『奇跡の薬草』 について


この本は、コーヒーショップの メディウイード運動 から生まれた。発行元は、ハーレムにあるノル・ファン・シャイクのウイリー・ウォーテルのグローバル・ヘンプ・ミュージアムで、2001年の夏に発行された。

当時は、オランダでもまだ医療カナビスは正式の医療行為として認められていなかったが、コーヒーショップができてから30年近くも経っており、一部の医者や患者たちのあいだでは医療目的でカナビスを利用していた。

オランダで最初の公認コーヒーショップ・メロー・イエローを開き、最初のシードバンクの設立に参加し、最初にシンセミラ栽培をもたらし、最初のグローショップ・ポジトロニクスを立ち上げたポット・ファーザーことワーナード・ブリューニングは、さらに1995年頃よりメディウイード運動にも取り組み始めた。彼はカナビスが病気で苦しむ人たちの役に立っているのを知り、どのような病気にどのように対処したらよいのか直接体験を聞き取りを始めた。

病状もさることながら、保険もきかず、収入の少ない病人にとってはカナビスの入手にともなう経済的な負担が非常に大きな壁になっていることを知らされた。そこで、医師の処方箋のある人には半額でカナビスを提供することにしてコーヒーショップにも協力を求めた。コーヒーショップ側には全く利益にならない上に、メディウイード患者に資料を提供したり、吸い方を指導したり、メンバー管理までせねばばらず簡単なことではなかった。

そんな時、近くに引っ越してきた患者の一人からメディウイードのことを教えられたウイリー・ウォーテルのノルは、すぐさまメディウイード運動に加わることを決意してワーナードのところを訪れた。彼の愛するカナビスが病に苦しむ人の役に立つという啓示が彼をつき動かしたのだった。

しかしながら、その頃はまだ医療カナビスについては医学的な情報も乏しく、オランダ政府ですら科学的な根拠がないことを理由に医者が処方箋を書くことを禁止していたほどだった。何よりも情報が求められていた。それに応えるために、グローバル・ヘンプ・ミュージアムでは患者たちから手記を集めて一冊の本を作った。それを編集したのがヘンドリック・ギールスだった。

この本は単なる医療的な体験談にとどまらない。癌に苦しむパートナーとカナビスで共に癒されたヘンドリックの体験と確信。さらに、苦しむ患者たちと共にあろうとするワーナードやノルのような人たち。カナビスへの感謝を共有し、人間が支えあって生きることの美しさをこの本は伝えている。

当初の事情から原本はオランダ語で書かれていたが、2004年になってやっと英語の訳本が発行された。