カナダ

暗いイメージを払拭するヘンプ産業

カナビス・ヘルシー・フードの売上げが急上昇

Source: Winnipeg Free Press
Pub date: November 17, 2006
Subj: Hemp Shaking Its Shady Image
Author: Larry Kusch
http://www.mapinc.org/norml/v06/n1552/a07.htm


サラダオイル、パワーシェイク、ノンミート・バーガーなどの食品から始まって、スキンケア製品、いずれは長距離バスの外装まで、カナダのヘンプ産業の成長が著しい。農家、食品加工業者、その他の数々の産業が精神活性の低いカナビスの用途の再発見に湧いている。

健康を気遣う消費者が増えるにともなって、カナダのヘンプ栽培も広がっている。カナダ・ウイニペグで開催中のカナディアン・ヘンプ・トレード・アライアンス(CHTA)の年次総会の関係者によれば、今年1年間で栽培面積は倍になったという。

「現在、牽引車になっているのは、健康食品関連産業です」 とグループのアーサー・ハンクス代表は言う。「生産しているものとすれば、ヘンプ・バーガー、ヘンプ・スナックバー、ヘンプ・ワッフル、ヘンプ・シリアル・グラノーラなどがありますが、現時点で最もホットな話題になっているのは、スムージーやシェイク用に使うヘンプ・プロテイン・パウダーです。」

トロントでルース・ヘンプフード社を営むルース・シャマイ社長のところでは、ヘンプ製品を製造して北アメリカ全域に向けて販売しているが、販売額は昨年から60%上昇している。「まさにヘンプ会社と製品は破竹の勢いです。消費者のみなさんは、ヘンプシードのもつ高プロテインな健康メリットにますます注目し始めています」 と語っている。

ほんの少し前までは、「吸える?」 とか 「本当に食べられるの?」 という質問をよく受けたと言う。また、一部の消費者たちは、大豆製品が体に合わなかったり、飽きてしまって、代替の食品を求めている、ともシャマイ社長は指摘する。

ウイニペグの健康食品店、オーガンザ・マーケットの従業員のシェーン・ネスビットさんは、ヘンプ製品の売上げはまさに 「スカイロケット」 だと表現する。「ヘンプシートの人気は信じられないぐらい上がっています。一人で手のひら一握りも食べてしまうんです。」

ハンク代表によれば、カナダのヘンプ産業の農場や工場は、主にカナダ中央部のマニトバ州プレイリー周辺にある。2006年に、マニトバの農家が栽培している面積は5万エーカーで、カナダ全体の半分を占める。農家は耕作地ごとに、カナダ保健省からライセンスを受ける必要があると言う。

ウイニペグから40キロほど南にあるサン・タガトという小さな村でヘンプオイル・カナダ社を経営するショーン・クルー社長は、この1年間で100戸の栽培農家と1万エーカーの契約を交わしている。会社の従業員は10人足らずだが、ヘンプ食品のほか、シャンプーやヘアコンディショナー、ボデイローション、バスオイル、ハンドクリームなどを世界中に販売している。

また、ウイニペグに本拠を置くマニトバの会社、モーター・コーチ・インダストリー社(MCI) では、ファイバーグラスの代替に軽いヘンプとフラックスを主体にしたバスの外装を提供しようと、350万ドルを注ぎ込んで研究に取り組んでいる。

この他、カナディアン・ヘンプ・トレード・アライアンスのウイニペグ会議には、マーケティング開発者や食品製造業者、繊維製品業者、研究者など全国から80人余りが参加した。


産業用ヘンプは、高プロテイン・超低THCで合法

ヘンプシードやヘンプオイルは、カナダを始め、世界の多くの国で合法になっている。アメリカでは、ヘンプの栽培は全面禁止となっているが、ヘンプ製品の輸入は認められている。

産業用ヘンプと精神作用のあるカナビスは同じカナビス・サティバ種に属するが、品種に違いがある。最も大きな差は精神活性物質THCの含有量で、喫煙などに使うカナビスでは5〜20%も含まれているが、ヘンプでは最大でも0.0003%(最大許容量)という低レベルしか含まれていない。そのためにヘンプ食品でハイになることはない。

ヘンプシードが栄養面で優れているのは、31%もの消化しやすい高プロテインが含まれことにある。高品質のアミノ酸化合物は、肉やミルク、卵のプロテインをほぼ完璧に網羅している。このようなオイルシートは、大豆を別にすれば他に知られていない。

ヘンプのその他の用途とすれば、紙、ロープ、繊維、バイオ燃料、潤滑油、ペンキ、建築資材などがある。


カナダのヘンプ統計

  • 2006年にライセンスされたヘンプ栽培面積は50000エーカー。これに対して2005年24000エーカー、2004年8750エーカー。

  • 2006年の栽培面先はマニトバ州で25000エーカー、次いでサスカチュワン州の12000エーカー。

  • ヘンプ農家数は約200戸。

  • カナダでヘンプの栽培が「再合法化」されたのは1998年。