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オランダ患者、薬局よりコーヒーショップ

Source: Mail & Guardian Online, South Africa
Pub Date: February 7, 2005
Subj: Dutch patients prefer cannabis cafes to pharmacies
Author: Stephanie van den Berg - The Hague

医療カナビスが合法化されているオランダでは、政府の進めていた薬局での医療カナビス販売プログラムが在庫を抱え資金難に陥っている。患者たちは薬局よりも認可を受けたコーヒーショップのカナビスのほうが好ましいと考えているようだ。

オランダ政府は、すでにカナビスが非犯罪化され何百件ものコーヒーショップでカナビスを売っているにもかかわらず、2001年9月にこの医療カナビスのプログラムを開始した。カナビスには、化学療法や放射線療法を受けた患者の吐き気や嘔吐を抑える働きや、緑内障患者の眼圧軽減、エイズやHIVに苦しむ人たちの食欲改善を促す効果がある、という調査報告が提出されたからだった。

当初、患者たちがコーヒーショップのようなところではなく、薬局の効力と品質が保証された処方薬のほうを選ぶと見込んだが、その目論見は外れた。 この画期的なプログラム開始から1年半経った昨年の12月、オランダ健康相ハンス・フーガフォーストは、このプログラムで2004年にはおよそ40万ユーロの損失が発生するとの推計を明らかにした。

試算では1万から1万5千人の患者が医療目的でカナビスを利用するはずだったが、実際にこのプログラムに参加したのは千から千五百人に過ぎなかった。年間200から400キロだった販売目標が、今後は70キロに縮小された。政府はプログラム自体の失敗を認めていないが、再評価して夏以降どのように対処するか決定すると表明している。

「医師たちは、わたしたちの調査にもとずいて推計したほど処方箋を発行しなかったようです」と政府の医療カナビス局スポークスパーソン、バス・クイク氏は述べている。 政府は、これまで医療カナビス認定業者2社のひとつだったジェームス・バートン氏との今年の取引きを停止したが、これはプログラムを抑制するのが目的なのは明らかだ。

「最大の問題は価格なのです。医療カナビスは1グラムおよそ9ユーロですが、普通のコーヒーショップでは4.5から5ユーロで買うことができます」とバートンは語っている。「この価格ではマーケットからはじき出されてしまいます」。 彼自身が緑内障患者で眼圧を抑えるためにカナビスを使っているので、そのあたりの事情は十分承知している。

アメリカ人の彼は、1991年にオランダに移住する前、カナビス栽培の罪で2年間服役していたこともある。「移住したのは、ソフト・ドラッグに対するオランダのリベラルな政策が天国のように思えたからです。」 1970年代以降、オランダではカナビスの使用が非犯罪化され、認定されたコーヒーショップで販売が許された。販売は一人に対して一回5グラムまでに制限され、カナビスの栽培については禁止されている。

医療カナビスの価格に関連して問題なのは、オランダの国民健康サービスが医療カナビスに対する補償を行っていないことと、払い戻しに応じる保険会社がほとんどないことも一因になっている。バートンのような緑内障の処方には1ヶ月90グラムが必要で、政府の価格では800ユーロを越えてしまうが、これではほとんどの患者が負担しきれない。

医療カナビス局のクイク氏は、医療カナビスで収益を上げるつもりはないと強調しながら、価格は税金や研究、消毒、包装、配送などの必要経費から割出したと説明している。さらに、医療カナビス自体が十分に知られていない可能性もあるとも指摘している。

「医療カナビスは、喫煙ではなく、蒸気にして吸ったりお茶にして飲んだりすることを前提にしています。これには、煙で吸いたいと思っていた人はがっかりしたと思いますが、健康省とすれば喫煙を奨励するわけにもいきません。」とも述べている。