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2006年11月30日


ワシントン州最高裁、州外認定医療カナビス患者の保護適応を認めず
コカイン依存症患者の外来治療にカナビスが有効
アメリカの現在の刑事犯罪者数は過去最高の700万人



●ワシントン州最高裁、州外認定医療カナビス患者の保護適応を認めず
2006年11月30日 - アメリカ・ワシントン州オリンピア発

ワシントン州最高裁は、先週、州外の医師の発行した医療カナビス推薦証を保持している患者に対して、8年前に誕生した自州の医療カナビス法での保護規定が適用できないという判決を6-3で下した。この決定は、シャロン・トレーシー被告をカナビス所持および製造で有罪とした下級審の判決を支持したものになっている。

トレーシーさんは、2003年に警察の家宅捜査を受けて、カリフォルニアの医師の推薦証とカナビス植物4本、カナビス1オンスを押収され、逮捕された。彼女は、2003年にワシントン州に戻る以前は、末期の母親の面倒を見るためにカリフォルニアに住んでいた。

多数側を代表してトム・チャンバー裁判官は、「トレーシー被告は、1999年にこの州の有権者たちが 
医療カナビス発議I-692 を発効させた時に描いていた対象患者に全く合致しているが・・・資格を有する患者のみしか保護規定の弁護を使うことができない」 と書いている。

今回の決定で、裁判所は、法で言う「資格を有する患者」を、州内の医師によって医療カナビスの使用を認められた患者に限るとする定義を採用したことになる。「発議は、ライセンスがどの州の医師によって認証したものでも有効とする定義にもできたはずだが、そのようになっていない」 とチャンバー裁判官は説明している。

一方、少数意見をまとめたジェームス・ジョンソン裁判官は、ワシントン州の有権者が、明らかに、トレーシー被告のような市民を州法の罰則規定から守ることを意図していたとして、「I-692のような発議は、選挙民の意向を達成するために解釈すべきであり、理に適った代替解釈も適応されるべきである」 と書いている。

「言うまでもないことだが、ワシントン州民たちは、治療を担当したのが州外でライセンスされた医師だからという理由だけで、資格ある患者がI-692による保護規定から除外されるなどとは考えいないことは明らかで、多数意見には説得力のある合理性があるとは言い難い」 と続けている。

トレーシー被告は、州のカナビス法に違反したとして、最高で90日の懲役刑が科せられることになる。

For more information, please contact Keith Stroup, NORML Legal Counsel, at (202) 483-5500.

A discussion of this decision is available online on the November 27, 2006 edition of NORML's daily AudioStash.

Opinions in the case, State v. Tracy, are available online at: http://www.courts.wa.gov/opinions/index.cfm?fa=opinions.recent.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7111


●コカイン依存症患者の外来治療にカナビスが有効
2006年11月30日 - アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク発

アメリカ・ドラッグ&アルコール中毒ジャーナルに掲載された臨床試験データによると、コカイン依存症に治療で、断続的にカナビスを使うと治療計画の最後まで到達する患者が多くなることが明らかにされた。

ニューヨーク州精神医学研究所とコロンビア大学の研究者たちは、コカイン依存症とADHD(注意欠陥・多動性障害)の患者に対する14週間の外来治療に参加した90人の臨床試験を行い、カナビス喫煙が治療に及ぼす継続力への影響を調べた。その結果、治療期間中に度を越さない程度にカナビスを使った患者は、全く使わない、あるいは頻繁に使う人に比べて、治療計画を達成する率が高くなる、と報告している。

「14週目の達成率は、カナビスを使わなかった人で24%、断続的にほど良く使った人で57%、ヘビーな常用者で39%だった」 と書いている。また、同じような結果が、以前行われたヘロイン中毒の治療でも得られていると指摘している。

さらに、カナビスの使用とコカイン・ユーザーの中断率の関係に高い相関のあることも示されている。参加者の中で、治療期間にカナビスを断続的に使っていた患者の39%が2週間以上のコカイン中断を達成しているのに対して、カナビスを使っていない患者の場合は26%にとどまった。

研究者達によると、今回の研究は、コカイン依存症と診断された患者の外来治療に対して、カナビスの使用の影響を調べた初めての調査だと言う。



●アメリカの現在の刑事犯罪者数は過去最高の700万人
2006年11月30日 - アメリカ・ワシントンDC発

アメリカ司法省統計局が今週発表した統計によると、アメリカ成人の32人に一人に相当する約700万人が、投獄または執行猶予、仮釈放中であることが明らかにされた。統計では、220万人が投獄中で、410万人以上が執行猶予中、また仮釈放中はおよそ80万人になっている。

刑務所人口の急上昇の主な原因はドラッグ事犯の投獄によるもので、全連邦刑務所の受刑者の増加は、1995年から2003年まではほぼ50%が連邦法違反のドラッグ受刑者で占められている。

また、州刑務所も含めると、1996年以降では、刑務所人口の増加の約40%がドラッグ事犯で、増大の最も大きな要因になっている。州刑務所のドラッグ事犯者の投獄構成率はおよそ21%になっている。

また、10月に発表された 
司法統計局のデータ では、アメリカでドラッグ事犯で投獄されている8人に一人がカナビス関連になっている。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7113