From Democracy Now!

連邦最高裁判決の意味

エド・ローゼンタール、インタビュー

Source: Democracy Now!
Pub date: 07 Jun, 05
Subj: The Significance of the U.S. Supreme Court ruling
Interviwe: AMY GOODMAN with ED ROSENTHAL
Web: http://www.democracynow.org/article.pl?sid=05/06/07/1334233
Video: http://www.archive.org/details/dn2005-0607_vid


アミー・グッドマン    戦争と平和をリポートするデモクラシー・ナウ!です。今回は、連邦最高裁の判決について、マリファナの権利を主張する活動家エド・ローゼンタールさんにお話をお伺いします。ローゼンタールさんはカナビスに関する最先端の専門家で、マリファナ栽培での連邦法と州法についての裁判でも専門的な証言をなさっています。また、ご自身も2002年に連邦当局に逮捕され、マリファナ栽培について3件の重罪を宣告された経験をお持ちです。まず、この逮捕についての経緯からお伺いしたいのですが・・・

エド・ローゼンタール   私は医療マリファナを使う患者さんが栽培するための苗を育てていたのですが、早朝の6時に連邦政府の職員がやってきて逮捕されました。最初は、隣の人が助けを求めてきたのだろうと思って2階から駆け降りたんですが、あわてていたので裸だったんです。でも幸いそれで撃たれずに済みました。まる見えで、何も隠していないのが分かったからです。家は1500平方フィートの建物だったのですが、そのうち400平方フェートが育苗室でオークランドの大きな雑貨屋さんほどの広さです。そこでは、植物の母本とクローン・カティングを育てていました。カッティングは一種の苗で根が出ていますから、患者さんはそれを植えればいいのです。捜査官に見付かり、裁判になりました。ですが、裁判長は陪審員たちに、私がオークランド市の職員で患者さんのために植物を栽培していた事実を知らせようとせず、何も知らない陪審の評決で有罪になり2時間後に拘束されたのです。

アミー・グッドマン    知らないで有罪にしちゃたんですか?

エド・ローゼンタール    そうです。評決から2時間後には有罪が確定していました。その頃になると、陪審員たちは騙まされたのに気づきメディアに訴え始めていました。私が市の職員で市の医療マリファナを栽培しているという全容も聞くこともできず、政府に誘導されてしまったことに後ろめたさを感じたのです。

アミー・グッドマン    オークランド市の職員だったとおっしゃいましたが、どういうことなのですか?

エド・ローゼンタール   厳密にいうと、市ではマリファナの栽培を受け持つ職員、つまり健康担当職員のポストを作り、われわれに委託していたのです。市の論理によれば、市のために働く職員は、州や政府の職員を同様にドラッグ法からは保護されています。例えば、もしそうした保護がなければ、麻薬捜査官がマリファナを所持していたり販売したりすれば逮捕されてしまいます。それと同じで、市は私が保護されていると言っていたわけです。宣誓させられましたが、私は市民として喜んで宣誓しました。でも、裁判のとき、裁判官は陪審員にそのことを告げようとしなかったのです。

アミー・グッドマン    それなのに、刑量を言い渡すときになって告げた・・・

エド・ローゼンタール    そうです。世間からの圧力もありましたし、地元では大騒ぎになっていましたから。しかたなく裁判官は連邦政府も少しは譲歩したほうがいいのではないかと考えたのだと思いますが、ドラッグ法に対する打撃にはならないように取繕って、私を形式的に投獄することにしたのです。結局、私は最短の1日の懲役刑を科せられました。

アミー・グッドマン   服役した・・・

エド・ローゼンタール   12時間入れられました・・・

アミー・グッドマン    でも上訴裁判はまだ残っていますよね。

エド・ローゼンタール    はい。

アミー・グッドマン    どうして?

エド・ローゼンタール    ライヒさんの今回の裁判の結論を待っていたからです。彼らはそれを基に進めるつもりなのです。でも、私の件はもっと多くの不正や技術的な欠陥があります。実際、裁判官は検事が大陪審に嘘をついたと自ら認めています。でも大したことではないなどとも言っています。

アミー・グッドマン    どんな嘘?

エド・ローゼンタール    大陪審には、起訴状が届いたときには、余りに大がかりなドラッグの栽培だったので医療マリファナ・クラブなど眼中になかったなどと嘘八百を並べたてています。

アミー・グッドマン    クラブの活動は全体としてどういうものなのでしょうか? 何故かかわるようになっだのですか?

エド・ローゼンタール    医療マリファナは文字通りアメリカの何百万という人々の役に立っているます。もちろん、すべての病気に有効などと言うつもりはありませんが、もともと人間の体のあちこちには天然のカナビノイドを受け入れる受容体が備わっているんです。アナンダミドというのですが、これがあるためにいろいろな病気にとてもよく効くのです。吐き気や頭痛、うずきやいろいろな痛み、ストレスなどを和らげてくれます。それを示す科学的研究はたくさんあります。アメリカでは動物実験で、外国では人間でも確かめられています。また、医薬品のなかでは最も安全です。マリファナを使って死んだという報告はいままでありません。ただの一人も・・・。そんな具合で活動にかかわるようになったんです。

アミー・グッドマン    エンジェル・ライヒさんについてお伺いしたいのですが・・・

エド・ローゼンタール    彼女には手術不能な脳腫瘍があります。マリファナをコンスタントに使っているとガンが抑制されるので成長が止まっています。これは彼女の場合に限ったことではなく、カルフォリニアで裁判をやっているスティーブ・カビィという男性もそうです。エンジェルはダイアン・マンソンさんと連邦政府を訴ていますが、彼女の訴えは、彼女に無料でマリファナを提供してくれている人と自分を守る権利を求めたものです。連邦法は、そもそも、州をまたがる商取引に関する規定であって、彼女の場合は商取引でもなく、州も越えていないのだから、連邦法の対象にはならないという理由です。ですが、最高裁は反対の結論を出した、つまり商取引ではなくとも商取引に影響を与えるというのです。

アミー・グッドマン   最高裁で異義を唱えた裁判官についてですが、裁判長のウイリアム・レンクイスト、チャールス・トーマス裁判官、サンドラ・デイ・オコーナー裁判官の3人についてはどう思われますか?

エド・ローゼンタール    御存じのとおり、彼らは共和党でも超右派に属しているのですが、何よりも州の権利が優先すると信じています。裁判は州の権利に関するものでしたから、これが反対票の理由です。今までは、憲法に対するマリファナの例外規定という考えがあって、憲法に違反するといっても、マリファナは非常に危険なドラッグなのだから、たとえそれで死んだ人はいなくても、憲法の条項を無視してでも人々をマリファナから遠ざけなければならない、とされてきたのです。論理的にも誤った考え方を根拠にしてきたのですが、マリファナ裁判ではずっとこうした状況が続いてきました。そして、今回の裁判ですが、マリファナに対する全会一致が初めて崩れたのです。これは大きな前進だと思っています。3票得たのですから、あと2票必要なだけです。

アミー・グッドマン    すべては正しい方向に動いているということですか? 大きな後退とは思わないのですか?

エド・ローゼンタール    違います。前進です。先ほども言いましたが、最高裁がマリファナに好意的な判断を示したのは今回が初めてです。3票得たのです。必要なのはあと2票。もちろん時代背景は違いますが、御存じのように、市民権運動で人種差別を禁じた1896年のプレシー対ファーガソン判決と似ています。この時も、最高裁は最初は人種差別撤廃や公正な処遇に対して後向きだったのです。今回も同じです。連邦政府がマリファナに対して何かをしようとするといつも逆流が起こるのです。マリファナが1937年に違法になったときのマリファナ・ユーザーは5万人でしたが、今では5000万人です。これはまさに逆流です。

アミー・グッドマン    他の国に比べるとアメリカはどうなのでしょうか?

エド・ローゼンタール    その点に関しては、ヨーロッパ諸国の民主主義に比較すると、死刑は廃止されておらずアメリカは暗黒時代です。ヨーロッパはもっと分別があります。唯一例外があるとすれば、アメリカの有権者の大多数が医療マリファナを合法化すべきだと信じており、いつでも投票で民意を示す機会が用意されていることです。今では10州で好意的な投票結果が出ています。また、マリファナを全面的に合法化しようとは考えていないかもしれませんが、大多数のアメリカ人はマリファナ・ユーザーを刑務所にいれるべきだとも考えていません・・・。他の国と大きく違っているのは、例えば、少年がマリファナを使って軽犯罪にでもなれば、連邦政府からの教育援助は一切受けられなくなります。このような規定はレイプや強盗などの重犯罪にはありません。ドラッグ・ユーザー、とりわけマリファナ・ユーザーが対象です。

アミー・グッドマン   連邦政府の助成金などは絶対に受けられなくなるのですか?

エド・ローゼンタール    そうです。一生。

アミー・グッドマン    ローゼンタールさん、今日はたいへんありがとうございました。

エド・ローゼンタール    こちらこそ。

アミー・グッドマン    長い間、マリファナの権利のために活動してきた、グリーン・エイドのエド・ローゼンタールさんでした。