From Hempire Cafe

合法的な医療カナビスが表舞台に

ワシントン州で2つのニッチ・サービスが拡大

Source: The Seattle Times
Pub date: 29th August 2006
Subj: Legal Medical Marijuana Moves Slowly To Mainstream
Author: Maureen O'Hagan
http://www.thehempire.com/index.php/cannabis/news/
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「もし、慢性痛み、慢性的な吐き気、筋肉のけいれん、発作、ガン、エイズなどでお悩みでしたなら、医療カナビスを試してみたらいかがですか。」 最近ではこうした広告を見かけるようになった。

広告の番号に電話してみると地元のクリニックにつながった。そこでは、医者が、「違法な植物」が依頼人の病気の治療に役に立つ、と書いた文書を作成してくれる。

ちょっと以前ならば、そのようなビジネスを始めれば警察のいやがらせや質問攻めにあっていたに違いない。しかし、この2年間、シアトルのベルビューにある、ヘンプ&カナビス・ファウンダーショウンというクリニックはアンダーグラウンドな部分は全くなく堂々と営業を続けている。訪れた患者は数千人に及ぶ。


病人はどのようにしてカナビスを手に入れるのか

シアトルのあるワシントン州では、1998年に、医療カナビスが住民投票で59%の賛成を得て成立している。条例によれば、病気で衰弱している人は、医師がすすめがあればカナビスを使うことができるようになっている。

いずれにしても、常に出てくる最大の疑問は、いったい病人がどのようにしてカナビスを入手できるのかという点に絞られる。

「州政府の関係者は、カナビスを持った妖精が届けてくれると思っているみたいです」 と医療カナビス患者の利益のために奮闘するダグラス・ハイアット弁護士は言う。

彼は、医療カナビスが治療の主流に組み込まれていないために、いまだ、一部の警察官たちは法律が成立したことすら忘れて、医師の認めた病人を犯罪人として扱っている、と憤慨している。

しかしながら、こうした問題があるにもかかわらず、患者たちはカナビスを探し求めている。ここ8年以上、支援業者たちは、状況に応じて患者とその都度ネットワークをつくり、料理の本から協同組合に至るまで、法で認められたあらゆる製品やサービスを提供してきた。


パソコン・ドクター

ハイアット弁護士にヘンプ&カナビス・ファンデーションのクリニックについて尋ねると、「ポットヘッド資本主義。パソコン・ドクターだよ」 と蔑むような答えが返ってきた。

実際、クリニックを見渡すと、数十脚の椅子と、ファイルフォルダの山、筆記用具の他にはめぼしいものは何もない。だが、ポール・スタンフォード代表が考え出したビジネスモデルはそれで十分なのだ。

この非営利のクリニックは、ワシントン州の他にも、ハワイ、オレゴン、コロラドにもある。全部合わせると、4年間で1万4000人の患者を診断している。2003年は主にオレゴンだけの営業だったが、グループの歳入は35万2000ドルにのぼっている。

1980年代以来のカナビス支持者であるスタンフォード(オレゴン州ポートランド)は、非常に多くの医者がカナビスの治療効果に対して懐疑的であることを早くから気づいていた。

彼は、カナビスに好意的な医師に協力してもらって、このニッチ市場を開拓しようと考えた。広告を出し、ほどなく心臓外科医のトーマス・ティム・オーバルトを雇入れた。

スタンフォードのクリニックでは、カナビスは販売していない。ただ、資格のある医師が患者に認定書を書くだけだ。クリニックを開くのは週に1〜2回ぐらいだが、オーバルトは1日に30〜40人の患者に対応している。

オーバルトは、患者が法で認められた持続的な病状にあることを確認し、カナビスや治療の役に立つと書いた文書を作成する。料金は150〜200ドルで、収入に応じて決めている。スタンフォードによれば、低所得者には無料で面倒をみることもある。


順合法ディスペンサリーとPパッチ

「州には、順合法や違法のディスペンサリーが10ヵ所以上ある」 と言う。順合法とは、「つまり、カナビスは販売しているけれど、警察が目をつむっているディスペンサリー」 のことらしい。

シアトル警察のステバン・ブラウン警部はディスペンサリーが何をやっているか知っていると言う。しかし、「はっきりいって、優先順が低いのでそのことには関与していません。」

やろうと思えば、ワシントン州の医療カナビス法を骨抜きにすることも簡単にできる。たとえ認定患者であってもカナビスを売買することは合法ではないからだ。

法律上では、患者ができることは自分で栽培するしかない。唯一の例外としては、患者が、自分のためだけに栽培の面倒をみてくれるケアギバー(看護人)を指名できることになっている。

この状態は、協同組合という便宜上の仕組みを生み出すことになった。患者たちはカナビスを購入しないで活動に寄付をする。栽培者は販売をせずに、患者にカナビスを提供する。患者が別の患者のケアギバーとなってお互いに助け合う。

患者がパッチのようにつながっていることから、こうした仕組みは 「P(ペイシェント)パッチ」 と呼ばれている。患者が数人集まれば協同組合化することも多いが、規模が大きくなっても「Pパッチ」という名称は変わらない。

しかし、患者たちからは、入手できるカナビスがしばしば、低品質だったり、カビ臭かったり、量にばらつきがある、といった苦情も寄せられている。


カナケアの挑戦

シアトルのすぐ南のレントンに住むマーク・ウェヒター(46)は、多発性効果症患者で、絶え間のない痛みと闘うためにカナビスを使っているが、そうしたすべての問題を経験している。

「病人としてとてもフラストレーションを感じるのは、カナビスを探し歩かなければならないことです。薬局へ行けば済むというわけにはいかないですから。」

こうした点に別のニッチ市場を見出したのがステーブ・サリッヒ(55)で、ワシントン州の医療カナビス関係者としては新顔の属する。

髪は短く、電話は絶えず鳴っている。典型的なカナビス・ユーザーにはとても見えない。カナビスとの出会ったのは、椎間板変形症で背中の痛みに苦しんでいたからだった。現在では、カナケアという支援グループの代表をしている。

「われわれの目標は、患者たちの意識を目覚めさせてカナビスを自給自足できるようにすることです」 とサリッヒは語る。彼は,カナビスを栽培法を教え、最初の苗を配っている。

昨年、カナケアと同じようなグループがシアトル警察の手入れを受けて、サリッヒはさらに意欲をかき立てられた。その時、警察の内規では、医療カナビス患者一人が栽培できる植物が9本になっていることを初めて知った。

サリッヒと友人たちは、州内のあちこちの警察を訪ねて法律の執行状況を調査することにした。しかし結果は、千差万別で、法そのものに違反していることも珍しくなかった、と言う。