From Hempire Cafe

ドラッグ・ツーリストはベルギーへどうぞ

マーストリヒトのコーヒーショップ移転計画

Source: Justin Stares in Maastricht, The Daily Telegraph
Pub date: 29th May 2006
Subj: Dutch tell drug tourists to take trip to Belgium
http://www.thehempire.com/index.php/cannabis/news/
dutch_tell_drug_tourists_to_take_trip_to_belgium/


マーストリヒトは、世界の人々からは、1992年にEUのマーストリヒト条約が締結された古いオランダの街として知られている。ここには毎年たくさんの外国人観光客が訪れるが,実は観光客の目的はそうした歴史を散策するためではなく、大半がアムステルダム・スタイルのコーヒーショップで売っているカナビスが目当てだと知ったら意外に思うだろう。

しかし、現在では増え続けるドラッグ・ツーリストに音を上げて、市はコーヒーショップの半数をベルギー国境に移転する計画を立てている。この計画には、マーストリヒト条約に唱われたヨーロッパ統一精神の限界を探ろうとする意図も込められている。

マーストリヒトのジェラード・リーアス市長にしてみれば、コーヒーショップを街のセンターからベルギーの若者が圧倒的に多く集まる場所に移転することに過ぎないが、カナビスが禁止されているベルギー側にとってみれば自分たちの掲げているゼロ・トレランス政策が完全に水泡に帰してしまうことになる。

両国ともEU間の通行の自由を認めるシェンゲン協定に署名していることもあり、事実上、国境は地図の上だけのことになっている。従って、国境に面したラナケンのようなベルギーの街にとっては、移転されれば自分の街の中にコーヒーショップができることと何ら変わりがないことになる。

ラナケンのアレックス・ファングローンフェルト市長は、先週、「リーアス市長のやっていることにはほとんど賛同していますが、ソフトドラッグについては別です」 と苦情を述べている。「ここラナケンではゼロ・トレランス政策を採っています。ドラッグ・ツーリストの分散計画などとても受け入れることはできません。マーストリヒトには毎日4500人ものドラッグ・ツーリストがやって来ているのです。その一部が回されるだけでも大変なことになってしまいます。」

しかしながら、オランダ側の警察はリーアス市長を後押しして、マーストリヒトの16軒のコーヒーッショップの一部をベルギーのすぐそばに移転することで、カナビスの売買だけではなく、それに付随する厄介な違法ハードドラッグの取引も一緒に移ってくれればいいと考えている。

マーストリヒトを含む南リンブルグ地区を担当する警察所のペーター・タンス広報官は、「彼らが恐れるのはよくわかります。経験によれば、コーヒーショップが移動すれば問題も一緒に移動して、もとの場所の犯罪レベルが劇的に減ることがわかっていますから。でも、ベルギーの人たちは、自分の国のお客は自分の国で面倒をみるべきです」 と語っている。

先週、オランダ側の国会議員が地元住民の意見を聞くためにベルギーの国境地区を訪れた。そこでは、オランダのカナビス栽培者が国境周辺のベルギーの貧しい農家をターゲットにして、現金を見せて土地の一部を使うケースが増えているという意見もあった。

マーストリヒト当局は移転計画の対象ショップを志願制で決めることを予定しているが、多くのコーヒーショップが喜んで国境に移動してくれるだろうと語っている。

移転の日程については未定で、コーヒーショップのマネージャーの中には、永遠に実施されないと見ている人たちもいる。リーアス市長が以前から掲げているコーヒーショップからの外国人全面締め出し計画も、結局、実行に移されたことはない。

「来年は選挙がありますから。政策も変わるんじゃないかな」 と匿名を条件にイージー・ゴーイング・コーヒーショップのマネージャは語っていた。

マーストリヒトの中央マーケット広場の近くにあるクラブ69という小さな店のディーラーは、「子供が飛び回っているような住宅地域のコーヒーショップを移転して、センターの商業地区のショップは残そうということですよ」 と解説してくれた。


新しいコーヒーショップ・コーナーは3箇所に建設される予定になっている

マーストリヒト市内・周辺地図