Q:「大麻がアルコールやタバコより安全」というのはウソではありませんか?2006年7月30日にイギリス下院科学技術特別委員会が報告した薬物のリスク比較では、LSDやエクスタシーがアルコールやタバコより安全とされいて信用できません。これは普通に嗜む程度ではなく、アルコール依存症のケースを含めているのではないでしょうか?
A:この表は、イギリス政府のドラッグ乱用問題諮問委員会(ACMD)の委員長を務めているデビッド・ナット教授が筆頭執筆者となって、イギリス・ロンドン医学研究審議会、イギリス・オックスフォード大学生理・解剖・遺伝学部のコリン・ブレイクモア教授、イギリス・ロンドン法医学局のレスリー・キング、イギリス・ロンドン警察ファウンデーションのウイリアム・ソールズベリーらとともに、多数の専門家から意見をあつめてまとめて、最も権威ある科学雑誌の一つであるランセットに掲載された論文から引用したものであり、論文の翻訳はカナビス・スタディハウスの『カナビスと他のドラッグとのリスク比較、害を評価するための論理スケールの開発』を読むことができます。
この論文においては、可能な限り恣意性を排除して評価を行うことを目指していますから、「普通にたしなむ程度でなく、アルコール依存症等の極端なケースを条件として害を評価しているのかな」 ということはありえません。
それは評価スケールが、0=害なし、1=多少害あり、2=害あり、3=大きな害あり、の4ポイント・スケールで点数をつけることからも分かります。つまり、乱用の可能性のあるドラッグで、ほとんど害のない使い方から、相当深刻な使い方まで全体を考慮してポイントしているということです。
それは、評価にあたって、「タバコとアルコールは合法で簡単に入手できるために害の様相も多様で、他のドラッグとは直接スコアを比較できないという事情も考慮」していることからも明らかです。また、アルコールとの併用で害が相乗的に高くなるドラッグもある、という指摘もありますから、「たしなむ」を区別していません。
もし、そのような線引きをしているのであれば、論文にそのことは明記してあるはずですし、隠していたとすればそれこそ論文の信頼性は全くなくなります。おそらく査読も通らないでしょう。またそのような線引きをしようとしても、タバコの場合は、どこまでがたしなみでどこからが乱用になるのか誰がどうやって決めるのでしょう。
アルコールのスコア表を見ると急性、慢性等スコア2以上の項目が散見されるのは、急性でも慢性でも死亡原因になることを反映しています。それは、タバコの急性スコアが低いことや、スコアが2以上のドラッグはどれも急性で死亡する可能性があることからも明らかです。
2008年9月に発表された『グローバル・カナビス委員会報告』では、『大麻の喫煙にはさまざまな健康被害を引き起こす・・・(だが)ヘビーな大麻ユーザーの害の可能性と大きさは、アルコール、タバコ、アンフェタミン、コカイン、ヘロインなど合法または違法の多くの精神活性物質の場合に比較すれば、穏やかで問題は少ない』と表現しています。
大麻を吸い過ぎて死亡することは急性でも慢性でもありません。
●グローバル・カナビス委員会報告 カナビス政策の手詰まりを越えて 結論と勧告
また、純度の高いLSDやエクスタシーでは死亡することはありませんし、使うと急激に耐性が形成されるので、毎日連用しても効果が得られませんから、使用頻度も高くなりません。また、非常に微量で効きますので身体的な害もほとんどありません。精神的な問題を抱えている人には悪影響が出ることもありますが、普通の人ではセットとセッティングを整えればあまり深刻な問題も起こりません。ですが、効果については好き嫌いがはっきり出やすいという特徴もありますので、向き不向きがあります。
LSDやエクスタシーで最も問題なのは、覚醒剤などの異物が混入されていることが普通になっていることです。また、化学合成の技術が未熟で成分がきちんと生成されていない場合も少なくありません。こうした問題があるために、オランダやスイスでは、匿名で持ち込まれたストリート・ドラッグを検査してくれるサービスもあります。
●Jellinek Testservice
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