From Hempire Cafe

カナダ、サティベックスの配布開始

医療マリファナの代替になるか?

Source: USA Today
Pub date: 25 Jun, 05
Subj: Spray Alternative To Pot On The Market in Canada
Autor: Wendy Koch
Web: http://www.thehempire.com/pm/comments/3743_0_1_0_C/


カナダでは、今週のはじめから、医療マリファナの合法的な代替薬としてマリファナから誘導したサティベックスというスプレー薬が使えるようになった。絶えず刺すような痛みに苦しむ多発性硬化症患者はこの薬を医者の処方で入手できる。

この舌下型スプレーは、これまで痛みの緩和に使われてきたマリファナの代替新薬のひとつで、カナダだけで認められている。こうしたタイプの医薬品がアメリカの市場にお目見えするのは何年も先になると思われるが、世間の医療マリファナの議論に一石を投じることになりそうだ。

「法を破りたくない人はこのスプレーを使うようになるでしょう。」 ハーバード大学名誉教授でマリファナの合法化運動を手がけるレスター・グリンスプーン氏は語っている。「これで、医療マリファナの議論が一段と高まっています。」

しかし、グリンスプーン氏は、多くの人はやっぱりマリファナを吸うほうがよいと気づくだろう、とも述べ 「スプレーが出てきたからといって、いままでの医療マリファナをやめるような理由は全然ありません。」

一方、ホワイトハイス国家医薬品政策局のトム・リリー報道官は、今後変化が起こることに同意しながらも、こうした新薬が現れることで医療マリファナに対する議論は鎮静化するだろう、と言っている。また、ブッシュ政権は医療マリファナの使用には反対だが、科学的に安全と効果が証明された代替薬なら歓迎する、とも述べている。

これに呼応して、マーク・サウダー議員(インディアナ州選出)に率いられた数人の共和党議員たちは、マリファナの活性成分THCを化学合成したマリノールという医薬品がすでに利用できるようになっていることを理由に、医療マリファナ患者を連邦政府の訴追から守ろうとする法案に反対している。

この法案は、先週、下院で反対多数(161対264)で否決された。これは、今月の初めに連邦最高裁が下した判決を追認するもので、現在では10州が医療マリファナを認めているが、たとえ医療マリファナ患者が州法で守られていたとしても連邦政府の起訴は妥当ということになる。

「これは成長著しい分野です。」 と語るのはカリフォリニア大学サンディエゴ校医療カナビス研究センターのアンドリュー・マッティソン教授で、「サティベックス調合薬には大きな可能性があると思います。」

サティベックスの成分はすべてカナビスの植物から抽出したもので、主成分としてTHC(テトラヒドロカナビノール)とCBD(カナビジオール)が含まれている。急速な沈痛効果があるがハイにはならない。カナダには慢性的な神経痛に苦しむ多発性硬化症患者が2万人おり、このスプレーで痛みを緩和させることができると期待されている。

サティベックスを製造するGW製薬のマーク・ロジャーソン広報担当は、イギリス本社ではアメリカの規制当局の認可に向けて作業を始めているが、「アメリカの市場は巨大でとても魅力的です。しかしとても難しい。」 とも語っている。

マリノールの製造元であるソルベー製薬も、マリノールのスプレータイプの許可を規制当局に申請している。現在、アメリカ食品医薬品局の監督のもとで治験が続けられているが、認可までには数年かかりそうだ。錠剤のマリノールは飲んでから効果がピークに達するのに2時間ほどかかるが、このスプレーでは効果が数分以内に現れるという。

アメリカでは現在のところマリノールが唯一の合法的マリファナ代替薬で、1985年に認可されてから、エイズ患者の食欲不振、化学療法患者の吐き気や嘔吐に処方されてきた。成分は、カナビスの植物がもっている400種の化合物のうちTHCひとつだけでできている。 「アメリカでは毎月2万5000枚の処方箋が書かれていると考えています。」 とソルベー製薬の特化市場担当主任のケビン・ローズは言っている。

しかしグリンスプーン教授によると、マリノールを試した多くのユーザが、マリファナに比べて飲むのに苦痛なのに加えて効くまで時間がかかって嫌いだと苦情を述べているという。

代替薬は喫煙しないで済むという利点はあるが、値段だ高いという問題もある。サテベックス・スプレーは一本約125カナダドルで51回分の容量があり、平均的ユーザーで10日以上使える。月額ではおよそ375ドルになるが、現在、保険は適用されてない。20年の実績のあるマリノールもやはり数百ドルかかるが、こちらは多くの保険がカバーしている。