薬局ウイードは高くて効かず

ハーレム日報
モニカ・バーカーク
2004年2月21日


2003年9月から、医療ウイードが薬局でも扱えるようになったが、高くて効きが悪い。患者利益団体(PMM)やコーヒーショップ・オーナーたちやメディウイード・ユーザーたちは口を揃えてこのように指摘している。薬局のウイードはコーヒーショップよりも3倍値段が高いだけではなく、わずかな例外を除けば保健会社の保健も適用外になっている。合法化以来、医療カナビス・ユーザーで薬局に行った人は全体の4%以下でしかない。

PMM代表のゲール・デ・ズワンによれば、薬局ウイードはコーヒーショップのメディウイードを使ったときよりも効果が少ないという結果がでている。彼の顧客(患者)たちは何度か薬局ウイードを試してみたが、結局、彼の所に戻ってくるという。ハーレムのウイリー・ウォーテル・コーヒーショップのオーナー、ノル・ファン・シャイクやホフドロップのスーパーフライのエド・ランズマンも同じことを言っている。

しかしながら、医療カナビス局(BCM)の広報官バス・クイクは、薬局ウイードは研究所で効力テストを受けており、医薬品のヨーロッパ基準を上回っているので、カナビスの品質は良いはずだと言っている。 コーヒーショップでメディウイードを購入している患者たちは、グラムあたり2〜3ユーロの卸値で買うことができる。これに対して薬局の場合は9〜10ユーロ払わなければならない。ズワンは、この差は余りにも大きすぎるので、患者たちはコーヒーショップに戻ってきている、と言っている。

一方、クイクによれば、まだ昨年の9月から利用できるようになったばかりでわずかな人たちしか薬局に来ていない、と言う。「新しい商品なのです。医者たちはまだ処方箋を書くのに慣れていないのです。」 ハーレム薬局組合長のハンス・ムルダーも患者数は増加しないだろうと考えており、保健会社の措置を非難している。 「大半の人は保健が下りなければ薬局へは来ませんので患者は増えません。」


患者たちはメディウイードについて薬局よりもよく知っている

「薬局ウイードは非常に高価でしたが、夫の筋力を柔らかくするのに役立ちませんでした。その上、薬剤師さんはこの新しい医薬品について何も知りませんでした。」 ハーレム在住のコリー・ホーストラは、もう夫のメディウイードは薬局では買わない、と語った。

レックス・ホーストラは多発性硬化症で苦しみ、3年前からメディウイードを使っている。ウイードは彼の筋肉をほぐし、けいれんの発作を和らげてくれる。また、食欲も刺激する。 「彼はとても具合が悪いので食欲もなくなっていました。」 とコリーは言う 「それにレックスはトイレに行くのも問題でした。でもメディウイードは彼の膀胱の緊張を和らげ、小便も楽にできるようにしてくれます。」

毎朝、地区の介護士が来てレックスのシャワーと着替えを手伝ってくれる。それが終わると、彼はウイードを混ぜたタバコを吸う。レックスはいつもコーヒーショップのメディウイードを吸っているが、昨年の9月に薬局からウイードが買えるようになって薬局ウイードを試してみようと思った。ウイードが合法になり、彼の保健も適用されることになった。薬局では、効力の強いものと余り効力のないものの2種類を求めた。しかし、どちらの効力もレックスの役には立たなかった。さらに悪いことにウイードは古い布のような味だった。

コリーは、とりわけ、薬局がほとんど情報を持っていないことに憤慨している。  「ウイードの製品には何の記述もないのに、薬局からはどのように使ったらよいのかも一切何の説明もありません。薬剤師さんも何も知らないのです。」  実際にメディウイードを使うには喫煙する方法ばかりではなく、お茶に混ぜたり、蒸気にして吸引する方法などもある。コリーがコーヒーショップを訪れたときに広範囲な情報を得たれたのとは大きな違いだった。

ハーレムに住むテネケ・マントーバンも薬局に注文したときにはメディウイードの使用法に関しては何の説明もなかった。 「何年もコーヒーショップのメディウイードを使っていましたから、知りたいことは何もありませんでしたけど。」 テネケも多発性硬化症患者だが、ガンにもかかっている。彼女は良く眠るためにウイードを使っている。ウイードはまたけいれんや痛みを和らげてくれる。だが 「日中は使いません。ボーとし過ぎてしまうのです。」

テネケのメディウイードの場合は保健が下りるので薬局を続けている。テネケは歩行が困難でそのために出かけることはできないので、メディウイードは自宅まで配達してもらっている。テネケも薬局ウイードの品質がコーヒーショップより悪いと思っている。 「コーヒーショップのウイードのほうが効力が強いです。今のウイードでは同じ効果を得るのに量を増やさなければなりません。」

ホフドロップのコーヒーショップ、スーパーフライのオーナーであるエド・ランズマンは、店でメディウイードを買っていく患者を数十人抱えている。患者たちは薬局ウイードには満足していない、という。 「みんなは、値段が高すぎるし、コーヒーショップのメディウイードよりも効力が弱いと思っています。一度は薬局に行って試してみるのですが、また店に戻ってきています。」 彼のところの場合、昨年の9月以降でも患者数に変わりはない。

ハーレムのウイリー・ウォーテル・コーヒーショップのオーナー、ノル・ファン・シャイクのところでも同じで、一人の患者も減っていない。2003年9月以前は約80人の患者が彼の店でメディウイードを購入していた。彼はすべての患者が薬局ウイードに変わってくれることを期待していたが、むしろ患者数は増えただけだと言う。 「合法化が新しい患者にメディウイードの購入を刺激しましたが、患者たちは薬局でまともに扱ってもらえず私のところに来たのです。」

ファン・シャイクは今まで何年にもわたりメディウイード合法化を主張してきた。最初は、ウイードが合法的な医薬品になった事実をとても喜んでいた。 「目標としていたゴールにたどり着いたと思いました。しかし合法化は適切には扱われなかったのです。」 ファン・シャイクは薬剤師のは十分な情報が提供されなかったことに落胆している。 「たいていの薬剤師はメディウイードについて注文する側の人たちよりも知識がありません。さらに薬局は病人たちに法外な値段を要求していることは非道だと思います。」

ファン・シャイク自身はメディウイードを卸値で提供している(*)。ハーレムには15軒の薬局があるが、メディウイードの顧客は10人程しかいない。薬剤師のマリーケ・クローセは患者たちから多くのことを学んでいる。 「みんな経験豊かなユーザーなのです。どのように使えばいいのか教えてくれました。ウイードの効果について詳しくはなりましたが、それだけなのです。」

医療カナビス局のバス・クイクは、情報は十分に行われたと報告している。  「薬剤師にも医師にも幅広く情報を渡しています。あらゆるパンフレットを送っていますし、医薬取引の雑誌にもたくさんの記事があります。薬剤師がそれを十分読んだかどうかということです。」  クイクは、ウイード製品には何も記述していないが、摂取方法の違いについては薬局でパンフレットを見つけることができるはずだ、と言う。

クイクはメディウイードの将来については悲観していない。いずれ医師たちはメディウイードをもっと処方するようになり、薬局も多くの患者を引きつけるようになる、と考えている。 ファン・シャイクは薬局ウイードの品質は改善され、患者にもっと良質の情報が与えられることを望んでいる。 「それまで患者さんたちにメディウイードを提供し続けるだけです。」

*残念ながら卸値で提供しているコーヒーショップは非常に少ない。1996年以降、ハーレムではウイリー・ウォーテルのみがメディウイードのサプライヤーになっている。メディウイードはワーナード・ブリューニングのメディウイード計画が契機になって始まった。



この記事に対するいくつかの注釈と批判と疑問
ノル・ファン・シャイク

●レックス・ホーストラは、薬局の保健対応のウイードが彼には効かず、洗濯物みたいな感じがするといって、ウイリー・ウォーテルのメディウイードの方を買ってくれている。これは私の店の評判にとっては好ましいことなのだが、アレックスのように自分で薬価を負担しなければならない低所得の障害者たちにとっては悲しむべきことになっている。悲しいばかりか、オランダの国の保健規範にも従っておらず悪いい状況になっている。

オランダでは、患者や障害者はそれぞれの個人が必要に応じて最良の医薬品をつかう権利が認められている。同じように良質な医薬品が多数利用できる場合、国の保健負担の節約に迫られているので、政府は経済的な理由から最も安価なブランドの医薬品を推奨している。 レックスの例は保健行政の好例になっていると思う。彼は、唯一の代替え品である薬局ウイードよりも安いので、少なくとも同じ程度には良質かあるいは多少良くなかったとしても、自分にとっては最良のブランドの医薬品を使っている。

メディウイードが合法化されて常用の医薬品になるに従って、この小さく進歩主義的な国では、薬を使う人々から自由に医薬品を選択する自由が奪われてしまうのではないか、という危惧もある。だか、政府や保健会社は、患者がコーヒーショップからメディウイードを購入する際、薬局ウイードの保健金額の3分の1を補助することを認めるだけでも利益を得ることが出来るだろう。患者にとっては効く限り、薬局であってもなくてもどこから入手するかは問題ではない。

たぶん、コリーやレックス・ホーストラは、低所得者に対して州が認定して金額を負担するように働きかけてくれる良い弁護士を探すべきだろう。彼らはテスト・ケースになりうる。もしウイリー・ウォーテルが発行したメディウイードの書類で保健が下りることが保証されれば、私たちは必要な領収書を書く用意がある。

●クイク氏は、合法的に生産された薬局ウイードが医薬品のヨーロッパ基準を上回っていると述べている。 ヨーロッパ基準? カナビスやメディウイードの医薬品質にヨーロッパ基準があるなど本当なのだろうか? 興味は尽きない。

ヨーロッパ連合の他の国ではカナビスの医療使用を認めていないのに、オランダと一緒になって基準を設けたのだろうか? その基準とは何なのだろうか? 他のヨーロッパ諸国の患者たちは、基準に合致すればメディウイードを使う権利をもっているのだろうか?他の国にはオランダの様に認可を受けた製薬会社が医療用マリファナを製造することができるようになっているのだろうか?

クイク氏はまた、新しい医薬品なので医者がメディウイードの処方箋を書くのに慣れる必要があると述べている。 しかしこれは全く正しくない。私たちのところの110人の患者(2003年9月以降30人増)は全員が医者の処方箋をもらってきている。これは患者には通常の顧客の半額の卸し価格で提供しているので、システムを悪用されないようにするために処方箋を要求しているからだ。 処方箋を書くことをいやがる医者にかかっている一部の患者に対してさえ、セカンド・オピニオンを求めるように、われわれが持っている処方箋のなかからメディウイードを処方してくれた医者の電話番号を教えている。

新しい医薬品?クイク氏には新しいのかもしれないが、カナビスの医療目的の使用は有史以来に遡ることができる。しかも明らかに、1996年に「メディウイード計画」によって始まったコーヒーショップによる配布でメディウイードを使ってきた多くの患者にとっては新しくとも何ともない。 クイク氏は利用可能な薬局ウイードの品質も使い方の情報も十分で、情報が行き渡らないのは薬剤師のせいだと非難している。

無知なクイク氏よ、薬局ウイードも、この「新しい」製品についての情報もすこしの十分ではありません。これを認めないことは事態の展開を良くしません。上司のウイリアム・ショルーテン氏に、たった一粒の種さえあれば誰にでも育てられるような植物を独占しようとたくらむ狡猾な薬剤師や薬局ウイードの生産者たちとではなく、患者たちと話し合うように進言してください。

●ウイリー・ウォーテルでは患者たちにカナビスをそのままの形で提供しているだけではなく、喫煙できない患者に対してはチョコレート・バーでも利用できるようにしている。それは0.6グラムのアイソレータ・ハシシを含み、食べ易いように、ひとかけらが0.1グラムのカナビス成分入りになっている。 われわれはこのバーをニュー・ユニカム養護ホームの患者さんに提供している。ケア・コーディネーターのコビー・モブロンが話してくれたところでは、スッタフと患者双方にとって大変大きな改善になっている。彼女は係わっている養護ホームのすべてにこのチョコレート・バーを薦めている。ニュー・ユニカムは毎月、このチョコレート・バーと強さの違う2種類のプリロール・ジョイント90本を銀行支払で購入してくれている。

われわれはまた、2000年に患者と一緒に「カナビス、医薬品としての実際」という本を出版している。この本には、メディウイードの医学的性質について知らない他の患者たちを支援するために、カナビスの医療使用の実経験が書かれており、メディウイードを使った食べ物のレシビやメディウイードの飲み物、メディウイード・ソースなどカナビスを摂取するためのあらゆる方法が載っている。おそらく薬剤師たちもこの本を売り始めたいのではないか。多くの仕事を節約してくれるし、患者にとってもメリットがある。

ハーレムやその近郊のメディウイード患者たちのお世話をするという、ウイリー・ウォーテルの人間にとっては何も変わっていない。われわれは他人の不幸をお金にすることは望まず、半額で提供し、それぞれの人に選んでもらったウイードやハシシを出す前に、どのようにして使用量を決めたらいいのかというメディウイードの最良の摂取法を伝え続けるだけだ。われわれはただ自分たちにもできることなので、オランダ当局や保健機関ややり残した仕事をやり続けているのだ。

ゴールがあるとすれば、それは、高品質のメディウイードが全額補助で誰にでも利用可能になり、他の医薬品と同様に様々な種類の中から選択ができるようになり、さらにオランダの薬局でもメディウイードがビジネスになるという手応えからか既に販売が始まっているバポライザーの無料配布が行われるようになった時だろう。


http://www.hempcity.net/cannabisshops/news/news01032004/index.html