サティベックス、遂にカナダで認可

世界初のカナビス調合薬

Source: GW Pharmaceuticals
Pub date: 19 April 2005
Subj: GW Announces Regulatory Approval of Sativex in Canada
Web: http://production.investis.com/gwp/pressreleases/currentpress/2005-04-19/


カナダ・トロント発(2005年4月19日)。カナダ保険省はサティベックス SativexR (Cannabis sativa L. extract)を成人の多発性硬化症(MS)に伴う神経因性疼痛の症状緩和補助新薬として認可した。カナダは、カナビス植物の成分から誘導した新薬を治療用処方医薬品として初めて認めた国になった。サティベックスは口からスプレーで投与する。

サティベックスは条件付承認(Notice of Compliance with conditions,NOC/c)で認可されたが、これはカナダ保険省が将来有望な薬として承認するもので、さらなる研究によって臨床成果を得ることが求められる。条件付承認は、対象となる処方に有望性の根拠がしっかり示され、品質が高く、利害アセスメントに基づき十分に安全であると判断された製品にはじめて与えられる。

「多発性硬化症のような病気の場合は、痛みに対する効果的なコントロールと管理が極めて重要です。」「カナダでのサティベックスの認可は、多発性硬化症の神経因性の痛みに対応する治療オプションが早急に必要なことを反映したものです。」 とトロント・シナイ病院のペインクリニック所長の神経専門医アラン・ゴードン博士は述べている。


神経因性疼痛

痛みは、多発性硬化症の患者の86%に起こる共通する症状(1)で、神経因性の痛みは何もしないでも発生し、ちょっとした接触や温度感覚や動きによっても引き起こされる。また、患者の50%は慢性的な痛みを抱えていると推計されている(2,3,4)。神経因性疼痛で最も共通する症状は、凍えて寒く、あるいは焼け付くような感覚が手足、特に足の先端を襲う(5)。現在までの治療法では多数の患者に十分な対処ができない(6,7)。

「この痛みは経験したことのない人に言葉で説明することは困難です。常時、電気を入れられているような感じです。」5年間この痛みに苦しみながら生きてきたスティーブ・ウォルシュさんはこう話している。「しばしば、服を着るときや何かが触ったときなどに痛みが走り、我慢できなくなったりします。」


データに裏付けられた効果

サティベックスは多発性硬化症の神経因性疼痛に完璧に効くというわけではないが、偽薬(プラセボ)を使った二重盲検法の調査では、サティベックスを使ったグループで際立った痛みの緩和効果が認められ、また、痛みが原因の睡眠障害にも著しい効果を示した。


主要成分

サティベックスは、イギリスのGW製薬が先駆けて研究開発した製品で、バイエル・ヘルスケアの医薬品部門はカナダでのマーケティングを坦当している。多発性硬化症の神経因性疼痛の補助薬としてはカナダで最初に導入される製品になる。

主要成分は、カナビノイドのΔ9-テトラ・ヒドロ・カナビノール(THC)とカナビジオール(CBD)で、含有量はサティベックス・スプレー1本当たりTHCが2.7mg、CBDが2.5mgで、一回の投与で決められた量が確実にスプレーされるようになっている。

「サティベックスが認可されたことはカナダのMSコミュニティにとっては朗報です。多発性硬化症の神経因性疼痛のなかで生活している人たちには、痛みに対処する新しいオプションが必要です。多発性硬化症の神経性の痛みと折り合いをつけて生活の質をとても向上させることができますから、サティベックスはMS患者の多くから歓迎されると思います。」とカナダMSソサイエティ医学顧問ウイリアム・マローリー博士はコメントしている。


サティベックスはどのように使うか

サイベックスは患者自身がスプレーのポンプを押して舌の裏側や口の上側に吹きかけて使うが、必要量が間違いなく噴射するようになっている。スプレーでは錠剤などよりも量がより調整しやすく、多発性硬化症患者特有のさまざまな痛みに対応しやすい。

ゴードン博士によれば、「サティベックスは自己投与型になっていますから、患者自身が自分の痛みに合わせて摂取量を決めることができます。」「このことはとても重要な点なのです。患者が違えば痛みの重傷度も違いますし、同じ患者であっても時と場合によって違うからです。」


サティベックスの副作用

臨床試験で認められた最も多い副作用には、吐き気、倦怠感、めまい、方向感覚の喪失などがある。しかし、総じて副作用は穏やかで痛みの激しさ比べるとそれほど深刻ではなく、たいていはいつのまにか症状がなくなるか、収まらなければ薬を中断すればなくなる(8)。


カナダの多発性硬化症の現状 (9)

多発性硬化症は中枢神経系の病気で、カナダの20〜40代の人々の神経障害疾患のなかでは最も一般的なものになっている。現在ではおよそ5万人のカナダ人男女がこの病気におかされており、毎日3人強が多発性硬化症だと診断されている計算になる。


サティベックスは2005年の6月ごろまでにはカナダの薬局で利用できるようになる見込み。


References:
(1) Ehde DM et al. Multiple Sclerosis 2003; 9; 605-611.
(2) Archibald CJ, et al. Pain 1994; 58:89-93.
(3) Sketris IS, et al. Clinical Therapeutics 1996; 18(2):303-318.
(4) Moulin DE, et al. Neurology 1988;38:1830-1834.
(5) Multiple Sclerosis International Federation www.msif.org/print.rm?id=10188
(6) Harden N and Cohen M. Journal of Pain Symptom Management 2003; 25 (5 Suppl): S12-S17.
(7) New Directions in Neuropathic Pain: Focusing Treatment on Symptoms and Mechanisms. Royal Society of Medicine Press Ltd.: 2000.
(8) Sativex Product Monograph - April 2005
(9) www.mssociety.ca

参考
Med-pot aerosol   GW-PHARM   Sativex: change of thinking?