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2006年1月19日


イギリス、カナビス分類変更せず
アルコールとの多量併用はカナビス依存性のリスクを高める
エンドカナビノイドの生成が気持ちを和らげる



●イギリス、カナビス分類変更せず
2006年1月19日 - イギリス・ロンドン、NORML Britain発

イギリス政府当局は、カナビスをB分類の禁止薬物に戻すべきだという訴えを退ける決定を下した。この決定は、ドラッグ乱用に関する諮問委員会(ACMD)の勧告にもとずくもので、カナビスに関連した健康リスクの程度は罰則を強化しなければならない程ではない、としている。

「使用者個人へのカナビスの害は、アンフェタミンのような現在B分類で規制されている他のドラッグが引き起こす害に比較すれば、実際的に依然低いままにとどまっている。」 さらに委員会は、統合失調症の発症も含め、カナビスの使用者に対する精神衛生上の 「リスクは非常に小さい」 とも述べている。

イギリスでは、2004年、カナビスをB分類からソフト・ドラッグ区分であるC分類にダウングレードし、少量のカナビスの所持はもはや逮捕せず、警告だけで済ませるようになった。

ダウングレード以来、今日までカナビスの使用が増加したという報告はない。

昨年、内務省が発行した暫定データでは、ダウングレードの結果、法執行に伴う警察の処理時間が20万時間節約したと見積もっている。

For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, or Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Source:  http://norml.org/index.cfm?Group_ID=6785


●アルコールとの多量併用はカナビス依存性のリスクを高める
2006年1月19日 - アメリカ・ニューヨーク州アルバニー発

常習行動ジャーナル誌で発行されたデータによると、アルコールを多量に併用しながらカナビスを使っているとカナビス依存症の症状が現れやすくなる可能性があることが示された。

南カルフォルニア大学とアルバニー大学の研究者たちは、このデータをもとに、「アルコールとカナビスの併用している人は、カナビスだけを使用している人に比べて大きな問題に巻き込まれやすい」 と結論づけている。

「常習的併用あるいは多量のアルコールの使用は、カナビス・ユーザーをカナビス依存症にするリスクを増やす可能性があるので、カナビスを安全に使おうとすれば、依存症状が出るのを避けるためにアルコールの消費を制限すべきです。」

アメリカ科学アカデミー医薬品研究所によると、カナビス・ユーザーで依存症状が見られるのは10%以下で、これに対して、アルコールでは15%、コカインでは17%、タバコのユーザーでは32%に依存症状が見られる。(アメリカ精神医学会のDSM-IV評価基準による)

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Full text of the study, "Confirming alcohol-moderated links between cannabis use and dependence in a national sample," will appear in the forthcoming issue of Addictive Behaviors.

Source:  http://norml.org/index.cfm?Group_ID=6786


●エンドカナビノイドの生成が気持ちを和らげる
2006年1月19日 - カナダ・ケベック州モントリオール発

先月、アメリカ科学アカデミー定期発行論文集で、脳内に放出されるエンドカナビノイドが上昇すると気持ちを和らげる効果がある、という前臨床試験データーが発表された。エンドカナビノイドは人体や動物内で自然につくり出されるカナビスに似た化合物で、体内レセプターとの結合の仕方は、THCのような植物から生成される物質と同じように反応する。

モントリオール・マクギル大学健康センターの研究者たちは、動物に合成物質URB579を投与すると、エンドカナビノイドの分解が抑制され、「強力な抗うつ剤に似た効果」 が現れることを見い出した。

「これは、脳内のカナビノイドを増加させる薬物が気分を改善する可能性を持っていることを初めて示したものです。」 とガブリエラ・ゴビー主任研究員は語っている。

昨年発行された精神薬理学ジャーナル誌の研究では、カナビスやカナビノイドが不安を抑える抗うつ作用をもたらすとして、双極性うつ病の治療に使うための臨床実験を行うことを提唱してる。

また、昨年夏に発行された常習行動ジャーナル誌には、カナビスを使用している成人においては、非使用者に比較してうつ症状に陥ることが少ないという調査データも掲載されている。

エンドカナビノイドとエンドカナビノイド・レセプター・システムに関する以前の研究では、カナビノイドが人間や他の生体においてホメオスタシス(代謝平衡)を維持する役割を担っていることが指摘されている。エンドカナビノイドに影響をうける生物機能としては、食欲、体温、血圧、骨の密度、生殖活動、学習能力、運動神経などがある。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Full text of the study, "Antidepressant-like activity and modulation of brain monoaminergic transmission by blockade of anandamide hydrolysis," appears in the December 2005 issue of the Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA.

Source:  http://norml.org/index.cfm?Group_ID=6787