From Hempire Cafe

ヘンプ産業,麻薬局に勝利

Source:The NewStandard
16 Feb, 05
Subj: U.S. Hemp Industry Wins Battle with DEA
Author: Ron Chepesiuk
Web: http://www.thehempire.com/pm/comments/P3306_0_1_0/


アメリカのヘンプ産業が3年越しで連邦麻薬局(DEA)と争ってきた裁判が2月始めに終結し、サンフランシスコ連邦裁判所は、最終的に政府側がドクター・ボルナー・マジック・ソープ社に法定費用として21265ドルを支払うように命令を下した。カリフォルニアに本拠を置くこの会社は1998年以来、石鹸の生産にマリファナの原料にもなる植物から採れるヘンプ・オイルを使ってきた。また、連邦麻薬局はヘンプ原料を含む食品の販売を禁止しようとしていたが、それを阻止するために闘っているヘンプ産業連合組合(HIA)に多大な財政支援も行ってきた。

この判決は1年前に同裁判所が出した評決に基づいている。それによると、連邦麻薬局にはヘンプ製品を規制する権限はなく、ヘンプ製品に対して掲げる麻薬局の立場は決して正当化できないというヘンプ産業側の主張を支持するものだった。判決にある法定費用の一部弁済は、裁判機会均等法にもとずくもので、政府の立場が「十分に正当化」できないと判断されたときに政府に対抗する裁判当事者を報いるために設けられている。

「快勝です。DEAには屈辱だったでしょうが。」 ドクター・ボルナー・マジック・ソープ社の社長デビット・ボルナーは本誌とのインタビューでこのように語り 「ヘンプを禁じようとするDEAの試みはいずれも法的な後ろだてのないことが証明されました。」

アメリカのヘンプ産業を擁護する団体ボート・ヘンプ(Vote Hemp)会長のエリック・スティーンストラは 「裁判所はDEAの権限を越えていると判決を下し、この決定で食品成分としてのヘンプに法的な地位が明確になった」と述べている。

2004年の第9回巡回裁判所では、DEAが議会による規制薬物法(CSA)の例外措置を無視した、と判決が下されている。例外措置は特にヘンプの繊維やオイルなどを政府規制の対象外とするもので、マリファナの活性成分THCをわずかながら含むヘンプ・シードについてHIAと合意したものだ。これは若干のアヘンを含んでいるケシの種のケースと似ている。

「これまで裁判で法の解釈からDEAを阻止しようとしてできた人はいませんでした」とボート・ヘンプの広報室長アダム・エイディンガーは言う「裁判の決定は3対0でした。レーガンに指名された人でさえ裁判でわれわれに同意したのです。DEAに対する本格的なチェックが入ったわけです。」

DEAの対ヘンプ・ドラッグ戦争は2001年に開始された。ヘンプにはTHCが含まれているのだからヘンプ製品も規制する権限があるとして、規制薬物法のもとでヘンプ製品を管轄する宣言したが、2002年には広い層から抗議運動が沸き起こり、連邦議会でも25人の議員が、ほんのわずかでもTHCを含む食用のヘンプ・シードやオイルまで禁止しようとする法解釈は「行き過ぎだ」とした書簡をDEAに送っている。

ヘンプ・ビジネスの利害関係を代表し、ヘンプ製品の新規開発や研究を担う業界団体として、HIAはこれまでも果敢に反撃してきた。「DEAヘンプ・フード賞味テスト」と呼ばれるキャンペーンを2001年の9月とDEAの規制が発効した2002年4月の2回にわたって展開し、DEAの事務所のある全米65都市でマーガリンやエネルギーバーやビスケットなどのヘンプ食品を無料で配布したりしてきた。

「全国にあるDEAの事務所の所在地を何とかリストにしました。」とブロナーは打ち明ける「場所は機密扱いで事務所もとても秘密裡に運営されていましたから簡単なことではありませんでした。インターネットを調べ、国中の活動家には電話をして無料のヘンプ・フードを配ってくれるように頼みました。さらにメディアにわれわれがやっていることを記事にしてくれるように要請しました。ヘンプ製品が合法であると訴え続けてきましたが、もしDEAがわれわれを逮捕したかったらそうしてほしかった。プレスの注目を集められますからね。」

しかしながら、規制薬物法に対するDEAの独断的な解釈は、2002年の3月に初めて連邦裁判所で糾弾され、DEAの規制活動には一時的な停止命令が出ていたが、それが今回の第9回巡回裁判所で恒久的に差し止められた。

だが、DEAとの闘いはヘンプ産業に多大な負担を強いた。法廷闘争には時間と労力を費さねばならず、ボルーナーによればHIAはおよそ20万ドルを裁判費用に要した。「裁判に勝ったからといって何の見返りもありません。店の多くは違法ドラッグを販売していると誤解されるのを嫌って棚からヘンプ製品を撤去し始めていましたし、業界の会社の多くもビジネスとしてやっていけるのかという現実問題に直面していました。」

「裁判で3年も浪費していまいました。」 とHIAの姉妹組織でもあるカルフォルニアのアルビオンの理事ヨハナ・シュルツは加えた。「本当なら、自分たちの産業が成長できたはずの時間だったのです。」

裁判では禁止する理由としてDEAは、ヘンプ食品の使用がドラッグ・テストで誤ってポジティブな結果を出すことがあるからだと主張した。ヘンプ活動家たちによれば、ヘンプ産業の各社はカナダやヨーロッパ諸国のヘンプ・ビジネズで採用されているのと同様で妥当性のあるTHCリミットを自主的に遵守しており、そうした自主規制は職場でのドラッグ・テストに支障をきたすようなことはなく、消費者を広く安全に守っている。

また、活動家たちは、北アメリカのヘンプ・ナッツやオイルの工場ではドラッグ・テスト保証プログラムにも参加していると指摘している。工場の保証は、ヘンプ・ナッツやオイルを例え毎日多量に食べてもドラッグ・テストには極めて引っかかりにくいTHCレベルに設定されている。

ヘンプ・シード・オイルを使ったケア製品についてアイディンガーは「最近ではヘンプ・オイルを肌に塗っていて会社のドラッグ・テストに引っかかる人はほんの一握りで、そうした嫌疑も決まって誤りであることが証明されています。ヘンプ・オイルのケア製品に関しては問題になった人は今までいません。」

加えて、ヘンプ産業はプロテインやビタミンや必須脂肪酸などをたくさん含むこの植物の栄養的な価値を高らかに主張している。

2004年7月2日には、第9回巡回裁判に対する控訴審でも再審査を求めるDEAの訴えを却下している。DEAは最高裁に不服審査を求めることもできたが、2004年9月28日の提出期限までには出されず、スティーンストラは「もう後戻りはありません。今では裁判所の決定が国の法になったのです。これでDEAがヘンプを禁止しようとして新しい戦略をとることも難しくなりました。」

現在、ヘンプ産業は頭上を覆っていたDEAの暗雲が晴れて明るい将来に沸いている。「今は、ヘンプについて消費者の理解を促す拡大プログラムに勢力を注いで、国のヘンプ産業製品の合法化にむけて作業を進めています」とシュルツは述べている。

HIAが発表したプレス・リリースによると「最近ではヘンプ市場は世界的に復活してきて商業的に著しい成功を収めるようになった。そんな中で不幸なことに、アメリカではDEAのドラッグ戦争のパラノイヤでヘンプ産業の薬効のないカナビスとマリファナのような薬効のあるカナビスが混同され、主要工業国では唯一産業用ヘンプを栽培を禁じている国になってしまった。」

HIAでは状況を変えるために上下両院の農業委員会に対してロビー活動も行っている。現在、ロン・ポール下院議員(R-Texas)とともに産業用ヘンプ法の草案を作成中で、今国会にも法案を提出することを目指している。「われわれはアメリカの農民がDEAのいやがらせなしに産業用ヘンプを栽培できるようにしたいのです」とエイディンガーは語っている。

ドクター・ボルナー・マジック・ソープ社では、裁判で賠償された資金をこの合法化のために使う予定で、残りはカナダの産業用ヘンプの研究に資金提供することにしている。「ヘンプ製品の立ち上げには多くの大手も興味を示していますが、DEAの規制のために尻込みしていました。」とボルナーは明かす「裁判所の決定でヘンプ市場がようやく開放されたのです。」