JanJanに投稿した記事に、「クローズアップ現代」で大麻の危険性について中毒者の証言があったというコメントが付いた。
以下、そのコメントに返答したのでここにもアップしておきます。
私はその回の「クローズアップ現代」を観ていないので、内容については分かりませんが、一般論として「大麻がなかなか止められない」というケースはあるだろうと思います。酒やタバコと同じように。ですが、大麻にはアルコールやタバコほど害がないことは、薬学的な事実です。
大麻についての報道を見ていると、その害について、あからさまな誇張や、捏造があります。
私が観た番組では、夜回り先生として知られる水谷修氏が、大麻を一度でも使うと脳にダメージがあると言っていましたが、これはおそらく30年ほど前に、リス猿に大量の大麻を吸わせた実験を根拠に言っているのだと思います。が、その後、ハーバード大学医学部やニューヨーク大学などの研究で、大麻が脳に損傷を与えるという説は否定されています。
大麻を一度でも使うと脳の損傷を招くといった、医学的根拠のない恫喝は、若者に誤ったメッセージを送ることにしかならないでしょう。大麻が平気なのだから、ホントは覚せい剤も大丈夫だろうというように。
薬物乱用防止政策で最も大切なことは、各薬物についての正しい知識と認識を教育することであるはずですが、これが全く我が国では機能していません。他の多くの社会問題同様、天下り利権の膨張が優先されているのが現実なのです。
(大麻の安全性を強調する弊害が大きいという指摘について)
記事にも引用した「マリファナの科学」で、アイヴァーセン博士は次のように述べています。
『どんな基準に照らし合わせても、THCは急性効果、長期的効果の両面で、きわめて安全な薬剤だと考えなくてはならない』
『大麻の活性成分であるTHCの安全性は高い。短期的に見ても長期的に見ても毒性はきわめて低い。』
英国では、科学者たちの検証を受けて、大麻がアルコールやタバコほど害がないことを議会で確認したうえ、非犯罪化しているのです。
若者たちに大麻の危険性を誇張・捏造して伝え、少量の所持で逮捕勾留し、本名や顔写真を晒して報道し、裁判にかけて前科者とすることのほうが、彼らにとっても、社会にとっても、極めて弊害が大きいと私は思います。
(オランダでも大麻は合法化されているわけではないという指摘について)
大麻を完全に合法化できないのは、麻薬単一条約の足枷があるからです。国連麻薬委員会は、米国の政治的意思を色濃く反映しているそうです。我田引水ではありますが、ある麻薬政策研究者は、次のように指摘しています。
『国際社会における麻薬政策の変化が直面する障壁として麻薬統制レジームの研究者が懸念しているのは、麻薬問題に対して国内で高い政策的順位を置いてきたアメリカの政治的圧力です。イギリス人研究者のDavid Bewly-Taylorは、この事情を次のように説明しています。
「国連レベルでの何らかの変化について考えるとき、アメリカがグローバルな麻薬禁止政策を守るために覇権的力を行使してきたという事実を各国が無視することは明らかに賢い選択とはいえない」。
この政治的圧力によって国連レベルでの麻薬政策は科学的というよりは、至って政治的なものになっていると考えられています。』
●Taku博士の薬物政策論/検証ダメゼッタイ「大麻について」(1)
以下、このコメントを書くに際して参照したサイトを挙げておきます。
★カナビス・スタディハウス
●英科学技術委員会:ドラッグ新分類を提言
カナビスはアルコールやタバコよりも害が少ない
●カナビスは脳に障害を与えない(PDF)
★池田信夫氏のブログ
●大麻とタバコのどっちが有害か
●大麻は合法化して規制すべきだ
●大麻で逮捕するならタバコを禁止せよ
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