オランダ政府
医療カナビスの販売中止へ
売上げ不振で思惑外れる
Source: The Associated Press
Pub date: 07 Jun, 05
Subj: Cannabis 'can ease mental illness'
Web: http://www.newsmax.com/archives/articles/2005/6/6/172912.shtml
オランダ保健省の広報官バス・クイクは、薬局を通じての合法医療カナビスの販売が思わしくないために、大臣は今年の後半には計画を再評価して、場合によっては中止する意向があることを発表した。
オランダでは、医療用としては未認可だが、普通のカナビスが数十年前からコーヒーショップで簡単に入手できるようになっていた。しかし、厳格な品質管理が行われていないことから、政府はきちっと管理した処方用カナビスには需要があると見込んでいた。ところが驚いたことに、予想に反して売上げが伸びなかった、とクイクは説明している。
アメリカでも、いくつかの州で医師の処方があれば合法的に医療カナビスを使うことが許されているが、先頃、連邦最高裁は州法で合法であっても連邦法では刑事罰として起訴できるとする判決を下し、それに影響を受けたオランダ政府も医療カナビスの再評価を検討しはじめたという背景もある。
失敗の原因
クイクによると、政府の売上げは当初の見込みの3分の1にも達せず費用が持ち出し状態で、そのことが、計画を中止するか変更するか検討するようにという大臣の要請になった。
オランダ政府の医療カナビスへの取り組みは、包括的な検討を経て、医療カナビス局を立ち上げて、特に多発性硬化症やエイズ/HIV、神経痛、ガンなどの慢性的な痛みに苦しむ患者に対して、品質管理の行きとどいた標準化されたカナビスをいつでも利用できるようにすることを目標に始まった。
販売は2003年9月に開始されたが、全く失敗に終わった。
クイクは、1990年代にカナビスの処方を合法化しようとロビー活動をしてきた医師たちが、実際に利用できるようになると処方しようとしなかった、と言う。
その理由の一つは、カナビスの生産管理や包装や税金に費用がかかり、近所のコーヒーショップに比較して処方カナビスの値段が2倍近くも高くなってしまい、1オンス280ドルにもなってしまったからだった。一部の保険会社は処方カナビスの購入に対して患者に保険を適用して払い戻しに応じたが、すべての会社が認めたわけではなかった。
もう一つの理由は、現在のハンス・ホガーホースト大臣が、医療カナビスの合法化を推進した前任の大臣よりもリベラルなドラッグ政策に消極的だったことが上げられている。
ホガーホースト大臣は、慢性的な痛みに苦しむ患者の証言には耳をかさず、カナビスの医療価値については科学的に証明されていないと主張していた。
計画の見直しはこの秋にも開始され、年末までには大臣が何らかの決断をできるようにする、とクイクは語っている。
ドラッグ・ツーリズム問題
また、オランダではコーヒーショップでカナビスを吸うために非常に多くの外国人が訪れ、特にドイツ国境に隣接する都市では問題が多発している。これに対処するために、オランダ政府は、カナビスの販売を住民や特別のパスを持った顧客に限定することも検討している。
ピエト・ハイン・ドナー法務大臣は、「ドラッグ・ツーリズム」を抑制するための行動を起こす必要があると語っている。そのパイロット・プロジェクトが、ドイツとベルギーに隣接するマーストリヒトで行われる予定で、実施されれば、カナビスを買うお客はIDカードの提示を求められることになる。
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