Weekly News

2006年5月11日


カナビスは若者の発達中の脳に害を及ぼさない
ティーンは反マリファナ・キャンペーンを見てマリファナを試すようになる
オレゴン州最高裁、医療カナビス患者でも会社のドラッグ・テストで解雇できる



●カナビスは若者の発達中の脳に害を及ぼさない
2006年5月11日 - アメリカ・ニューヨーク州オレンジバーグ発

今週発表された 
ハーム・リダクション・ジャーナル の臨床データによれば、若者のカナビス使用は中程度あるいはヘビーであっても発達中の脳にはダメージになることはほとんどないことがわかった。

ネイサン・クライン精神医学研究所 とニューヨーク大学医学部の研究者たちは、MRI(磁気共鳴画像)装置や最新の画像解析技術を利用して、若者の常習カナビス・ユーザーと非ユーザーの脳へのカナビス使用の影響を調べた結果、「脳萎縮症や大脳白質全体の発育不足などが起こるという証拠はない」 ことを見出した。

研究は、18才になる前の数年間に少なくとも週2〜3回はカナビスを使っていたが現在ではやめていると自己申告している被験者と、性別や年齢、社会層の重なるカナビス経験のないボランティアを対象にして実施された。診断には、脳細胞間の情報伝達を担う神経線維(白質)の縮退状態を調べることができる高度な磁気共鳴技術である拡散テンソル画像装置(DTI)を使っている。

研究者たちは、「常習的なカナビス使用でも、通常は、若者の正常な脳発達の神経毒にならないと結論できる」 とし、さらに予見として、「カナビスが単独で脳へダメージを与え、統合失調症のような神経障害を引き起こすという仮説が誤りであることを示唆している」 と加えている。

2000年と2005年に発表された別のMRI研究でも、若者のヘビーなカナビス・ユーザーと非使用者の間で、脳の灰白質や白質の量には何の相違も見られなかった と報告されている。

For more information, please contact Paul Armentano, Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Full text of the study, "A preliminary DTI study showing no brain structural change associated with adolescent cannabis use," is available online from the Harm Reduction Journal at: http://www.harmreductionjournal.com/content/3/1/17

Additional information on cannabiniods and the brain is available in NORML's report: "Cannabis and the Brain: A User's Guide," online at: http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6812  (

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6897


●ティーンは反マリファナ・キャンペーンを見てマリファナを試すようになる
2006年5月11日 - アメリカ・テキサス州サンマルカス発

中毒行動ジャーナル5月号に掲載された研究によれば、アメリカ麻薬撲滅対策室(ONDCP)の製作した
反マリファナ公共サービス放送 (PSAs)のキャンペーンを見た後では、ティーンエイジャーたちはむしろドラッグに対してより肯定的な感想を抱きやすく、カナビスをやってみたいと言う傾向が強まることがわかった。

この研究は、18才と19才の若者226人の志願者を対象に、ONDCPのウエブサイトにある一連の反マリファナ番組またはテレビの反タバコキャンペーン番組のいずれかを見せて、この2つのドラッグに対する感想を5段階評価してもらって、コンピュータの潜在連想テスト(IATs)で分析を行っている。また、同時に、マリファナとタバコのそれぞれについてやってみたいという気持ちを10段階評価で調査している。

研究者たちは、キャンペーンを見た後でマリファナに否定的な感想を持った人が極めて少ないことを見出している。反タバコ・キャンペーンの場合にはこうした 「ブーメラン効果」 は知られていない。

研究者たちは、「国の反ドラッグ・キャンペーンで使われている反マリファナ公共放送は、このキャンペーンの製作者たちの意図と反対の結果ををもたらしていることを示しており・・・」 「この反応は、反マリファナ・キャンペーンだけではなく、反タバコ・キャンペーンによっても同様に引き起こされている。このことは、若者たちが反ドラッグ説教に対して反発する傾向があるといった一般論では説明しきれない」 と結論づけている。

さらに 「既にマリファナに対して抱いている気持ちを考慮して分析すると、マリファナをやってみたくなったという気持ちは、反マリファナ・キャンペーンを見た学生のほうが、反タバコ・キャンペーンを見た学生よりも際立って高くなっている・・・このことは、反マリファナ・キャンペーンが、若者に対してマリファナによりポジティブな気持ちを抱かせてしまうばかりではなく、実際にマリファナを使うというリスクそのものを高めてしまうことを示唆している」 と加えている。

国の若者に対する 反ドラッグ・メディアキャンペーン は1998年の連邦議会によって開始されたが、これまでに20億ドルの税金の他にも各種の基金が反マリファナ広告の製作や放送に注ぎ込まれている。そのいくつかは、マリファナの使用が 国際テロ活動の資金になっている と主張している。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Full text of the study, "Explicit and implicit effects of anti-marijuana and anti-tobacco TV advertising," appears in the May issue of the journal Addictive Behaviors.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6898


●オレゴン州最高裁、医療カナビス患者でも会社のドラッグ・テストで解雇できる
2006年5月11日 - アメリカ・オレゴン州ポートランド発

オレゴン州最高裁は、例え従業員が州法によってカナビスを医療的に使うことが認められていても会社のドラッグ・テストにパスしなれば 雇用主は雇用を打ち切ることができる、という判決を出した。この決定は、医療目的でカナビスを使う従業員のために障害者施設を用意しなければならないという先のオレゴン控訴審が示した判決を覆すものとなっている。

裁判官の多数は、原告がカナビス以外の処方医薬品でも症状(足のけいれん)に対処できることを理由に、州法でいう「障害者」の定義に合致しないと裁定し、「法的助成を通じて身体的な障害を補うことができるので、今回の場合は、その障害を理由にして実質的な雇用条件を有利にすることはできない」 と述べている。

また、賛成意見を出した裁判官の一人は 「連邦法が、雇用主に医療マリファナの使用の便宜をはかることを要求した州の雇用差別撤廃法の拡大に歯止めをかけている」 という見解を示している。

同様の裁判 (
Ross v. Ragingwire Telecommunications) は、現在、カリフォルニアの最高裁でも争われている。

For more information, please contact Keith Stroup, NORML Legal Counsel, at (202) 483-5500.

The case is Washburn v. Columbia Forest Products, Inc.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6899