カナダ政府の医療カナビス

不評で多額の焦げ付き

Source: Canadian Press
Pub date: 5 February 2006
Subj: Health Canada going after medical pot users
for almost $170,000 in bad debts
Author: Dean Beeby
Web: http://www.themarijuanamission.com/cannabisdebt.htm


コンパッション・クラブのバッズ(THC18%)と保健省のカナビス(同12%)
保健省のカナビスは、グラインドされバッズの形状を保っていない。
Too many unanswered questions: Health Canada Cannabis

どのドラッグ・ディラーでも同じだが、カナダ保健省もその例にもれず、未払いのカナビス・ユーザーを抱えている。違うのは、取立てにあたって、ストリート・ディラーのようにチェーンや飛び出しナイフではなく、高圧的な手紙と債権回収会社を使う。

現在、さまざまな病気でカナダ保健省からカナビスまたは栽培用の種を購入している認定医療カナビス患者は278人になっているが、先月の時点で、その内のほぼ半数の127人が支払いを90日以上滞納していることが明らかになった。

政府の医療カナビスは、マニトバ州にあるプレイリー・プラント・システム社に委託して栽培されたもので、多くの人は、30グラムの粉末状バッズを150ドルで買っている。また、種のパッケージは30粒で20ドルになっている。

保健省の負債総額は16万8879ドルに上り、ここ1年間だけで10万ドル以上も急増している。遅ればせながら当局では、自分たちの医療カナビス・プログラムが滞納されることを想定していなかったことにやっと気が付くことになった。

保健省のクリス・ウイリアムズ広報官は、現在、専門の係官のいる部局の協力を得て、患者さんには滞納通知書を送付し、電話をかけて支払計画を作リ直す作業にあたっていると語っている。

「支払いに応じてもらえない場合は、今後の供給は停止されることになります」 という方針で、現在のところ、支払いの全く無い19人に対して供給を打ち切ったと言う。

180日過ぎると最後の督促状を送付し、その後10日以内に全く支払いがない場合には、債権回収専門の会社に回される。この措置は、その他の政府への支払い滞納の場合と同じになっている。

医療カナビス・ユーザーで活動家でもあるオンタリオ州のアリソン・ミュルデンさんは、すでに納税者が代わりに負担しているはずの最も貧しい患者にまで保健省は支払いを要求している、と激しく抗議している。

10年以上も前から多発性硬化症に苦しむミュルデンさんは、「カナダ国民は、貧しい人たちの生活を保証するための税金をすでに払っているはずです。二重取りするなど全く浅ましい話しです」 と憤慨している。

「ご覧のように、私のような病人にお金はありません。大半の人が重度の身体障碍を抱えながらやっと生きているのです・・・カナビスをやめるか食事をやめるか選択しろと言われているのに等しい・・・」


カナダ保健省の医療カナビス。茎などの破片が混じっている
Too many unanswered questions: Health Canada Cannabis

政府の医療カナビスの配布は2003年の秋に開始されたが、品質が悪く、多くの患者が咳込んで息を詰まらせ、すぐに返品する有様だった。カナビスは、効力が弱いうえに、通常のバッズではなく、下葉や茎まで加えて乾いた粉のように細かくグラインドされていた。

2004年5月には、下葉や茎を除いて花頭のバッズだけを使った新しいカナビスが出荷されるようになり、有効成分のTHCの濃度も上がったが、湿気が高く、しかも前回と同様に、均一性を保つという理由でバッズは細かくグラインドされていた。

品質が改善されて満足する人たちもいたが、ミュルデンさんを始めとする一部の人たちは、新しいカナビスでもストリートのものに比較すればまだ品質が劣っていると非難している。ミュルデンさんは政府のカナビスをもう買うつもりはないと言う。

マニトバ州のフリンフロン鉱山の坑道でカナビスを栽培して、保健省に供給していたプレオリー・プラント・システムは、総額で575万ドルの契約を結んでいたが、最近、契約を6月一杯までの半年間延長している。額にすれば67万ドルになる。

政府は、今年の後半以降は入札で次の業者と契約を結ぶ意向を示していたが、来週発足する新しい保守党政権が、医療カナビス・プログラム全体をどのように扱うか不透明な状態になっている。

これまで保守党で健康問題を担当し、医療カナビスのプログラムに手厳しい批判を繰り広げてきたステファン・フレチャー下院議員に新政権の政策について尋ねると、「この問題については、リーダーが新しい保健大臣を選任するまでは、何のコメントもできません」 という返事が返ってきた。

また、保健省では、認定患者が処方箋なしで薬局から政府の医療カナビスを購入できるようにするためのパイロット・プログラムを立ち上げる意向も示しているが、今年に初めに開始をめざしていたプロジェクトの遅れは、さらに少なくとも夏以降まで持ち越されることになる。

「これからの政策については、新政権の方針が固まるまで待つことになります」 とウイリアム広報官は話している。