「マリファナの科学」の初版は2003年5月。その年の7月に大麻取締法違反で逮捕された私は、同法の違憲性を裁判で主張するための資料として、この本を大阪拘置所の独房で読んだ。大麻取締法違憲論を最高裁まで主張し続けるために、桂川直文氏と共に敢えて私は逮捕されるような行動を取り、近畿厚生局麻薬取締部に捕まった。桂川さんは未だ獄中にあり、期待された年内の保釈は適わないという。
「マリファナの科学」を、私は弁護士にも読んでもらい、裁判では大麻取締法は生存権さえも侵害しているという主張を展開したが、大阪地裁、高裁、最高裁に至るまで、その主張を否定する論拠を全く示さないどころか、まるでそのような主張はなかったかの如く、一言も触れずに、司法は黙殺で応じた。大麻取締法が生存権を侵害しているという主張について、司法は何らかの判断は示さざるを得ないと期待したほうが甘かったのだろうか。だとすれば、何のための裁判所であり、何のための違憲立法審査権だろう。義務教育で習う三権分立などウソであり、国民はそうやって騙されているのだと、私は身をもって知った。
「本書を読もうとする方へ」と題されたソロモン・H・スナイダー博士による文章には、「著者であるアイヴァーセン博士は大麻問題で英国上院委員会顧問を務め、これをきっかけに文献の総括的検討に着手することとなり、それが今回の本となって結実した」と書かれている。英国では、科学者たちの検討によって大麻規制の区分が緩和され、2004年から個人使用目的の大麻を少量所持していても逮捕されない施策が採られている。
我が日本では、ネズミに大量のTHCを投与して共食いさせ、それ見ろ大麻は凶暴性を引き起こすと主張する「科学者」はいるが、薬学的・医学的観点から冷静に大麻問題を論じようという科学者は、私の知る限り1人しかいない。その1人とは、我がTHCスタッフのフロッガー氏である。
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