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医療マリファナを却下
米連邦最高裁判決、政府の起訴を追認
Source: Associated Press
Pub date: 06 Jun, 05
Subj: Justices deal defeat to medical marijuana: U.S. government may prosecute
Web: http://www.msnbc.msn.com/id/8118123/
連邦当局は、痛みの緩和のために医師のマリファナ処方を受けた患者を起訴するようになるかもしれない。連邦最高裁が下した判決で、州法の合法法規では連邦のドラッグ禁止規定からユーザーを守れないことになる。
ブッシュ政権も注目していたこの裁判は、深刻な病気にマリファナを利用しているカルフォルニアの二人の女性の訴えによって起こされていたが、これに対して裁判所は、マリファナ使用を連邦の規制薬物法によって起訴することは憲法に違反しないと裁定を下した。評決は6対3だった。
マリファナ支持派はこれまで10州で、様々な疾病の治療にマリファナを利用する条例を成立させてきたが、今回の決定は手痛い敗北となった。
だが、ジョン・ポール・ステバンス裁判官は、連邦議会が医療マリファナの利用を認めるように法改正することも可能だとも述べ、また、裁判所はマリファナの医学有用性について判断したわけではなく、提訴された「争議事項」について裁定をした、と書いている。
「逮捕される覚悟はできています。」 と訴えを起こした二人の女性の一人ダナ・マンソンは語っている。彼女は、2002年、裏庭で栽培していた6本のマリファナ植物を連邦当局に押収されたが、カリフォルニア州法では認められたものだった。
オコーナーの異義
反対票を投じたサンドラ・デイ・オコーナー裁判官は、州は独自のルールを定めることができなければならない、と主張している。
合衆国憲法では、連邦議会は、州の経済活動が州境を越えて 「州間取引」 になった場合に法を制定できることになっている。この点、問題のマリファナはカルフォルニアの家庭内栽培で、州を越えることなく患者たちに無料で配布されていた。
「我国の医療システムは、一般の意見ではなく、科学的研究に基づいた証明に依存しています。今日までの科学研究では、マリファナ喫煙が安全で効果的だとは決定されていません。」 と連邦薬物規制政策局のジョン・ウォルターズは語っている。
また、ステバンス裁判官は、患者には他にも合法的な選択肢もあるが、と述べ、「しかし、おそらく、そうした法的抜け道よりもさらに重要なのは民主的なプロセスです。カリフォルニアの女性たちを支持する有権者の声が結集すれば、いずれ議会も聞く耳を持つようになるでしょう。」
1996年に住民投票で成立したカリフォルニアの医療マリファナ法では、医師の処方があれば医療目的の栽培、喫煙、取得が認められている。同様な州法は、アラスカ、コロラド、ハワイ、メイン、モンタナ、ネバダ、オレゴン、バーモント、ワシントンの各州も制定している。
通常、これらの州では、ガンやHIVなどの深刻な疾病患者に対して医師が文書または口頭でマリファナを処方している。
「州の警察力の核心には、常に、犯罪法を明確にして市民の健康と安全と幸福を守るための権限があるはずです。」 とオコナー裁判官は異義を述べたが、これには、州の権利を擁護する他の二人の裁判官、ウイリアム・H・レンクイスト裁判長とクラレンス・トーマスも同調している。
保守派のジレンマ
異義を唱えた3人は、ここ何年も州の権利拡大を唱えて続けてきた法廷保守派に属し、これまでも、学校周辺での銃の所持や婦女暴行などの局地的な事件に連邦法が介入する正当性はないと主張していた。ところが今回の問題は、マリファナには反対だが、連邦法の拡大にも反対せざるを得ないという彼らのジレンマを顕在化させることにもなった。
オコーナー裁判官も、有権者や議員としてならカリフォルニアの医療マリファナ法に反対だが、と前置きして、「ですが、マリファナの医療目的で少量を自宅で栽培することまで連邦犯罪にしようとするのは」 法廷の行き過ぎだと語った。
アメリカ市民自由連合の弁護士アラン・ホッパーは、マリファナ事犯の99%が地元や州当局で処理されており、そこでは患者を養護するすべての州法に従わなければならないので、「おそらく、医療マリファナ患者個人の状況にはあまり変化はないだろう。」 と述べている。
今回の裁判は、カリフォルニア在住のダイアン・マンソンとエンジェル・ライヒの二人がアシュクロフト司法長官を相手に訴えて起こしていたもので、連邦当局による逮捕や家宅捜査などの侵害を恐れずにマリファナの喫煙・栽培・取得ができるように法廷が命令を出すように求めていた。
ライヒはオークランドに住む女性で、脊柱側弯症、脳腫瘍、慢性の吐き気、倦怠感と痛みといった疾病に苦しみ、数時間おきにマリファナを摂取している。彼女によると、マリファナを始めるまでは半身不随だった。オロービルに住む会計士のマンソンは変性脊椎疾患で、自宅の裏庭で自分のマリファナを育てている。
判決の要点のなかで、ステバン裁判官はマリファナ法の悪用に対しても懸念を示し、「今回の件で、利益目的のために無節操に過剰処方する医者も一部いることを教えられました。」 と感想を述べている。
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