容とその結果EU諸国など海外の動向についても説明した。また、各社説には薬物政策の検証という視点が全くなく、説教にしかなっていない点なども指摘した。マスコミにケンカを売りたいわけではないので、根拠を示して丁寧に説得すれば、聞く耳を持っている記者もいる。ある記者は、私の説明に対し、「大麻は怖い麻薬というイメージしか持っていなかったが、根拠と説得力のあるご指摘に感謝します。読者欄に投稿してはどうですか?」と言ってくれる人もいた。

今のマスコミ報道はおかしい。そう思う者たちが、自らの意見や異義を実際の行動として発していく必要がある。私たちに、「陰ながら応援しています」というメールやメッセージなどが寄せられることも多いが、いつまでも陰ながら応援している人たちばかりでは、何も変わらない。むしろ事態は悪化する可能性に直面している現在なのである。一人一人の声、意思、意見が、今ほど求められている時はない。

※新聞社に抗議した電話の録音をサポーター専用サイトにアップしたので参考にしてほしい。
毎日:12分06秒 mainichi081108.wma 2.83MB
朝日:22分15秒 asahi081108.wma 5.20MB
読売:13分10秒 yomiuri081108.wma 3.08MB





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