Weekly News
2006年12月21日
●パーキンソン病に新たなカナビノイド治療法の期待
2006年12月21日 - ドイツ・フランクフルト発
今月発行された最新医薬化学ジャーナルに掲載された科学レビューによると、カナビスをベースにした医薬品を使った、パーキンソン病の症状緩和と病気の進行を抑制する治療法が登場することになるかもしれない。
「カナビノイドには、抗酸化作用やグルタミン酸毒性を抑制する働き があり、さらに 抗炎症特性 もある。そうしたことをすべて考慮すると、カナビノイド・ベースの医薬品が病気に対する神経防護作用を持っていると考えることができる。また、単独のカナビノイド化合物についても・・・パーキンソン病が引き起こしている行動障害そのものに対して・・・行動を調整する効果があると思われる」 と書かれている。
パーキンソン病は、脳幹神経節に悪影響を及ぼす神経変性障害で、運動神経や臓器不全などを起こして死亡する。この病気は、ドーパミン作動性ニューロンが失われることに特徴があり、そのために、脳炎症、グルタミン酸塩の過剰生産、酸化ストレスなどに襲われる。パーキソン病では、65才以上の人のおよそ2%が苦しんでいると見積もられている。
これまでの研究データによると、カナビスには、極端に動作や反射神経が遅くなる動作緩慢、筋肉の硬直、震えなど パーキンソン病に見られる自覚症状 を和らげる効果のあることが示されている。しかしながら、パーキンソン病患者に経口THCを短期間投与した以前の臨床試験では、患者の行動に対する 即時的効果はほとんど見られなかった とも報告されている。
●カナビスがアメリカの換金作物でトップ・シェア
2006年12月21日 - アメリカ・ワシントンDC発
今週発表された経済分析レポートによると、アメリカではカナビスが最大に換金作物になっており、コーンと小麦を合わせた合計額を凌ぐ市場規模になっている。
「アメリカのカナビス生産 2006」と題するレポートによると、国内のカナビス生産は、25年前の1000トンから、現在では10倍の1万トンへと増加し、市場価値は360億ドルに達すると見積もられている。
「政府は、これまで最大限の努力をして国内のカナビス生産を抑え込もうとしてきたが、成長をとめることはできなかった。もはや、抑圧して根絶しようとしたりせず、市場に発展を委ねるべきである。社会政策においては、如何にしてこの市場を規制と課税で効果的にコントロールして、ティーエイジャーの手にとどかないようにするなどの緊急で現実的な目標に焦点を絞るべきであり、過去25年間かかっても実現できなかったような達成不可能な目標は捨てて、達成可能な目標に向かって努力すべきだ」 とレポートは提言している。
また、レポートによると、カリフォルニア州のカナビス栽培量は、アメリカのカナビス製品の3分の1以上をまかなっている。カナビスが州内で最大の換金作物になっているところは12箇所に上り、カリフォリニア、テネシー、ケンタッキー、ハワイ、ワシントンの5州では、年間10億ドル以上の規模になっている。
1998年に発表されたNORMLのレポート では、当時のカナビス生産額をおよそ250億ドルと見積もっている。
●1972年の政府マリファナ委員会のシャファー委員長死去
2006年12月21日 - アメリカ・ペンシルバニア州ミードビル発
元ペンシルバニア州知事のレイモンド・P・シャファーさんが、先週、うっ血性の心臓障害で死去、89才だった。
シャファーさんは、1967年から1971年まで知事(共和)を務めたあと、リチヤード・ニクソン大統領に、マリファナとドラッグ乱用に関する連邦委員会 の委員長に指名された。後にシャーファー委員会と呼ばれるようになった大統領の諮問委員会は、1972年、「マリファナ・ユーザーもマリファナそのものも社会の安全を脅かす存在ではないと言える」 として、議会に対して、「個人が所持や使用したというだけの理由で、市民を刑事罰に処したり投獄したりすべきではない」 とする報告書を提出した。
このシャーファー委員会報告書に対しては、ニクソンは受け取りを拒否し読むことすらしなかった。議会にもほとんど無視されたが、いくつかの州では、少量のカナビス所持を非犯罪化する州法制定の根拠として役立った。
また、1977年には当時のジミー・カーター大統領もこの報告書を引用して、「ドラッグ使用の罪は、ドラッグそのものがユーザー個人に与える害以上のものであってはならない。個人使用のためにプライベートにマリファナを所持することを罰する法律は明らかにそのようになっていない」 と議会に議論を呼びかけた。
NORMLの創始者であるキース・スロープ法律顧問は、「シャファー知事は誠実な公僕でした。マリファナ・スモーカーを犯罪者として扱うことの不当さを示す証拠を前にして、ニクソン政権側からは政治目的のために勧告内容や見解を修正するように途方もない圧力が加えられたにもかかわらず、自分の信念を貫き通しました。シャファー委員会の報告書は、現在においても依然として、今までで最も包括的な政府の研究であり続けています」 と語っている。
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Full text of the study, "An overview of Parkinson's disease and the cannabinoid system and possible benefits of cannabinoid-based treatments," appears in the December issue of Current Medicinal Chemistry.
Source: http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7129